外国人に不動産を売却する際のポイントと5つの注意点

外国人に不動産売却

近年の円安や外国人観光客や居住者の増加に伴い、外国人が日本の不動産を購入することが増えています。

特に投資目的で東京都心のマンションや、休暇で滞在するための北海道のリゾート地など、外国人がオーナーとなっているケースが多いです。

日本の土地や建物を外国人が購入することは、まだあまりなじみがなく、漠然と不安な気持ちを持っている方も多いのではないでしょうか。

今回は、外国人との不動産売買の際のポイントや注意点についてご説明します。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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外国人は日本の不動産を購入できるの?

結論から言うと、外国人は日本の不動産を購入することが可能です。

日本の不動産は日本人同様、外国人であっても購入することができます。永住権のない外国人でも購入することができ、所有権の期限も設けられていないので、自由に売買や相続をすることもできます。

諸外国のように外国人に対しての規制や、永住権や日本国籍、ビザの種類等による規制もありません。土地・建物ともに購入し、所有権を持つことが認められています。税金は通常通り日本のルールに則って納めれば問題ありません。

尚、日本で不動産を所有することは、永住権やビザの付与とは関係しません。(日本に長期で滞在する場合は、ビザや在留資格を適切に取得する必要があります。)

驚いたことに、ほぼ制限なく外国人が不動産売買出来るのは日本だけです。

自衛隊の基地や原子力発電所など、2022年9月に施行された「重要土地等調査規制法」で記されている場所とその周辺の不動産売買はできなくなりましたが、それ以外では今でも制限はありません。

諸外国のほとんどが、外国人の不動産購入に制限を設けているのに、日本には制限がないのはなぜなのでしょうか?

その理由は、1994年の世界貿易機関(WHO)の協定で、諸外国は「制限付き」を選択している中、日本だけ「外国人は制限なく不動産取引ができる」というものにサインをしているからです。

近年、北海道のリゾート地や無人島を外国人が購入し、話題になっているのと同時に問題視もされています。この制限のない不動産取引には危機感を感じる声が多くあがっており、政府も規制を設ける方向で動いているようです。

外国人に人気の日本の不動産

先述したように、日本の不動産は外国人でも購入し所有するのが容易です。

その上、近年の円安が追い風となり、日本の不動産は外国人にとってお値打ちの価格であり、日本の金融機関から融資をうけることができれば超低金利です。

このような好条件が重なり、日本の不動産は海外の投資家からとても人気です。他国の不動産に投資するよりも少ない資金で購入でき、都市圏の商業用の不動産などであれば、高い利回りも期待できるからです。

2020年の調査では、日本の不動産投資市場では3割超が海外の投資家が占めているとのことです。また、日本に居住する外国人も増加しており、居住用の不動産の需要も多くなってきています。

外国人に不動産を売却する際の手続きは?

買主が日本に住んでいる場合は、外国人であっても日本人に売却する手続きと基本変わりません。

  • 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  • 売却活動を行う
  • 買主が見つかり、売主・買主の合意のもと売買契約を結ぶ
  • 手付金の受取り
  • 決済と物件の引き渡し
  • 所有権移転登記を行う

この手順は変わらないのですが、日本人が買主の場合と違うところや注意点がいくつかあります。

以下より詳しく解説します。

買主が外国人の場合の相違点・注意点

日本語が理解できない

買主が外国人であっても、基本売買契約書や重要事項説明書等は日本語で作成します。しかし、買主が日本語を理解できない場合は、契約自体が無効となってしまう可能性があります。

その時は、買主が理解できるように翻訳した契約書や重要事項説明書を準備し、場合によっては通訳が必要となります。

そして、一番大切なのが、買主本人がきちんと契約内容を理解し、同意を得られたかということです。

「翻訳した契約書と通訳を準備したから大丈夫だろう」では、買主がきちんと契約内容を理解していないにも関わらず、契約書にサインしてしまい、その結果契約が法的に無効となってしまうこともありえます。

住宅ローンの審査が通らない可能性 

不動産の購入は高額なため、住宅ローンを利用する人がほとんどですが、住宅ローンは基本、日本国籍である人、永住権を所持している人しか組めません。

外国人に融資するのは貸し倒れや持ち逃げのリスクが高いので、金融機関は外国人の住宅ローンには消極的です。

買主が住宅ローンを組めない場合は、現金一括での支払いをしてもらうしかありません。契約前に、購入代金は住宅ローンでの支払いなのか、住宅ローンが組めない場合は現金の用意があるのかを確認しておきましょう。

