【農地の売却】6つの注意点と2つの売却方法を徹底解説

農地

「農地を売却したい」
「そもそも農地は売却できるの?」

 

こんな要望にお応えします。

農地の売却は、農地法を守って進める必要があります。
農地の扱いは農地法という法律で強く縛られているため、「売りたい」「農業をしないから土地を持っていても不要」という人でも、自由に売却することができません。

農地の売却を成功させるためには、農業委員会の許可を取ったり、農地を普通の土地に転用したりといった特殊な手続きも必要です。

そこで今回は、農地の売却に必要な取引上の注意点や、具体的な農地の売却方法などを詳しく解説していきます。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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農地の買い主は農家だけ!農地の売却に関する注意点

農地の売却における主な注意点は次の5つです。
基本的に、農地の売却には数多くの制限がかかるので、最低限必要な売却の条件を押さえておきましょう。

1. 農地は農家または農業を始める人にしか売却できない

農地を売却できるのは、以下の人です。

  • 現役の農家
  • これから農家を始める人

農地は農業をするために必須の資産であり、簡単に農地の売買を認めてしまうと、農家が減って国の食料自給率が下がってしまいます。

最低限の食料自給率を確保することは国策なので、農地の扱いや売買は「農地法」という法律で強力に縛られているのです。
そのため、基本的に農家ではない人に農地を不動産売却することはできません。

「これから農業を始める人」の対象条件も以下のように厳しく設定されています。

  • 農地を農地として活用できる
  • 年間で最低150日以上農作業する
  • 市区町村ごとに存在する基準以上の広さの農地を使って農業ができる
  • 近隣の農家に迷惑をかけない

農業1本で暮らしていく覚悟のある人、または現役農家で農地を拡大したい人しか、売却相手にすることができません。

2. 農地を売却する場合は農業委員会の許可を取る必要がある

3条許可

農地を売却する場合、「農業委員会」という組織の許可が必要です。

農業委員会とは、農地法を基準に各農家や農地に対して指導をしたり、事務手続きをしたりする組織のことで、市町村ごとに存在します。

そして、農業委員会によって出される不動産の売却に関する許可は、「3条許可」と呼ばれるものと、「5条許可」と呼ばれるものの2種類です。

3条許可とは、農地を農地のまま売却する際に必要な許可のこと。

農地を将来の農家や知り合いの農家に売却する場合でも、農業委員会が売却を許可しなければ、売却手続きは白紙に戻ってしまいます。

一方の5条許可は、持っている農地を農地以外の土地として転用したうえで売却する際の許可のことです。

3条許可も5条許可も、基本的に農地法の内容で許可の可否が決まるので、農地を売るなら農地法の条文にも目を通しておきましょう。

3. 近隣に農地を欲しがっている人がいないと売却するのが難しい

先ほど説明した通り、農地を売却できるのは農家または本気で農業を始める人だけです。

現実的に考えれば、北海道で農業をしている人が宮崎の農地を買っても管理できないので、農地を農地のまま売却する場合は近所の農家へ売却することになるでしょう。

ただし、近隣の農家が農地を広げたいと考えているかどうかは相手次第です。

残念なことに、日本の農家も高齢化や後継者不足といった深刻な問題を抱えています。農地の拡大どころか、跡継ぎがいない、体力が衰えてきたなどの理由で廃業や農地の縮小を考えている人も少なくありません。

「農地を買いたい」と考えている人が単純に少ないので、農地を売却する場合はどうやって買い主を見つけるかが大きな問題になってきます。

4. 農地は一般的な土地に比べて圧倒的に単価が安い

農地の売却における注意点として見逃せないのが、取引価格の安さです。

基本的に、農地は農業をするためにしか使えない土地なので、購入しても活用することができません。

一般的な土地の価格は、購入後の自由度(空き地と建物つきの土地なら空き地のほうが様々な用途で使える)と立地によって価値の大半が決まります。

建物を建ててビジネスや住まいとして利用できない農地は、農業用途でしか使えない時点で大きなハンデを抱えているのです。

また、農地は税制の優遇も受けているので、宅地を始めとした普通の土地よりも維持費がかかりません。

買い主の少なさ、利用用途の狭さ、維持費の安さといった複数の要因から、農地は一般的な土地よりも安い金額で取引されています。

農地を売ってもあまりお金にならないことは、あらかじめ知っておきましょう。

5. 不動産会社によって仲介手数料が大きく変わる

土地を売却する際に不動産会社に仲介を頼んだ場合、「仲介手数料」という費用がかかります。

仲介手数料は、「宅地建物取引業法」という法律で内容や上限額が決められた支払いです。

本来、宅地建物取引業法が想定しているのは、名前の通りあくまでも宅地の取引だけなので、「農地」の売却手続きに仲介手数料のルールを持ち込む必要はありません。

しかし、実際には慣習として、農地の売却にかかる費用も仲介手数料の額を基準にするのが一般的です。

ルール遵守の義務がない以上、具体的な金額は契約する不動産会社によって変わってくるため、「農地の売却にいくらかかるのか」は不動産会社と媒介契約を交わす前に聞いておきましょう。

