不動産の割賦販売とは?メリットとデメリットを徹底解説

割賦販売

「割賦販売で不動産を売却したい」
「不動産の割賦販売にはどんなリスクがある?」

 

こんな要望にお応えします。

割賦販売とは、分割払いで商品を販売する方法のことです。

不動産を購入する時は、住宅ローンを利用して購入するのが一般的ですが、割賦販売を不動産売買に活用することが稀にあります。

例えば、4,000万円で不動産を売却したとしましょう。この4,000万円を、毎年400万円ずつ10年間支払う販売契約が割賦販売です。

今回は、不動産を割賦販売で行うケースとそのメリットとデメリットについてご説明します。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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不動産における割賦販売の定義とは

不動産の割賦販売は、代金を1年以上の期間に2回以上分割して支払うことを定めた契約のことを言います。

割賦販売は、代金の支払いが完了するまで所有権が売主のままに留保されたり、買主から担保として所有権を譲ってもらったりすることは原則できません。

クレジットカードで言えばリボ払い、携帯電話等の分割払いを思い浮かべていただくと良いかもしれません。どちらも商品が代金の担保になることはありませんね。

不動産の割賦販売はどんな場合に利用される?

割賦販売は、金融機関のローンの審査が通らず自己資金のみでの購入であるが、一括で支払が出来ない場合に有効です。

ローンの審査が通らない具体的な理由としては、親族間での売買、再建築不可の資産価値が低いとみなされる物件、転職して3年未満の方、あるいは独立して間もない方、などです。

割賦販売はこのような理由で借入が出来ない場合でも、不動産が購入できる可能性が高くなります。

再建築不可の物件とは?
再建築不可の物件とは、今現在家が建っていても、解体後新たに家を建てることができない土地のことです。都市計画区域、準都市計画区域内では、建築基準法で接道義務が設定されています。
接道義務とは、「幅員が4m以上かつ建築基準法上の道路に2m以上接していなければならない」というもので、この条件に当てはまらない土地には家を建てることはできません。

参考:接道義務ってなに?未接道の不動産を早く売却する4つのポイント

不動産を割賦販売するメリット

不動産の割賦販売には主に以下のメリットがあります。

  • 親族間での売買に有効
  • 再建築不可の物件や古い貸家の売買に有効
  • 購入者の対象が広がる

順に解説します。

親族間での売買に有効

不動産の割賦販売は、親子間での売買であったり、遺産相続で相続人同士が名義変更をしたりする時に有効です。

親族間で不動産を譲渡する場合の他の手段として贈与がありますが、譲渡を受けた人に多額の贈与税がかかります。

この贈与税を回避するために、親族間では贈与ではなく売買が良いとされています。

しかし、親族間の売買は住宅ローンの借入ができません。金融機関は、親族間での住宅ローンをほとんど取扱っておらず、必要もないとみなしています。そもそもローンの対象にされていないのです。

親族間であれば、割賦販売でもお互いの信用もあり、長期間の分割払いも合意しやすいものと思われます。また、売却金額や引き渡し時期などの調整も融通がきくでしょう。

再建築不可の物件や古い貸家の売買に有効

先述したように、資産価値の低い再建築不可の物件や古い貸家といった物件は、住宅ローンの審査が通らず、融資が受けられません。

このような住宅ローンが組めない物件でも、割賦販売なら売却できる可能性が高まります。

古貸家の管理が大変で、手放したいと考えているオーナーさんであれば、長期間住んでいる入居者に割賦販売で購入してもらうという手段もあります。

今まで家賃として支払っていた代金を割賦販売の返済金にしてもらいます。

購入者の対象が広がる

住宅ローンが組める物件であっても、買主側に以下のような問題があり住宅ローンの審査に通らない場合、割賦販売にすると売却できることがあります。

  • 転職して3年以内など勤務年数が短い
  • 過去に金融事故を起こしている

現在支払い能力があるのに、このような理由から住宅ローンの借入ができない人もいます。割賦販売をすることによって購入者の対象が広がれば、長期間売却先が決まらない・売れにくい物件でも買主が見つかる可能性は上がります。

割賦販売のデメリット

割賦販売には主に以下のようなデメリットもあります。

  • 不動産売買代金を回収できなくなる
  • 不動産の贈与とみなされる可能性がある
  • 親族以外の売却先をみつけることが難しい
  • 不動産仲介会社が割賦販売に積極的ではない

順に解説します。

不動産売買代金を回収できなくなる

住宅ローンの場合、代金回収が出来なくなるリスクに備え、金融機関は融資する物件に対し抵当権を設定します。

所有権は、通常は代金を全額回収してからの移転となるため、売主としては安心です。しかし、割賦販売の場合、所有権移転を全額回収の前に行うと、分割支払いが途絶えてしまったときに対応が難しくなります。

もし買主が、他に借入をして破産してしまった、という場合はその債権者から不動産を差し押さえられ、さらには代金も回収出来なくなるというリスクもあります。ならば、全額回収後に所有権移転をすれば良いじゃないかとも思いますが、逆もしかり。

