【生前贈与と相続】不動産の場合はどちらが得?3つのポイントで解説

生前贈与と相続

「不動産の【生前贈与】と【相続】どっちがお得なの?」
「そもそも【生前贈与】って何?」

 

こんな疑問にお答えします。

結論から言うと、「不動産を生前贈与するか相続するか問題」には正解がありません。
重要なのは、現在の状況と今後の見通しをよく考えて、将来後悔しないよう冷静に判断すること
です。

空き家になった自宅や実家をどのように処分するか。これは、多くの人が突き当たる問題です。基本的に何もしなければ、不動産も相続財産として相続人に相続されることになります。

しかし、戸建て・マンションなどの不動産は「家族の繋がり」「帰る場所」を象徴する大切な存在だからこそ、「どうでもいいや」と簡単に結論付けることはできません。

娘や息子に渡したい。孫に受け取ってもらいたい。こんなふうに、自分の思い描く不動産の処分があるはずです。

今回は、不動産の場合の「生前贈与と相続はどちらがお得なのか」という問題を深堀りしていきます。
自分の思い描く不動産処分を実現しましょう。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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不動産の場合は生前贈与と相続のどちらが得なのか?

冒頭で、不動産の場合「生前贈与と相続のどちらを選択したらお得なのか」問題に正解はないと言いました。
正確には、自分が納得すれば「どちらも正解」です。

だったら、生前贈与と相続の違いを知って、きちんと活かした方法で自分の希望に添う不動産処分を実現したいですよね。

それでは具体的に説明していきます。

お金の相続・贈与であれば税率の計算上(下記の税率表参照)相続の方がお得になりますが、不動産の贈与・相続になると、時期や景気などによって価値が変化します。

極端な例を言えば、景気がよく地価が上昇しているときに1億円の価値がある不動産の贈与をうけたものの、10年後に不景気に陥り地価の下落によって1,000万円の価値になってしまった場合、高い贈与税を払った分を考えるとマイナスになる可能性もあります。

ただ、贈与した側の人によっては、希望通りの相手に渡したという点で、気持ち的には得ということになるかもしれません。

生前贈与と相続のどちらがお得になるのかは、事情によってケースバイケースです。全てのケースにおいて相続がお得というわけではありません。不動産を処分するなら、とにかく生前贈与がお得だと決まっているわけでもありません。

まずは、不動産処分において「優先順位」「自分の希望」「事情」「税金の負担」をきちんと整理しましょう。
その上で、以下の2つの点をよく考え、生前贈与と相続の自分の不動産処分にとってどちらがお得になるかを比較して決めることがポイントになります。

  • どのような不動産処分を希望しているのか
  • 税金や手続き的な負担はどうなのか

生前贈与と相続の違いを3つのポイントでおさえる

生前贈与と相続の違い
生前贈与と相続は、自分の財産である不動産を自分以外の人に渡すという意味では同じです。どちらも不動産処分の1つのかたちです。

しかし、同じなのは「誰かに渡す」ところだけで、他の点は大きく異なっています。生前贈与と相続を使い分けるためには、違いについて知っておくことが必要です。

生前贈与と相続の違いを知った上でメリットとデメリットを比較し、どちらがより自分に合っているか、どちらがより自分の思い描く不動産処分が実現できそうかを検討することが重要になります。

生前贈与と相続の違いは、次の3つのポイントで要点をおさえることができます。

  1. 生前贈与は「自由に」不動産を処分。相続は不動産が「相続人」へ
  2. 生前贈与は「好きな時に」できる。相続は「死」によって発生
  3. 生前贈与は「贈与税」の対象。相続は「相続税」の対象になる

①生前贈与は「自由に」不動産を処分。相続は不動産が「相続人」へ

生前贈与は、「自分が渡したい人」に対して自由に不動産を渡すことができます。相手が親族かどうか、相続人であるかどうかを問いません。
友人、知人、子供や孫、お世話になった人、赤の他人。誰でも問題ありません。

不動産を誰に贈与するかは、不動産の持ち主が自由に決めることができます。贈与とはプレゼントです。贈り物は贈り主が誰にあげようが自由です。不動産の贈与も、もちろん自由です。

対して相続は、「相続人」に不動産の所有権が移転することが基本です。
相続人は、相続が発生した時点で決まります。

法律によって決まっているため、生前贈与のように、不動産名義人の意思によって自由に受け取り手を決めることはできません。
生前に遺言書をしたためておくなどの対策を取ることにより、相続においても不動産処分を柔軟に行うことができるようになっています。

