【不動産売却価格が下がる可能性アリ?】日銀が金融政策を修正

金利をめぐり日銀の政策が揺らいでいます。
2018年7月31日に日銀が長期金利の変動幅を拡大する方針を公表しました。
金利を上げていくのかと思いきや、超低金利は「当分の間、維持する」とも表現しており、金利が今後どのように動いていくのか読み切れない状況となっています。

一方で、アメリカをはじめとする世界各国の中央銀行は数年前から利上げに踏み切っており、日本も利上げが行われるのは時間の問題と言われています。
では金利が上がると不動産価格にはどのような影響を与えるのでしょうか。

そこで今回は、金利上昇と今後の不動産価格への影響、さらには新型コロナウィルスの不動産市場における影響についても解説いたします。

不動産無料査定申し込みはこちら
STEP1都道府県を選択
STEP2市区町村を選択

超低金利に支えられた住宅市場

政策が押し上げてきた不動産価格

ここ数年、国内の不動産価格は上昇傾向にあります。
不動産価格が上昇している理由の一つに、高い住宅取得意欲があります。
高い住宅取得意欲を生み出している原因は、住宅ローン控除やすまい給付金などによる「住宅取得政策」と超低金利を背景とした「住宅ローン金利の安さ」です。

住宅取得政策は2014年の消費税が8%に増税されたタイミングで、現在のような枠組みになりました。
全国の平均地価も2014年から上昇に転じ、住宅取得政策が功を奏したと言えます。

その後、2016年2月より日銀がマイナス金利を導入したことにより、住宅ローンの金利が一層低くなり、ますます住宅購入の環境整備が後押しされました。

矛盾を抱える不動産市場

教科書的には、土地価格が上昇するような局面においては、土地価格の高騰を抑えるために日銀は金利を下げるのが本来の仕事です。
ただ、現在の金利政策はその逆で、土地価格の上昇局面で、さらに住宅取得を煽るかのように金利を下げる動きをしてきました。
2018年8月時点では、住宅価格はかなり高くなっているため、実際のところ購入者にとっては買いにくい状況です。
しかしながら、金利が安いという状況では買い時の状況になっています。
一方で、不動産を売却する側にとっては、現在の状況は不動産価格が高いため売りどきと言えます。

よって、現在は「買い時」と「売り時」の相反する状況が両立しているという不思議な状態が続いています。
矛盾したマーケットの状況で、不動産価格は上がり、不動産市場という風船が膨らみ続けているのです。

金利が上がるとどうなるか

では、金利が上がってしまったらどうなるのでしょうか。
金利が上がれば、今の不動産市場の風船は恐らく「パンッ!」と破裂します。
金利の上昇は、風船を破裂させる針となり得ます。

現在は売り時でもあり、買い時でもありますが、売り時に関しては、矛盾がありません。
一方で、買い時に関しては、矛盾を抱えた状態にあります。
住宅ローン環境は良いものの、住宅価格そのものが高いため、一点の曇りなく買い時かというと、そうとも言えない状況です。

もし、住宅ローンの金利が上がってしまえば、住宅ローン環境が悪化するため、一気に買いどき感が無くなってしまいます。
日銀の政策金利と住宅ローン金利は連動しており、住宅ローン金利が上がれば買い控えが生じ、不動産価格が下落してしまう可能性があるのです。

注目すべきは新築住宅市場

住宅ローンが上がったときに、最初に影響を受けるのは新築市場です。
現在は、新築マンションや新築戸建が高過ぎるため、中古市場に多くの需要者が流れ込んでいます。
そのため、中古住宅も価格が上がっており、不動産が売り時の状況となっています。

図式としては、中古住宅市場は、新築が高過ぎて諦めた人たちによって価格が支えられています。
一方で、住宅ローンの金利が上がってしまうと、新築市場で住宅の買い控えが生じ始めます。
買い控えが生じれば、新築住宅も売れ残りが生じます。

売れ残りが生じると、ディベロッパーも価格を下げて売りきるしかありません。
その結果、価格が下がる新築住宅が続出します。

すると、新築住宅が、今まで高過ぎて諦めていた人たちにも手の届く範囲に下がってきます。
新築住宅が購入できるのであれば、わざわざ中古住宅を購入する必要がないため、中古住宅を購入しようとしていた人が、新築住宅市場へ戻っていきます。