参考:不動産売却で仲介手数料っていくらかかるの?失敗しないための基礎知識

6.農地売却にかかる税金

農地の売却時も、普通の不動産売却時と同じ税金がかかりますが、譲渡所得税の特別控除に大きな違いがあります。

普通の不動産売却では居住用財産の3,000万円特別控除がありますが、農地売却では以下の特別控除があります。

特例の種類注意点控除額
農地保有の合理化のため農地を売却した場合の特例農業経営基盤強化促進法の農用地利用集積計画等による譲渡800万円
特定住宅地造成事業などのために農地を売った場合の特例農地中間管理機構に譲渡1,500万円
農地中間管理機構に譲渡した場合の特例農業経営基盤強化促進法の農用地利用規程に基づく譲渡2,000万円

参考:農地中間管理機構とは?(農林水産省公式サイト)

おすすめは農地転用後の売却!農地の不動産売却方法を解説

農地売却

農地の売却方法は、大きく分けると、以下の2種類です。

  • 農地を農地のまま売る
  • 農地の地目を変更して普通の土地として売る

また、売却手続きを不動産会社に任せる方法もあります。ここからは、具体的な農地の不動産売却方法を押さえていきましょう。

農地の売却は最寄りの農協などに相談しよう

農地の売却手続きは、以下の流れで進んでいきます。

  • 農地の売却を決意する
  • 最寄りの農協や個人的な知り合いなどを通じて買い主を見つける
  • 代金の決済をして農地の所有権移転登記をする

一般的な土地の売却と違って、農地の価格は安いですし、そもそも買い主が見つからないので価格交渉や競争もほとんど起こりません。

そのため、知り合いや農業関係の組織を通して不動産売却する場合、面倒な手続きの多くを省略できます。

農地売買に強い不動産会社を頼るのもひとつの手

「近隣に農地を買ってくれそうな人がいない」
「遠方の親が持っていた農地を相続したものの、誰に相談すればよいのか分からない」

という場合は、農地の売却に強い不動産会社を頼りましょう。

不動産会社に相談していれば、農地に関する問い合わせも任せられますし、取引の準備や契約書の作成で手間取ることもありません。

しかし、売り主が見つかるかどうかは運も絡んできます。万が一条件のよい買い主が見つかればすぐに農地を処分できますが、農家の少なさを考えると売却は難しいので、農地を売る際は時間の余裕を確保しておきましょう。

5条許可で農地を別の土地に転用して売却する

農地を少しでも短い期間で、できるだけ高く売却したい場合は、土地の地目を農地から別のものに変更し、一般の土地として売り出すという方法がおすすめです。

土地の利用用途は「地目」という形式で定められていて、地目の転用という手続きをしない限り、土地の地目を勝手に変更することはできません。

そして、農地を宅地などに転用する場合は、「立地基準」と「一般基準」という2つの基準をクリアする必要があります。

細かい条件の説明はさておき、重要なのは市街地に近い小規模な農地のみ転用が認められるという点です。
広大な農地など、食料生産において重要度の高い農地については原則売却を認めてもらえません。

また、農地を農地以外の土地にするということは、日本の食糧生産量を下げるということにもつながるため、「十分な資産があるか」「関係者の同意があるか」「各種規制を守っているか」といった一般基準のクリアも必要です。

条件こそ厳しいものの、農地を宅地に転用できれば買い主の選択肢も増えますし、売却額も高くなります。

参考:不動産売却時に地目変更は必要?自分で行なう方法や必要書類も詳しく解説

農地は日当たりのよさや土壌の状態によって売却価格が変わる

土壌

農地の不動産売却における特殊な点のひとつが、査定の方法です。一般的な宅地の売却額は、駅との近さや広さによって決まります。

しかし、農地の価格は、以下の条件も査定対象となります。

  • 日当たりのよさ
  • 土地ごとの降雨量や湿度
  • 土壌の状態(休耕地などは価値が下がる)
  • 農地を囲む農道の状態
  • 水路の整備状況
  • 災害発生時のリスク

基本的には、周辺環境が整備されていたり、よい土壌を持っていたりするなど、農業の生産に向いた土地であればあるほど高額で売却できます。

農地として条件のよい土地でも、山奥など交通の便が悪い場所にある場合は取引額が下がります。
そのほか、法律や地域の条例を遵守しているかどうかも判断基準のひとつです。

広い土地だからお金になるだろうと安易に考えて売却を始めると、想像以上に安く農地を手放すことになってしまいます。農地の売却方法はメリットや手間を見極めながら進めていきましょう。

売却時の注意点を知って有利な条件で農地を売却しよう:まとめ

農地の売却手続きは、買い主さえ見つけられれば個人でも対応可能です。

ただし、農地を売却するためには農業委員会の許可などが必要です。

場合によっては、不動産会社の力を借りたり土地の状態をチェックしたりする必要もあるため、農地の不動産売却は焦らずに進めましょう。

売りたい、農業をするつもりがないと考えていても、農地の売却にはそれなりの時間や準備の手間がかかります。
少しでも高く農地を処分するためには、農地法を始めとした農地売却の注意点を押さえておくことが重要です。

必要に応じて農地を農地のまま売ったり、宅地などに転用し一般の土地として売り出したりして、少しでも多くの利益を残せる方法で売却手続きを成功させましょう。

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