買主が、不動産も返済金した代金までも失うリスクがあります。所有権移転の時期は悩ましい問題です。

贈与とみなされる可能性がある

親族間での割賦販売の場合、利息をゼロあるいはかなり低くしたり、親族間であれば善意でしてしまいがちです。

しかし無利息や低利息にしてしまうと、その利息分が贈与とみなされる可能性があります。割賦販売はローンであり、適切な利息が付くのが当然であるという考えからです。

とはいえ、どのくらいの金額や期間を分割払いにすると贈与とみなされてしまうのかは、明確な基準がないのではっきりとはわかりません。

親族間であっても、適正な利息を設定して売却するのが良いでしょう。

親族以外の売却先をみつけることが難しい

割賦販売は、購入者の対象が広がるメリットもありますが、先述したように大きなリスクもあるため、契約を締結するためのハードルは高いです。

割賦販売の期間を決めるのも、売主はなるべく早く回収したい、買主は月々の負担を減らすべくなるべく長い期間で支払いたい、という気持ちもあるでしょう。

しかし、支払い期間が長期になるほど、売主には代金が回収出来なくなるリスクが高まります。

売却後の所有権の移転を遅くすることは売主の担保になりますが、それは買主にとっては、代金を支払い続けても自分に所有権がないので、賃貸物件と同じような状態のままです。その間に別の買主に売却されてしまうリスクもゼロではありません。

割賦販売にはこのように問題が多くあります。他人よりも、元々信頼関係のある親族といった間柄でないとなかなか難しいかもしれません。

不動産仲介会社が割賦販売に積極的ではない

不動産仲介会社で割賦販売を取り扱うところは多くありません。

割賦販売は長期間の取引であり、債務不履行になる確率が住宅ローンより高いです。仲介会社には契約時にそのリスクを十分に説明する義務があり、その後も買主が不利益を被らないよう長期間に渡ってフォローしないとなりません。

その手間とリスクを考えると、割賦販売の仲介は割に合った業務ではないと判断するところが多いのが実情です。

割賦販売を成功させるためのポイント

ここまで、割賦販売とはどういったものなのか、そのメリットデメリットについてお話しました。

ケースによってはとても有効な割賦販売ですが、デメリットやリスクもあり、躊躇してしまうかもしれません。割賦販売を成功させるためのポイントをいくつか説明します。

抵当権の抹消

物件に住宅ローンの残債があり抵当権が設定されている状態である場合、割賦販売はできません。

住宅ローンを契約する際の規約に、金融機関に許可無く物件の名義変更をすることが禁じられているからです。この規約に違反すると、住宅ローンの一括返済を求められる可能性があります。

売主は売却活動に入る前に、以下のいずれかの方法で、住宅ローンを完済し抵当権を抹消しておくようにしましょう。

  • 売主が残債を完済する
  • 売主の資金と買主が頭金を用意し完済する
  • 買主が残債分の頭金を用意し完済する

贈与とみなされないようにする

親族間での割賦販売は、無利息あるいは低利息でなされる場合が多く、その利息分が贈与とみなされてしまうリスクがあるということは先述のとおりです。

このリスクを回避するためには、やはり親族間とはいえ適正な利息を付ける以外の対策はありません。金融機関の住宅ローンの金利を参考に、きちんと利息を付けるようにしましょう。

所有権移転登記のタイミングと移転登記後のリスクを回避する

買主側の立場を考慮すると、所有権は売買契約時に買主に移転登記するのが一番良いことではあります。

しかし、代金を全回収できるまでには長い期間がかかり、所有権のなくなった売主側にとってはリスクも高いです。

返済が滞ることによるリスクを回避するためには以下の2つをしておくと安心です。

  • 強制執行承諾文言付公正証書の作成
  • 売却した不動産に抵当権の設定

強制執行承諾文言付公正証書とは、相手が代金を支払わなかった場合、裁判をしなくても相手の財産を差し押さえる効力を持つ公正証書です。

この強制執行承諾文言付公正証書を作成しておけば、買主が返済金を滞らせた場合に、裁判をしなくても買主の財産を差し押さえることができるのです。

しかし、差し押さえまでになる時は、すでに買主が返済できるような状態ではないことも多いのが現実です。

そこで、不動産に抵当権を設定しておけば、返済金の滞納等万が一の際に不動産を売却し回収できなかった残金に充てることができます。

実績のある不動産仲介会社に依頼する

不動産仲介会社に依頼せず、個人間で売買契約書を作成し割賦販売で取引することは可能です。しかし、割賦販売で売買ということは、多少なりとも訳ありの物件であることがほとんどでしょう。

仲介手数料はかかってしまいますが、割賦販売のリスクを考えると知識と経験が豊富な不動産仲介会社に依頼した方が賢明です。

不動産の割賦販売は不動産会社に相談:まとめ

割賦販売は、買主側にメリットはあるものの、売主側にはリスクも多くあります。親族間の贈与税対策以外での割賦販売には、慎重になった方が良いでしょう。

しかし、再建築不可の物件や古い貸家、長年にわたり売れていない物件などは、割賦販売をすることによって買主が見つかる可能性が高まるのは確かです。

割賦販売を検討する際は、ノウハウのある不動産仲介会社に相談してみることをおすすめします。

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