土地売却における「測量」の必要性や流れ・費用について徹底解説

測量

「土地売却の際に聞く測量って何?」
「測量をしてもらう際の流れや費用は?」

こんな疑問にお答えします。

土地売却において、人によって必要になる手続きのひとつが、測量です。土地の売却価格は、基本的に「面積」で決まります。

ただ、残念なことに、法務局の登記簿謄本に残されている公的な土地の面積が、現実の土地面積を正確に反映しているわけではないため、「調べてみるともっと広い土地だった」といったことも少なくありません。

そんなとき、事前に測量をして正確な地積を調べておけば、土地売却額をアップできるのです。

とはいえ、測量にはお金も時間もかかります。すべてのケースで測量が必要になるというわけではないので、土地売却における測量の必要性や手続きの流れといった、測量の基本を押さえていきましょう。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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測量とは土地の広さや面積を調べて境界を確定させる作業のこと

測量機器

測量とは、「測量士」や「土地家屋調査士」といった専門家の手で、土地の広さや境界線を調べてもらう作業のことです。

基本的に、日本では土地の権利関係をすべて「法務局」という国の機関で管理しています。ただし、法務局に登録されている土地の面積や境界は、あくまでも登記をした時点のもの。

例えば、「先祖代々受け継いできた土地」など、第三者との土地売却が起こらず相続されてきた土地だと、「そもそも登記をした時点で境界を適当に決めていた」というケースも少なくありません。

登記簿に載っている土地の面積が本来の面積よりも少なければ、測量をして正確な地積を確定させるだけで、査定額や土地売却額を上げることができます。

土地売却で測量が必要になるケースは境界線が分からない場合など

土地売却において、測量が必要になるのは以下のようなケースです。

  • 古い土地で境界線がどこか分からない
  • 隣地の所有者とトラブルになっている
  • 地価が高い土地を所有している
  • 分筆した土地を売却する

古い土地で境界線がどこか分からない

古くてどこが境界なのか所有者もわかっていない土地や、土地の境界を示す境界杭・フェンス等がない土地など、境界線がはっきりしない土地売却をするときは、測量することをおすすめします。

親しい間柄で売買する場合ならともかく、不動産売却の取引相手は、基本的に売主と一切関係のない第三者です。買主の立場になってみれば、「境界は多分この辺だ」といわれても安心して土地を購入することができません。

土地の権利は、「境界」によって区切られています。境界があいまいということは、自分が考えている敷地が実は隣地所有者のものだったり、隣地の所有者が使っている土地が自分の土地だったりする可能性があるということです。

万が一、家の周りに建てた塀が相手の敷地に侵入していた場合、相手の財産を不当に利用していることになります。

相手側が土地の無断利用を許してくれるかどうかは未知数ですし、たとえ最初のオーナーが侵入を許してくれたとしても、将来的に隣地が売却され、所有者が変わったらどうなるか分かりません。

このように、境界のあいまいな土地はトラブルになるリスクが高いです。市場でも人気がないので、境界が良く分からない場合は事前に測量を受け、土地の境界を確定させたほうが良いでしょう。

隣地の所有者とトラブルになっている

隣地の所有者とすでに何らかのトラブルを起こしている場合も、土地売却前の測量がおすすめです。原因がどうであれ、ご近所トラブルの多くは感情的なもつれから起こります。極端な話、こちらに迷惑をかけるため土地の内見を邪魔してきたり、売却後に買主とご近所トラブルを起こしたりすることもないとはいえません。

土地売却における不安要素を取り除き、少しでも良い条件で売るためには、測量で境界や土地の広さを明らかにし、隣地の所有者が文句をつけられないようにしておきましょう。

参考:事例を知って事前に回避!不動産売却時のトラブル【越境編】

地価が高い土地を所有している

もし、大きな駅の近くなど、地価の高いエリアの土地を持っている場合も、測量の実施がおすすめです。地価の高い土地は、測量でわずかでも面積が増えればその分売却価格が高くなります。

測量にも費用はかかりますが、その費用を上回る売却額アップが狙えるなら測量をする価値はあるといって良いでしょう。

とはいえ、地価の高いエリアの土地でも、数年以内に売買されていたり、分譲地等で購入前に測量していたりして、すでに測量が終わっている場合は無理に測量をするメリットはありません。

また、測量によって売却額アップを狙えるのは、あくまでも需要も地価も高い土地だけです。

地方や郊外の広大地など、需要の少ない土地だと測量にかけたお金を回収できないので、注意しておきましょう。

分筆した土地を売却する

不動産の世界では、土地を「筆」という単位で数えます。分筆とは、ひとつの不動産を複数の筆に分割する手続きのことです。

分筆手続きをする場合、もともとの土地をどう分けて、新しい土地にしたのかを記録する必要があるため、そもそも測量が必須の手続きとなります。

「土地を持て余しているので切り分けて売却する」「親が敷地の一部を分筆して親族に売る」といったケースでは、必ず土地売却前に測量が必要になるため、覚えておきましょう。

