「不動産売却でかかる消費税の種類が知りたい」
「そもそも不動産売却で消費税はかかるの?」
こんな疑問にお答えします。
いま住んでいる家を売却するとき、売る人や売り方、物件の使われ方によっては消費税が課されます。お金をもらうために売るのに、消費税で数百万も取られるのはもったいないことです。
今回は不動産売却の際に課される消費税の項目を紹介し、誰がどんな方法で売ると消費税がかかるか、かからないのかを解説します。
不動産を売るときに1円でも損をしないように、ぜひ覚えておきましょう。
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目次
消費税は事業者として収益を得たとき課税対象になる
そもそも消費税の課税対象となる取引とはどういうものかを知っておきましょう。
- 事業者(法人、事業としての個人)が対価を得て行う取引
- 事業としての資産の譲渡
「事業者」とは、法人はもちろん個人事業主も含まれており、また「事業」とは、収益を得るために同じ方法で何度も収益を上げることを指します。つまり企業や個人事業主、不動産で家賃収入を得ている人などは「事業を行う事業者」となるのです。
そして、事業者が事業の一環として行う取引はすべて課税対象になり、個人が不動産を売った場合、建物は課税対象にはなりません。
不動産売却の非課税対象3項目
不動産売却の非課税対象になるものは以下の3つです。
- 土地、土地の定着物(樹木、庭石など)
- 事業用ではない個人住宅の売却
- 抵当権抹消における登記免許税、印紙税
それぞれ詳しく確認していきましょう。
土地・土地の定着物(樹木、庭石など)は資本の移転のため非課税
土地や土地の定着物は、売却するとき「消費する対象」にはならず「資本の移転」という認識となるため、消費税に関しては個人や事業者関係なく非課税です。
土地売却にかかる税金は「所得税」と「住民税」で、これらは土地売却の金額から算出されます。
個人住宅の売却には消費税がかからない
個人が誰かに家を売った場合、建物自体に消費税は課せられません。
ただしその家が生活の場であることが条件です。賃貸用として家賃収入などの収益を得るために買った家や、事業として使っていた家に関しては、消費税がかかります。
抵当権抹消における登記免許税・印紙税
抵当権とは、不動産購入時に契約した金融機関が住宅や建物を担保に差し押さえられる権利のことを指し、住宅ローンが支払えなくなった場合に適用されます。
不動産を売却するとき、抵当権はローンが完済されていることを確認して抹消しなければなりません。そのときに登記免許税と証明となる印紙税がかかりますが、これらに消費税は課されません。
不動産売却の課税対象6項目
不動産売却の課税対象になるものは以下の6つです。
- 不動産会社が行う建物の売却
- 土地内の地下型車庫
- 個人が行う事業用や賃貸用物件の売却
- 不動産会社への仲介手数料
- 司法書士に支払う手数料
- 融資の繰り上げ返済の手数料
この6つを把握しておくことで、いざ不動産売却をした際に、税金で悩むことがありません。
不動産会社が行う建物の売却
不動産会社は法人(事業者)となるため、建物を売ったとき消費税が課されます。
ただし、会社や事業者でも「2期前の事業年度の課税売上高が1,000万円以下」だった場合は、どんなに多額の不動産を売ったとしても消費税を納めなくてもよいとされる制度があるのです。これを「免税事業者制度」といいます。
土地内の地下車庫
土地や土地の定着物は非課税ですが、土地内にある地下車庫は「設備を譲渡した」と認識され消費税が課されます。
ちなみにマンション売却の場合、使用していた駐車場は売却と同時に使用権が失われるため購入者に引き継げない場合があります。一戸建ては譲渡が済み次第、使用権は購入者に移ります。
個人が行う事業用や賃貸用物件の売却
上述のように個人の不動産売買は原則非課税対象ですが、それは私生活で使っている不動産に限定されます。売却予定の不動産が事業用として使われていたり、家賃収入を得る賃貸物件として購入したりした不動産は売却時に課税対象となります。
つまり、対象の物件で収益を生み出したかどうかがポイントとなるのです。
不動産会社への仲介手数料
不動産の買い手を企業に探してもらった場合は、仲介手数料に消費税が課されます。
仲介手数料は売却時の金額で決められており、3つの区分に金額をそれぞれ充てて計算します。上限が決まっているため消費税を含め計算しやすいのが特徴です。