しかしながら、遺言書などを生前に準備しておかなければ不動産は相続人の相続財産になります。
不動産名義人の自由意思で渡したい人に渡すということができません。

  • 生前贈与は不動産名義人が渡したい人に対して自由にプレゼントできる。
  • 相続は、遺言書などの準備をしていない限り相続人に渡る。

この違いをはっきりさせておきましょう。

②生前贈与は「好きな時に」できる。相続は「死」によって発生

生前贈与と相続では、不動産が受け取り手に渡るタイミングが異なります。
生前贈与では、不動産の持ち主が「不動産をあげたい」と考え、実行に移すタイミングで受け取り手に渡すことができます。
つまり、生前贈与したいタイミングで渡すことができるのです。

相続は、不動産をあげたいと思ったタイミングで渡すことはできません。
相続は法律で死によって発生すると定められています。極めて不確定な存在が死であり、そんな不確定な死によって発生するのが相続です。

相続が発生するタイミングとは死ですから、生前贈与のように不動産をあげたいからといって自由意思1つでできることではありません。

自分の好きなタイミングでできるのが「生前贈与」で、好きなタイミングでできないのが「相続」である。
このポイントも明確にしておきましょう。

③生前贈与は「贈与税」の対象。相続は「相続税」の対象になる

生前贈与と相続では、課税対象になる税金が異なります。

生前贈与は贈与の一種ですので、贈与税の課税対象になります。相続は相続税の課税対象になります。

不動産を「相手に渡す」ことに対しては、全般的に税金が課税されることになります。
どうやって渡すか(相続なのか贈与なのか)によって、税金が変わってくることは重要なポイントになります。

税金の種類が変われば、税率も変わります。税率が変われば、支払うことになる税金の総額も大きく変わってくることになるからです。

生前贈与は「贈与税」で、相続は「相続税」の対象
生前贈与と相続税を比較して選択する上で重要になるポイントの1つです。

贈与税の税率

一般贈与財産用(一般税率)
兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合など

基礎控除(110万円)後の課税価格税率控除額
~200万円以下10%
200万円超~300万円以下15%10万円
300万円超~400万円以下20%25万円
400万円超~600万円以下30%65万円
600万円超~1,000万円以下40%125万円
1,000万円超~1,500万円以下45%175万円
1,500万円超~3,000万円以下50%250万円
3,000万円超~55%400万円

特例贈与財産用(特例税率)

直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日時点で20歳以上の子・孫などへの贈与税
祖父から孫への贈与、父から子への贈与など

基礎控除(110万円)後の課税価格税率控除額
~200万円以下10%
200万円超~400万円以下15%10万円
400万円超~600万円以下20%30万円
600万円超~1,000万円以下30%90万円
1,000万円超~1,500万円以下40%190万円
1,500万円超~3,000万円以下45%265万円
3,000万円超~4,500万円以下50%415万円
4,500万円超~55%640万円

相続税の税率

各法定相続人の取得金額※税率控除額
~1,000万円以下10%
1,000万円超~3,000万円以下15%50万円
3,000万円超~5,000万円以下20%200万円
5,000万円超~1億円以下30%700万円
1億円超~2億円以下40%1700万円
2億円超~3億円以下45%2700万円
3億円超~6億円以下50%4200万円
6億円超~55%7200万円

※「各法定相続人の取得金額」とは、相続財産の課税価格合計額から、基礎控除およびその他の控除額を差し引いた課税遺産総額を、それぞれの法定相続分で按分した金額

基礎控除額
3,000万円+600万円×(法定相続人の数)

参考:不動産を相続したらどうする?進め方を3つのステップで解説!

不動産の処分は不動産会社に相談すること:まとめ

不動産を生前贈与した方がお得になるのか。それとも、相続の方がお得なのか。どちらがより自分にとってお得になるのかは、事情や希望によります。

すぐに不動産を孫や子供に援助したいのなら、適切なタイミングで渡すことのできる生前贈与。
不動産の処分は相続人に一任したいという場合は相続など、方法の使い分けをすることが重要です。

不動産ごとに相続と生前贈与を使い分けてもいいでしょう。
生前贈与と相続には税金も絡んできます。

まずは、「自分はどうしたいのか」「不動産をどうしたいのか」といった希望やニーズを頭の中で整理するところからはじめてみてみましょう。

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