不動産売却の広告に関するルール・規制についての基礎知識

チラシを見る夫婦

「不動産売却を依頼している業者の広告の仕方・内容に不満がある」
「不動産を売却するときの広告のルールや規制を知りたい」

 

こんな要望にお応えします。

家や土地などの不動産を売却する場合、媒介契約を結んだ不動産会社が売却に向けた活動を一手に担います
その活動の多くが、物件の情報を幅広く公開する「広告」です。

広告にもいくつか種類がありますが、インターネットに掲載する、チラシを作成しダイレクトメールを送る、近隣エリアの家にポスティングするなどの手法がよく使われています。

取引額が大きい不動産は、誤認を誘発するような広告は被害が大きくなることから、ルールや規制が厳しく、広告作成時には注意が必要です。

今回は、不動産売却のチラシの広告ルールや規制について詳しく解説します。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
このサイトから多数の査定依頼を受けています。(NHK・経済誌の取材実績も)

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不動産売却のチラシの広告ルール・規制

物件情報を眺める

不動産業界は、チラシなどの広告をめぐるルールや規制に厳しい業界です。家や土地などの不動産は持ち運べない商品であるため、古くから広告の活用は広く一般的に用いられていました。

一方で、不動産は一件当たりの取引額も大きく、誤認を誘発するような虚偽表示があれば、社会への損害も大きくなることから、広告に関するルールや規制が早くから整備されてきました。

広告ルール・規制に関する法律

宅地建物取引業法では、第32条で「誇大広告等の禁止」が、第33条で「広告の開始時期の制限」がそれぞれ定められています。

宅地建物取引業法

第三十二条 宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

(広告の開始時期の制限)

第三十三条 宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。

(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)

引用元:電子政府の総合窓口 e-Gov「宅地建物取引業法」

この他にも、不動産業界の自主規制団体である不動産公正取引協議会連合会は、「不当景品類及び不当表示防止法」(いわゆる景品表示法)にも違反しないよう、業界独自のルールである「不動産の表示に関する公正競争規約」を定めています。このルールの中には、「表示すべきこと」や「不当表示の禁止」などが盛り込まれています。

表示すべきこと

  • 広告主に関する事項
  • 物件の所在地、規模、形質その他の内容に関する事項
  • 物件の価格その他の取引条件に関する事項
  • 物件の交通その他の利便及び環境に関する事項
  • 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項

上記の事項を「見やすい場所に見やすい大きさ、見やすい色彩の文字でわかりやすく表示すること」と規定されています

不当表示の禁止

  • 不当な二重価格表示
  • 不当な比較広告
  • 交通の利便性
  • 各種施設までの距離
  • 建物の間取り・用途
  • 写真・絵図

不当表示では、駅までの距離を短縮して書いたりするなどのケースが含まれており、注意が必要です。

広告ルール・規制の対象・内容

こうした広告ルールや規制は、不動産に関するあらゆる広告を対象にしています。
ダイレクトメールやポスティングに活用されるチラシ以外にも、新聞やポスター、放送、インターネットなどの全ての媒体が規制の対象となっています。

宅地建物取引業法によれば、規制の対象となる表示は、「実際よりも著しく事実に相違する表示」、「実際よりも著しく優良、有利であると一般消費者に誤認されるような表示」です。
ポイントは、一般消費者を誇大広告によって誤認させる場合だけでなく、あえて表示しないことによって結果的に一般消費者を誤認させるケースも含まれていることです。

このように、不動産業界の広告に関するルールや規制は厳しいため、違反がないように注意してチラシなどの広告を作成する必要があります。

不動産売却のチラシ作成依頼時の注意点

広告作成

不動産売却に関するチラシを不動産会社に作成依頼する際、広告ルールや規制を守ることが大切です。しかし、判断に迷うようなグレーな部分もあり、あらかじめ知っておくことで十分に注意したいところです。

チラシはグレー表示になりがち

チラシを作成していると「誇大表示」になりがちです。故意に誇大表示しようと思っていなくても、誇大表示になってしまう傾向があります。

たとえば、売主が歩測したところ駅まで5分だった時に、チラシに「徒歩5分」と記載するケースです。成人の足で5分かかった距離であっても、高齢者や家族連れでは5分でたどり着かないことが起こりえます。途中に信号や踏切がある場合、渡る時間を考慮したかどうかで結果は異なります。

あくまで目安ですが、不動産広告では「80m=1分」で表示されます。

このように、不動産のチラシは、結果として実態とは少し異なるグレーな表示になりがちです。

価格表示は慎重に

中古住宅は新築物件とは異なり、チラシに表示した売り出し価格で売却できるとは限りません。
売り出し価格と成約価格が異なるケースがほとんどで、値引き幅は売り出し価格の設定にもよるものの、5〜10%程度はあります。

