「不動産を売却したけど確定申告を忘れてしまった」
「不動産売却後に確定申告しなかったら罰則はある?」
こんな疑問にお答えします。
不動産を売却して利益が出ると、翌年の2月中旬~3月中旬の期間に確定申告という手続きをする必要があります。
しかし、普段会社勤めをしていたり、パートとして働いていたりする場合、確定申告手続きは所属している会社側が代行してくれるので、「確定申告が何なのかよくわからない」「どうやって手続きすればよいのか知らない」という人も少なくありません。
ただ、確定申告について知らなくても、確定申告をする義務のある人が無申告のまま過ごしていると、加算税や延滞税といった税のペナルティーを受けることになってしまいます。
税務署の追求は厳しく、「忘れていてもばれないだろう」と思っていてもほぼ間違いなく調査がきます。
今回は不動産売却後に確定申告をうっかり忘れたときの対処法を解説します。
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目次
不動産売却後に利益が出ている場合は確定申告が必要

確定申告とは、1年間に得た収入や必要経費を自分で計算し、どれくらいの納税が必要なのかを自分で税務署へ報告する手続きのことです。
日本では自己申告制、つまり収入や経費、控除の計算について自分で申告することを原則としています。会社から給料をもらっても、不動産を売却してお金を手に入れても、基本的に自ら確定申告手続きをする必要があるのです。
ただし、一般的なビジネスマンやアルバイト、パートなどの場合、勤めている会社側が税金の計算や納税などを行ってくれるため、確定申告そのものを知らない人も少なくありません。まずは、確定申告の基本を押さえていきましょう。
確定申告期間は不動産を売った翌年の2月16日から3月15日まで
確定申告期間は、毎年2月16日から3月15日と決められています。前年の収入をまとめて報告する機会なので、たとえば2024年中に不動産売却をした場合、2025年の2月16日から3月15日までの間に確定申告が必要です。
1月に不動産を売っても、12月に不動産を売っても、翌年の2月から3月中旬が申告期限となります。
確定申告までの期間が長いと、手続きを忘れてしまう可能性が高くなってしまうので、不動産売却と平行して確定申告の準備も進めておきましょう。
確定申告が必要になる基準は「売却によって利益が出ている」こと
不動産売却後に確定申告をする必要があるのは、不動産売却によって利益が出ているケースです。基本的に、税金は「利益」に対して発生します。
扶養の範囲内で働くパートや学生のアルバイトが給料をもらっていても所得税を納める必要がないのは、税金が発生する利益のラインを越えていないからです。
不動産購入時にかかった費用よりも売却代金のほうが低いなど、トータルで計算すると赤字になる場合は、確定申告を原則する必要がはありません。
ただし、何をもって利益が出ているのか、出ていないのかを判断するためには、不動産売却や不動産売却時にかかる税金に関する知識が必要不可欠です。
単純に、「15年前に2,000万円で買った家を1,500万円で売却したため、確定申告は必要ない」とは判断できないので、納税について不安がある場合は税理士などに相談しましょう。
不動産の控除を利用して節税する場合も確定申告が必要になる
確定申告をするうえで最低限押さえておきたいのが、収入と所得の違い、そして経費とは別に収入から差し引きできる控除です。
日本の税制では、収入から必要経費や控除を抜いたもの、所得の額によって課税額が決まります。不動産購入時にかかった経費より不動産売却代金が大きくても、控除を引いて利益がなくなれば、不動産売却による税金はかかりません。
ただし、控除を利用して節税をする場合は、控除の使用を申し出たり税の特例を申請したりしていることを税務署へ説明する必要があるため、利益が出なくても確定申告を行いましょう。
不動産売却後に確定申告を忘れてしまった場合の対処法は改めて申告すること

