離婚届は、婚姻関係を解消するのに必要不可欠な書類です。たとえ2人の関係が明らかに破綻していたり別居が続いていたりしても、離婚届を提出しないことには離婚は成立しません。
ここでは、別居中に離婚する場合など、相手にその場で署名してもらえない状況ではどのように離婚届に記入したらいいのか、代筆は可能なのかなど離婚届に関する疑問を説明します。
離婚届の書き方で注意すること
離婚届は、役所に提出する今後の人生に大きく関わる書類です。慎重に書かないと、書き損じなどがあった場合などはきちんとした修正をすることが必要です。
どうしても書き方に不安があるという場合は、法務省のホームページに記載例が載っているので、そちらを参考にしてください。
例えば、間違えた箇所を修正ペンで書くのはもちろんのこと、記入の際に消えるペンを使用するのは禁止です。修正のときは二重線で消し、印鑑での訂正が必要です。
捺印においては、シャチハタは認められていません。ただ、実印であるかどうかは問われないのでシャチハタ以外の印鑑であれば大丈夫です。
記入の際は、住所や名前などは略字ではなく正式な表記で書かなければなりませんので、謄本などで正しい表記を確認しておきましょう。
また、姓をどうするか、子供の親権についても書く欄があります。離婚届けを記入する前によく話し合っておくことも大事です。
離婚届を出すのに必要な書類
離婚をする際に必要なものは、以下の4つです。
- 「離婚届」
- 「印鑑」
- 「身分証明書」
- 「戸籍謄本」(本籍地でない場合)
離婚届
離婚届は必要事項が全て記入しているか出す前にもう一度確認しましょう。
印鑑
印鑑は離婚届を記入した際に捺印したものと同じものを持っていってください。これは、提出時に訂正しなければいけない箇所があった場合に離婚届に押したものと同じ印鑑での訂正印が必要だからです。
身分証明書
身分証明書が必要なのは、なり済ましで他人が勝手に提出するのを防ぐためです。その場で本人かどうかを確認するので、パスポートや運転免許証など顔写真入りのものがいいでしょう。マイナンバーカードも有効です。
戸籍謄本
本籍地以外の市区町村の役所に提出する場合には、戸籍謄本が必要です。
代理人提出の場合
また、提出は離婚する本人ではなく代理人が行うことも可能ですが、その場合提出した人の本人確認書類が必要です。ただし、あくまで提出のみしかできません。訂正があった場合に修正することができませんので、離婚する当人の捨印を押しておくといいでしょう。
離婚届は必ず役所に取りに行く必要があるのか
離婚届の書式は、全国共通です。仕様は多少異なるかもしれませんが、どこの市町村の役所でもらった用紙でも問題ありません。なんなら旅行先などたまたま訪れた地でもらっても大丈夫です。
また、忙しくて役所に取りに行くことができないという人は、一部の自治体のホームページからダウンロードすることも可能です。
全国共通で使用できるものなので、どこの自治体からダウンロードしたものでも、印刷して記入することができればそのまま提出できます。
離婚届をダウンロードする際の注意点ですが、書式が変わる可能性があるので書くときには最新のものかどうか確認しましょう。
また、ダウンロード用の離婚届はA3に対応しているものがほとんどのようです。家庭用のプリンターだとA4までのものが多いと思いますので、失敗をふせぐためにはメディアに保存したりネットプリントサービスを利用したりすると確実です。
別居中に離婚する場合に代筆は可能?
別居中に離婚が決まった場合、どちらかが離婚届を用意することになるでしょう。相手に記入してもらうには郵送したり直接会って書いてもらわなければならなかったりする手間があります。
そんなとき、どちらかが相手の代わりに記入して提出することはできないのでしょうか。
離婚届は他人が代筆することは禁止されていますので、必ず本人の署名、捺印が必要です。勝手に記入したり提出してしまったりした場合、有印私文書偽造罪や偽造有印私文書行使罪という犯罪になってしまいます。相手に訴えられて、刑事罰を受けることもあるので注意してください。
ただし、離婚届に本人の署名がなくても受理可能な場合があります。それは、協議離婚以外の方法で離婚するときです。
調停離婚や裁判離婚の場合は申立人のみの記入があれば大丈夫なので、相手に署名をしてもらうことはありませんし、証人も必要ありません。
別居中の場合の離婚届の提出はどこにする?
離婚届は、必ずしも本籍地に出さなければならないということはありません。署名した本人が持って行くのであれば全国どこの市区町村の役所でもよい、ということになっています。
ただし、本籍地以外の市区町村に離婚届を提出する場合は、戸籍謄本が必要です。
また、離婚届の際は提出書類に漏れがないか注意してください。不備があった場合は訂正印が必要となり、提出した場所の役所まで再度行かなければなりません。遠方の場合は何度も行くのは難しいこともあります。
このことから、実際は提出する方の居住地に近い役所に提出するのが一般的です。
離婚届の提出は代理人でも可能です。その場合は、離婚届が受理されると離婚する双方に離婚届が出されたことが通知されます。
別居中に離婚届を相手に郵送する場合の注意点
別居中に協議離婚をすることになった場合、相手に署名をしてもらうために離婚届を郵送することがあるかと思います。その場合、きちんと提出されたのか気になりますよね。
では、離婚届が提出されたかどうかはどのようにして知ることができるのでしょうか。
離婚届が正式に受理されたかどうかは、通知が郵送されることで知ることができます。
婚姻届と違い、離婚届を2人で一緒に提出しに行く人はなかなかいないと思います。
たいていはどちらか一方が出しますので、提出の際にいなかった方には1週間以内に、受理されたという通知が届くことになっています。
また、もし書き間違いなどがあった場合は訂正印が必要になるので離婚までの手続きが長引くことになってしまいます。別居の場合などはそのやり取りも大変ですので間違いがないように、慎重に書きましょう。
離婚届に証人が必要
婚姻届と同じように、離婚する場合にも証人が2人必要です。離婚届にも署名をしてもらう必要があります。
証人は、20歳以上であれば肉親でなくても大丈夫です。
確かに当人同士に離婚する意思があることを確認するという意味や、2人の証人を立てることで書類に虚偽がないことなどを確かめるためです。
証人を頼める人がいないという場合ももちろんあると思います。婚姻届には、結婚を祝福してくれた両親や兄弟姉妹、親戚などに証人の署名をしてもらう人も多いでしょう。
それが今度は離婚をするための手続きをするために署名が必要となっては、知り合いには頼みづらいということもあるかと思います。
そんなときは、離婚届証人代行サービスというものがあります。このサービスの流れは、記入済みの離婚届を代行業者に送り、証人欄に署名、捺印をしたものが返送されます。全ての記入欄が埋まっていることを確認して離婚届を提出する、という感じです。
弁護士事務所や行政書士事務所、代行の専門業者もいるようです。料金は証人の人数によっても変わってきますが、1人当たり3,000~5,000円程かかるようです。
ただし、この証人代行サービス離婚届を提出してくれるわけではないのでご注意ください。
まとめ
当たり前ですが、離婚をするのには様々な手続きや書類が日必要です。一時的な感情で安易にするのはよくないですが、必要な書類や証人がいることで本当に離婚する意思があるのか改めて確認することができます。
また、別居中で相手の動向がわからない場合や相手と離婚でもめている場合は、勝手に離婚届を提出されないように不受理届を出しておくということも場合によっては必要です。