参考:不動産売却前に知っておくべき「分筆」について3つのポイントで解説

測量の主な種類は現況測量と確定測量の2種類

メジャーと杭

測量の主な種類は、「現況測量」と呼ばれるものと「確定測量」というものの2種類です。どちらも測量というくくりでは同じものですが、測量結果の信頼性や費用など、細かい部分には様々な違いがあるため、知っておきましょう。

安価・手軽だが客観性が薄い現況測量

現況測量は、土地の状態をそのまま専門家に見てもらい、境界線や土地の面積を調べるという測量方法です。本来、正式な測量手続きは、結果次第で登記簿の内容を変更することになるため、隣地所有者の立ち会いや行政の許可も必要になります。

しかし、現況測量の場合、土地売却を考えている売主の責任だけで依頼できるため、より手軽に売却予定地を測量することが可能です。

土地の現況から測量結果を求めるので、既存のブロックや塀、フェンスといったものも利用します。そのため、土地の境界が空き地だったり、もともとどちらかが境界を越境していたりする場合、正確な測量をすることができません。

隣地の所有者や行政の立ち会いの元正確な測量をする確定測量

確定測量は、隣地の所有者に立ち会ってもらい、行政の承認を受けて行う測量手続きです。隣地の所有者の同意を得て境界を確定させるため、後々境界に関してトラブルになる心配がありません。

また、確定測量をすると、登記簿の変更が可能です。空き地など、境界の目安となるものがない場合でも、新たに境界杭等を設置して正確な測量をすることができます。

現況測量に比べて信用度も高いので、買主の不安を軽減したい場合は、確定測量を依頼すると良いでしょう。

業者探しから測量図の作成まで!土地売却の前に測量を依頼した場合の流れ

土地売却を目的とする測量手続きの流れは、以下の通りです。

  • 測量士や土地家屋調査士を見つける
  • 測量に必要な資料の確認
  • 隣地所有者へのあいさつ
  • 測量の実施
  • 関係者立ち会いのもとで境界を確定させ境界杭を設置する
  • 測量図を作る
  • 測量結果が登記簿と違う場合は法務局で登記を更新する

測量士や土地家屋調査士を見つける

土地の測量は、「測量士」または「土地家屋調査士」のどちらかに依頼できます。両者の違いは、測量後に土地の登記までできるかどうかです。

測量の結果、もともとの登記簿と新しい測量図の内容が違う場合、「土地家屋調査士」に依頼を出して登記を更新してもらう必要があります。

ただ、多くの人は測量士や土地家屋調査士への伝手がないので、土地売却を仲介してもらう不動産会社に依頼し、信頼できる専門家を紹介してもらいましょう。

測量に必要な資料の確認

測量をするにあたって、境界に関するトラブルを伝えたり、法務局の登記簿を取り寄せたりして、土地の現状を確認します。現況測量でも確定測量でも、ここまでの手続きに違いはありません。

隣地所有者へのあいさつ

確定測量では、境界を確定させるために「隣地所有者の同意」が必要不可欠です。測量をする際に相手に立ち会ってもらうため、実際に作業を始める前に隣地の所有者へあいさつをしておきましょう。

トラブルを防ぎ、交渉をスムーズに進めるためにも、重要な手続きです。

測量の実施

確認作業

専門家の知識や機械を使って、測量を行います。この段階では、まだ境界を確定させるわけではありません。

現況測量の場合、隣地の所有者と関係なく作業を進められます。測量自体は、よほど広い土地でもない限り、1日程度で終わるケースが多いです。

関係者立ち会いのもとで境界を確定させ境界杭を設置する

測量作業を終わらせたら、関係者を集めて境界を確定させます。自身・隣地の所有者・行政の担当者全員の同意が必要です。

無事に境界の確定ができたら、誤ってお互いの土地を利用することがないように、境界杭や境界標を設置します。

測量図を作る

最後に、測量結果をまとめた測量図を作成してもらえば、手続きは完了です。測量によって土地がもっと広いことが分かったなど、登記簿の内容と差異が出た場合、「土地地積更正登記」という手続きをして登記簿を更新します。

測量の費用相場は100平方メートルにつき35万円から

測量の費用相場は、おおまかにいうと100平方メートルあたり35万円から80万円ほどです。関係者の立ち会いが不要な現況測量なら、相場より安い金額で測量できる場合もあります。

土地の面積が同じでも、確定測量だと必要な手続きが増えるため、安くても60万円程度かかると考えておきましょう。

なお、その他、土地の広さによっても価格は変動します。広い土地だと測量費用の負担も増えるので、費用対効果を考えて測量を利用するかどうかを決めましょう。

測量して土地売却を有利に進めよう:まとめ

測量をすることで、あいまいな土地の境界を確定させたり、隣地所有者との権利トラブルを防いだりすることができます。ただし、測量費用は安くても35万円が相場です。

本格的な測量となる確定測量を利用する場合、結果が出るまで数ヶ月かかることもあるので、まずは不動産会社に査定を依頼し、土地の売りやすさや条件を見極めてから測量するかどうかを考えましょう。

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