不動産売却をした翌年の3月15日までに確定申告できず、申告手続きを忘れた場合の対処法は、気づいた時点でなるべく早く申告手続きをすることです。
申告を忘れていると税務署から「譲渡所得の申告についてのお尋ね」が届く
不動産を売ったにも関わらず、申告期限までに確定申告をすませていない場合、税務署から「譲渡所得の申告についてのお尋ね」という書類が届きます。譲渡所得の申告についてのお尋ねは、簡単にいうと確定申告を忘れた人への警告書です。
不動産売却では、不動産の名義を売った人から買った人のものへ書き換える手続きを行います。不動産の名義は、法務局という国の機関によって管理されているため、税務署に知られることなく不動産を売ることはできないと考えておきましょう。
不動産そのものが資産価値の高い財産ということもあって、売却や名義の変更があった場合、税務署から「納税できる部分はないか」と目を付けられやすいのです。
ただ、申告をしていない人のなかには、税金を納めたくないためわざと申告していない人と、うっかり忘れた悪意のない人の両方がいます。
うっかり忘れてしまった人に対して、いきなり差し押さえなどの強硬な手段に訴え出るのはかわいそうなので、税務署側は確認のために譲渡所得の申告についてのお尋ねを送るのです。
「お尋ね」の手紙は、不動産売却後忘れずに申告を行い、納税などを終わらせている人のもとには基本的に届きません。手元に「お尋ね」が届いたら、確定申告をしているかどうか確認しましょう。
「お尋ね」が届いた段階で最寄りの税務署へ出向いて申告することが大切
お尋ねには、売却した不動産の取得額(経費)や、売却代金などを記入する欄があります。不動産売却をしていても利益が出ておらず、納税義務がない場合、空欄を埋めてお尋ねを返送するだけで対処は終了です。
ただし、不動産売却による納税が必要だとわかった場合は、最寄りの税務署などへ足を運び、改めて確定申告手続きを行いましょう。
確定申告の基本的な手続きは、毎年2月16日から3月15日が期限とされていますが、「期限後申告」といって、期限後でも申告をすることが可能です。
もちろん、本来の期限を過ぎているため、罰則なしというわけにはいきません。期限後申告に対しては、本来必要な納税に加えて、加算税や延滞税などのペナルティーが発生します。
お尋ねを無視せず申告をすれば加算税・延滞税などを課せられない場合もある
確定申告をしなかった人、忘れた人に対するペナルティーは、基本的に以下の2種類です。
- 無申告加算税
- 延滞税
無申告加算税は、名前の通り所定の期限内に確定申告できなかったことに対する罰則で、納税額が50万円以下なら納税額の15%、納税額50万円を越えている場合は納税額の20%を追加で納める必要があります。
延滞税は、確定申告期限から遅れれば遅れるほど金額があがっていく罰則です。数年間確定申告をしていなかったなど、申告漏れの期間が長いと負担も大きくなります。
ただし、無申告加算税や延滞税に関しては、申告期限から1ヵ月以内に期限後申告をしたり、納税する意思があったりすれば加算されません。「お尋ね」を無視せずに回答し、急いで申告すれば、加算税や延滞税は請求されないので安心しましょう。
なお、お尋ねを無視したり、再び申告を忘れたりすると、税務署は容赦なく本来の税金と罰則用の税金を徴収しにやってきます。本来必要な申告と納税をしていないのは、いわゆる脱税と呼ばれる状態なので、税務署の追求は厳しいです。
再設定された納付期限までに納税できなければ、さらに延滞税なども加算されていきますし、最悪の場合税務署は貯金や給与の差し押さえもあり得ます。
納税方法も、原則は現金での一括払いなので、「悪質な無申告者」「脱税者」として税務署に目を付けられる前に、期限後申告で申告・納税を終わらせましょう。
不動産業者・税理士に相談して税務署へ!不動産売却後の確定申告の手続き方法

不動産売却後にうっかり確定申告を忘れた場合は、不動産業者や税理士に相談したうえで期間後申告をするのがおすすめです。
ただ、確定申告の経験がなければ、どういった手順で手続きを進めればよいのかわからないでしょう。ここからは、不動産売却後に行う確定申告の手続き内容を解説します。
課税か非課税かを見極められるように譲渡所得税額を計算する
期限後申告をする場合、まずは譲渡所得税額を計算しましょう。譲渡所得税とは、不動産などを売却して利益が出た際にかかる税金のことです。基本的な課税額は、以下の計算式で求められます。
課税される利益(所得)の額=不動産売却額-(不動産取得時にかかった費用+売却時にかかる諸費用)
売却額から控除を差し引き、金額に応じた税率を掛ければわかります。ただ、取得費や譲渡費用の計算方法など、実際の計算は複雑なので、税の知識がないと正確に計算できないでしょう。
適当に計算して申告すると、ミスがあった際に厳しく追求されてしまいます。課税額の計算方法に自信がない場合は、税理士に確定申告手続きを任せるのがおすすめです。
確定申告の必要書類をそろえる
確定申告では、以下の書類を提出します。
- 確定申告書
- 譲渡所得の内訳書
- 売却時に作った売買契約書の写し
- そのほか取得費・譲渡費用を証明できる書類のコピー
- 登記事項証明書
納税が必要な場合は期限後申告と同時に納税もすませる
期限後申告における税金の納付期限は、税務署へ必要書類を提出した当日中です。書類の提出と合わせて税金も納める必要があるため、費用を用意してから税務署へ行きましょう。
参考:不動産を売却したら確定申告が必要?3つのポイントで徹底解説
不動産売却後の確定申告を忘れたら期限後申告をしよう:まとめ
不動産売却時に利益が出ている場合、譲渡所得税を始めとした税金の納付が必要です。不動産の売却益を隠しても、ほぼ間違いなく税務署の調査が入れば無申告であることがばれてしまうので、ごまかすのはおすすめできません。
「お尋ね」を無視すると、無申告加算税や延滞税も上乗せされてしまうので、お尋ねの書類が届いたら、急いで期限後申告の準備をしましょう。
ただし、譲渡所得税額の計算や、申告手続きは複雑です。手続きに関して不安がある場合は、税理士や不動産売却を依頼した業者に相談して、納税負担を最小限に抑えましょう。


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