中古住宅市場から需要者が去って行けば、中古住宅を購入する人が少なくなり、結果的に中古住宅も価格が下がり、売却しにくくなるのです。
現在は、住宅ローンが低金利のおかげで、新築市場は高いと言われつつも価格を維持しています。

住宅ローン金利が上がったときは、まずは新築市場の動きを注視すべきです。
新築市場の値崩れが始まれば、すぐに中古市場の値崩れも始まります。

売却するのであれば、住宅ローン金利が上昇する前に売却してしまうことが得策です。

気になる消費税増税

消費税も最初に新築市場へ影響を与える

実は金利上昇以外にも気になるのが消費税の10%増税です。

消費税の10%増税は、2019年10月に実施されました。
消費税も新築住宅市場を大きく揺るがす要因です。

不動産は、土地と建物のうち、建物についてのみ消費税が発生します。
ただ、消費税は課税事業者と呼ばれる事業者が、納税義務者です。

消費税は、課税事業者が消費者から一度消費税を預かり、課税事業者が仕入れなどで支払う支払消費税を差し引いた差額が納税される仕組みです。

消費税は、一見すると、我々消費者が納税しているような感じがしますが、実は国に直接収めているのは課税事業者になります。

不動産の世界では、課税事業者はほぼ法人です。
つまり、売主が法人の場合にだけ消費税が生じます。

サラリーマンのような個人が住宅を売る場合、個人は課税事業者ではありませんので、住宅を売却しても消費税を預かることはありません。
つまり、個人が売主の場合は、消費税は発生しないことになります。

中古住宅の市場では、街の不動産会社が一度不動産を買い取って転売するようなことがあります。
このような場合、売主が課税事業者の法人となるため、実際には建物に消費税は発生しています。

ただし、中古住宅の市場で転売業者が消費税を上乗せしてしまうと、売主が個人の物件と価格競争で負けてしまうため、消費税は内税として安く売却していることが多いです。

一方で、新築市場では、戸建もマンションも売主がほぼ100%法人のディベロッパーとなるため、消費税を外税で取っています。

そのため、消費税が上がると、新築住宅の総額が上がってしまうため、市場が大きな影響を受けます。

増税時は駆け込み後に下がる

消費税は、過去、3%から5%、5%から8%へと上がりましたが、いずれも上昇前には駆け込み需要が発生しました。
駆け込み需要が発生すると、その瞬間、新築市場が再び値上がりします。
そのため、増税前は新築市場が過熱するため、そこから溢れた人たちが中古市場へ流れ込み、中古住宅も売り時のタイミングが訪れます。

ただし、問題はその後です。
増税前は駆け込み需要で一瞬価格が伸びますが、その後、急速に新築市場が冷え込むというのがいつものパターンです。

新築市場が冷え込んでしまえば、中古市場も連動して冷え込み、売り時を逃してしまいます。

もし、消費税が増税された今金利が上昇したら、価格が一気に冷え込むようなことが起きてもおかしくありません。

売却するのであれば、消費税したばかりの今が適切なタイミングかもしれません。

新型コロナウィルスによる不動産市場の影響

2020年3月現在、新型コロナウィルスの世界的大流行によって、日本も混乱の中にいます。
さらに、オリンピックの延期も重なり今後の不動産市場にも影響が出てくると予想されます。

テレビ等のメディアでは連日いろんな専門家の意見があり、どれが正解か誰も予測できません。
ただ一つ言えることは、この景気低迷によってしばらくは不動産価格が上がる可能性は低いということです。

まとめ

以上、金利上昇と今後の不動産価格への影響について解説してきました。

金利の上昇が不動産価格を下落させてしまう引き金になることがお分かりいただけたかと思います。
また、消費税増税も増税後に価格を下落させる原因です。

金利上昇の可能性が高まってきた今、不動産を売却するのが得策かもしれません。

不動産無料査定申し込みはこちら
STEP1都道府県を選択
STEP2市区町村を選択