売却時の金額 | 仲介手数料(上限) |
---|---|
① 200万円以下の金額 | 金額の5% |
② 200万円を超えて400万円以下の金額 | 18万円 |
③ 400万円以上の金額 | 金額の3%+6万円 |
- 400万円以下の金額:18万円
- 400万円以上の金額:400万円×3%=12万円
仲介手数料は、18万円+12万円×税率(10%)=33万3,000円
参考:不動産売却で仲介手数料っていくらかかるの?失敗しないための基礎知識
司法書士に支払う手数料
司法書士は上述した抵当権の抹消や、不動産の権利関係の書類確認・手続きなどを変更してくれます。ほぼすべての不動産会社が、司法書士を通して不動産の売買を行うため、払わなくていいものではありません。
司法書士という第三者が介入することで安全に不動産売買が行なわれます。つまり、対価を払って安全に売却をすると判断されるため消費税の課税対象となります。
融資の繰り上げ返済の手数料
不動産を売却時に、まだ住宅ローンの残債がある場合は一括で繰り上げ完済をする必要があります。返済時は手数料がかかり、これにも消費税が課されます。
不動産売却にかかる消費税率は不動産引き渡し時が基準である
不動産売却時に注意していただきたいのが、消費税の税率です。
原則として、消費税が課税されるのは不動産が売り手から買い手に引き渡されたとき(決済時)にかかります。
そのため、税率が変わる前に引き渡しが決まれば、不動産売却にかかる税金は10%ですが、仮に税率が変わった後に引き渡しが決まった場合はその時の税率が課せられます。
相続された不動産の売却にかかる3つの税金
相続した不動産を売却して得た所得を『譲渡所得』といいます。売却にかかる消費税項目は、上述したもの以外に住民税、所得税、復興特別所得税が課されます。
譲渡所得の計算方法
そもそも譲渡所得とは、最終的に手元に入る利益のことを指します。
以下のように計算して出すことが可能です。
譲渡所得=売却時金額―[取得費(不動産購入時の金額)+譲渡費用(売却時の諸経費)]
資産だけではなく、住民税や所得税、復興特別所得税も相続される
親から譲渡されるのは資産だけではありません。住民税、所得税、復興特別所得税も相続した人が最後に清算する義務が生じるのです
これら税金の税率は、対象の不動産をどれくらいの期間所有したかで変わります。
買った日から売った年の1月1日までが6年以上であれば「長期譲渡」、5年以内であれば「短期譲渡」としてみなされます。またそれぞれの税率は以下のとおりです。
税率 | 5年以内の短期譲渡 | 6年以上の長期譲渡 |
---|---|---|
住民税率 | 30% | 15% |
所得税率 | 9% | 5% |
復興特別所得税率 | 0.63% | 0.315% |
合計 | 39.63% | 20.315% |
【譲渡所得が4,000万円、所有期間が2019年4月1日から2024年5月25日だった場合の合計金額】
この場合、所有期間は5年以内となり短期譲渡にあたるため
4,000万×39.63%=1,585万2,000円
【譲渡所得が5000万円、所有期間が2018年12月13日から2024年6月30日だった場合の合計金額】
この場合、所有期間は6年以上となり長期譲渡にあたるため
4,000万×20.315%=1,015万8,000円
短期譲渡・長期譲渡の違いやメリット・デメリットに関する詳しい記事は下記をご覧ください。
>>不動産売却は短期譲渡・長期譲渡のどちらがお得?3つのポイントで徹底比較
消費税の課税項目は売る人や売り方、物件の使われ方で変わる:まとめ
不動産を売却するときに消費税がかかるかどうかは、売る人や売り方、物件の使われ方で変わります。個人が生活するためだけに使っている家であれば、建物に消費税はかかりません。
ただ不動産売却に関わるすべての項目が免税というわけにはいかず、不動産の仲介手数料や司法書士を利用するための手数料には消費税がかかります。
また売却予定の不動産が事業用や、賃貸として家賃収入を得ることが目的であった場合は建物にも消費税がかかるのです。
売ろうとしている物件がどのような用途で使われていたかを明確にしておきましょう。不動産売却を検討している中で、多くを税金に持っていかれて損はしたくないものです。あらかじめどんな税金がかかるかを把握して、売却したときに損をしないようにしましょう。
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