現金一括での支払いの場合は必ず日本円で

買主が住宅ローンを利用せず現金での支払いとなった場合、日本円で支払いをしてもらうようにしましょう。買主の母国の通貨やドルでの支払いの場合は、日本円に換金する時に手数料がかかります。

そして、海外の通貨は為替相場の影響を受けるので、決済後に円安が進めば受け取る日本円が目減りする可能性もあります。現金での支払いは日本円でしてもらうことに合意してもらい、契約書にも明記しましょう。

大幅な値下げ交渉を受けることもある

海外では値下げ交渉が通常の国もあります。

最初にかなりの値下げ金額を提示してくることも多く、その金額を売主側に伝え、売主側と駆け引きをしながら交渉してくるという手段です。日本ではあまりない交渉方法なので困惑してしまうこともあるかもしれません。

しかし、ここですぐ値下げ交渉に応じてしまうと、後々要求がエスカレートしてくる可能性もあります。

対策としては、買主の国の売買における交渉スタイルや習慣を事前に調べておく、値下げ交渉を受けることを前提とした価格設定をする等が有効です。

また、値下げ交渉を受けた場合は、仲介を依頼している不動産会社とも相談して対策を練りましょう。

参考:マンション売却時の値下げタイミングや値引き交渉の対応方法を解説

引き渡しまでの時間がかかることがほとんど

買主が外国人の場合、不動産売買に必要な書類が日本人と異なるものもあります。それらを取得するのに時間がかかるので、引き渡しまでの期間が通常よりかかることがほとんどです。

決済が完了し、売主から買主へ不動産の所有権を移転する時に所有権移転登記手続きを行います。この際に買主側に用意してもらう書類が以下のものです。

  • 住民票
  • 印鑑証明書と実印
    発行後3ヵ月以内のもの
    住宅ローンを利用し抵当権を設定する場合に必要、現金で購入する場合は不要
  • 委任状
    司法書士に登記の依頼をする際に必要
  • 不動産売買契約書
    司法書士が書類を作成する際に必要(買主か売主が用意する)

中・長期在留者で在留カードを交付されているか、在留資格を有する外国人は、住民基本台帳に記録されており、住民票を取得することが出来ます。

日本の住民票があれば印鑑登録も可能なので、印鑑証明書も取得することができます。

短期在留者や海外居住者は、以下のような日本の住民票に該当するものを提出します。(短期在留者とは、在留期間が3ヶ月未満の外国人)

・本国又は居住国の行政機関や公証役場で作成した宣誓供述書(パスポートコピー・本人のサイン)
あるいは
・本国又は居住国の住民票や戸籍謄本に相当する書類

以上の書類が日本の住民票の代替書類として使用できます。

また、「本国又は居住国の行政機関や公証役場で作成した宣誓供述書」は、印鑑証明書の代替書類として使用できます。

中・長期在留者が買主であれば、必要書類を準備するのにそこまで時間を要することはありませんが、短期在留者や海外居住者となると、書類を揃えるのに時間がかかるでしょう。

スムーズに契約をすすめるためにも、買主には必要書類に関して把握しているか確認を取っておきましょう。

もう一点注意したい点が、日本と海外のスケジュールに関する感覚の違いです。

日本では、期日通りにスケジュールを進めるのが通常ですが、外国人によってはその通りに進まないこともあるようです。

お国柄もあるのでしょうが、契約書に期日を明記し、期日が守られなかった際の対応についても取り決めしておきましょう。

日本のルールやマナーをしっかり伝えよう

これは、物件を引き渡した後のことで取引とは直接関係のないことなのですが、売却した物件がマンションであれば、そのマンションの規約やゴミ出しのルールや共用部分の使い方を守ってもらうように伝えましょう。

別荘などで常に居住するわけではない物件であれば、建物の管理や庭の手入れを怠ると、近隣の治安の悪化につながること。

いずれも近隣の住民に迷惑がかからないようにルールやマナーを伝えるようにしましょう。

外国人に不動産を売却するなら信頼できる不動産会社に依頼:まとめ

日本の不動産は、円安や超低金利で融資を受けられる等、海外の投資家からの人気も高いです。今後もこの状態が続くと思われます。

日本では不人気の物件でも、外国人は日本人とは違うところに価値観を持っていることも多く、日本人相手ではさっぱり売れなかった物件が、外国人には人気だったりすることもあるようです。

なかなか売れない不動産をお持ちなら、外国人をターゲットに売却活動をしてみるのも良いかもしれません。その際は外国人相手の不動産取引が豊富な不動産会社を選ぶことをおすすめします。

ただ、まだそういった不動産会社は少ないのが現状です。インターネットの一括査定サイトなどを利用し、外国人との不動産取引の実績が豊富で、なおかつ自分に合った不動産会社を選びましょう。

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