購入希望者にとって最も重要な情報が売り出し価格になります。真剣に購入を検討している人ほど、売主以上に相場を把握しています。
そのため、売り出し価格の値付けで失敗すると、売買成立まで時間がかかってしまう、大幅な値下げを余儀なくされる、などの状況に陥ってしまいます

売り出し価格の設定では、強気すぎるのも弱気すぎるのも避けながら、相場価格の少し高めに設定することがポイントです。

参考:不動産売却における売り出し価格の決め方とは?【査定価格と成約価格の違いも解説】

不動産売却のチラシがなくても買主は募集できる

パソコンで探す

売却予定の物件について記載したチラシを作成し、ダイレクトメールとして送る、近隣エリアの家にポスティングする手法は、広く活用されている方法です。
チラシを上手に活用しターゲットに訴求すれば、早期売却につなげることも可能です。

しかし、不動産売却のチラシを作成しなければ買主が募集できないかといえば、決してそうではありません。
不動産売却における各種広告費用は、売買成立時に不動産会社に支払う「仲介手数料」に全て含まれています。
そのため、チラシ以外にも不動産売却に関する広告の種類や特徴を知っておくと良いでしょう。

参考:不動産売却の広告費は会社が負担!その内容や売れる広告の特徴を解説

不動産会社のウェブサイトで紹介する

不動産会社が独自に運用している自社ウェブサイトに物件広告を掲載する方法です。インターネットの普及により、不動産会社の店舗を訪れなくても、基本的な物件情報にアクセスすることができるようになりました。
その結果、まずは広くウェブサイトを訪問し、基礎的な情報の収集を行う潜在的な買主が増えています。

ウェブサイトに物件広告を掲載するメリットは、間取りやデザイン、機能などのさまざまな情報を実際の写真とともに掲載できることです。
不動産会社によっては、不動産の購入希望会員に対して、メール配信で物件を紹介しているところもあります。
ウェブサイトへ掲載することによって、物件情報へ興味を抱いた人に対して、実際の店舗や電話への問い合わせに段階的に誘導することになり、成約に向けたアプローチを進めやすいのも特徴です。

現地に立て看板を設置する

売却予定物件のある現地に立て看板などを設置し、通りがかりの人にアピールする方法です。
立て看板だけでは物件の詳しい情報は伝えられませんが、現地の雰囲気や特徴をまず知ってもらい、問い合わせにつなげやすいメリットがあります。

また、国道沿いや人通りの多いエリアに現地広告を出すことで、潜在的な買主に対してアピールする手法もあります。

全国の不動産会社が利用するデータベースに登録する

全国の不動産会社が使っている不動産のデータベースとして、「レインズ」があります。
レインズは不動産会社などの「宅地建物取引業」の資格保有者だけが閲覧することができます

不動産の売買では、売主・買主の双方から良い物件を求めて不動産会社に相談が集まります。
不動産会社間のやり取りは、レインズを通じて内覧や交渉の申し込みをするのが一般的であるため、レインズへ登録することが一種の広告効果を持ちます。

なお、売主が不動産会社と結ぶ媒介契約のうち、一般媒介契約はレインズへの登録義務はありませんが、専任媒介契約と専属専任媒介契約はレインズへの登録が義務付けられています。

一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の違いに関する詳しい記事はコチラから

>>【不動産売却の基礎知識】3つの不動産媒介契約の種類と違いについて

大手不動産ポータルサイトへ掲載する

テレビCMなどで認知度を高めながら、全国規模でサービスを展開している大手不動産ポータルサイトへ物件情報を掲載するのも、有力な広告手法の1つです。

レインズが不動産会社などの業者間サイトであるのに対して、こうした不動産ポータルサイトは一般消費者を相手にしながら物件の間取りやデザイン、機能などを直接アピールできます。

物件情報を簡単に検索できるメリットがある一方で、近隣エリアにある不動産と比較検討が容易にできてしまう側面もあります。
特徴や強みを持った物件でなければ、膨大な情報の中で埋もれてしまい、契約になかなかつながらないというケースも少なくありません。

代表的な不動産ポータルサイト
  • SUUMO(スーモ)
  • HOME’S(ホームズ)
  • at home(アットホーム)

広告宣伝の上手な会社に不動産売却を依頼して成功へ導こう:まとめ

不動産の売却にかかる広告費は、基本的に媒介契約を結ぶ不動産会社側の負担です。
売主が不動産会社に支払うのは、売買成立時の仲介手数料のみですが、潜在的な買主に訴求できない広告ばかりでは、不動産売却を成功に導くことは困難です。

不動産の広告ルール・規制は厳しいものの、その内容や特徴を踏まえながら上手にチラシなどの広告を作成することが大切です。チラシ以外にも有力な広告手法が存在します。
広告宣伝の得意な不動産会社とともにさまざまな広告手法を使って、ぜひ不動産売却を成功させてください。

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