夫婦が正式に離婚をするためには、離婚届を役所に提出する必要があります。ただ実際に提出する時には一人で提出できるのかどうか、いつまでに提出しなければいけないのか、受理通知などの確認はどのように手続きをするのかなど、離婚届に関してよくわからない部分は少なくありません。
そこで今回は、離婚届が受理されるまでの流れを解説します。
離婚届は一人でも受理してもらえるのか?
離婚届の提出で気になるポイントとして挙げられているのが、一人で提出しても問題がないのかどうかです。
実は離婚届を提出する時にはすでに別居してどちらかが遠方にいたり、会話がない状態で一緒にいることすら嫌がったりするという場合が少なくありません。
このためわざわざ離婚届を夫婦一緒に提出するケースの方が少ないとされているので、離婚届は一人で提出しても全く問題はありません。
状況に応じてどちらかが市役所に提出すれば受理されるというシステムであるため、どちらが提出しても構わないとされています。
ただここで注意しておきたいのが、離婚届に不備があった場合です。不備があった場合は訂正印や本人による修正が必要になることから、事前に不備がないかどうかしっかり確認または相手の印鑑を預かるようにすることが無難だとされています。
ちなみに夫婦どちらかも市役所に足を運べないという場合には、委任状を作成すれば親や友人など代理人に提出をお願いすることも可能です。
この場合も離婚届に不備があると受理されないため、事前に離婚届に不備がないかどうか確認しておくことが大切だと言われています。
離婚届の提出について
離婚届は市役所に提出するのですが、ここで注意しておかなければいけないのが「届出人の本籍地又は所在地の市役所、区役所又は町村役場」であるという点です。
このため基本的には本籍地の市役所に提出することを前提としていて、本籍地以外で提出する場合には戸籍謄本が必要になります。
逆に言えば戸籍謄本があれば、本籍地以外にも現在住んでいる地域の市役所でも提出することができるので、どこからでも提出が可能となっています。
離婚届が提出できる時間は?
離婚届を提出する時に気になるポイントの一つに、「いつまで受け付けてくれるのか」という点があります。
日中に提出する
基本的に離婚届の受理は市役所の窓口が開いている時間帯までとなっているので、日中に提出する場合は市役所の窓口がいつまで空いているのか事前に確認しておくことがおすすめです。
夜間に提出する
どうしても平日に提出することが難しいという人は市役所の夜間窓口でも受け付けてもらえます。
日中と夜間で離婚届を提出する際の違いとしてはほとんどありませんが、夜間窓口で受け付けてもらった場合は離婚届に不備があると後日連絡が来たり、受理してもらえなかったりする可能性があります。
そのため再度提出する手間がかかるので、不安がある場合は日中に離婚届を提出する方が良いでしょう。
離婚届以外に必要な書類について
協議離婚の場合
離婚成立のために離婚届を提出する際、本籍地であれば離婚届のみを提出すれば受理されます。
ただ本籍地以外に提出する場合は、離婚届以外にも本籍地を確認するための戸籍謄本を用意しておく必要があります。
また本籍地で提出する場合も本人確認を促されるので、身分証明書となる免許証や保険証を持っていくとスムーズに受理されるようです。
さらに離婚届に不備があった場合に備えて夫婦それぞれの印鑑を準備しておけば、万が一修正が必要になったとしてもその場で修正することができます。
ただし、これはあくまでも協議離婚の場合であり、それ以外での離婚の場合には別途書類が必要になります。
調停離婚と裁判離婚の場合
離婚届や身分証、印鑑に加え、調停離婚であれば調停調書の謄本、裁判離婚であれば本判決の謄本と確定証明書、審判離婚の場合は審判書の謄本と確定証明書が必要になります。そしてこれらの書類には提出期限が設けられていて、基本的には調停や裁判での結果が確定してから10日以内とされています。それを過ぎてしまうと無効になってしまうため、提出期限を守ることが大切です。
その他の書類
ほかにも離婚後も婚姻後の姓を名乗りたいという場合には、婚氏続称に関する届の書類が必要となります。こちらは事前に用意していなかったとしても市役所でもらえるので、受け取った後に後日提出するということも可能です。
離婚届が受理されるまでの流れ
日中に提出する
市役所に離婚届を提出した場合、日中の窓口であればその場で職員が記入漏れなどの不備を確認します。そこで不備があれば修正することで再度確認をしてくれますし、その場で修正することができなければ後日改めて提出するという流れになります。特に不備がなければそのまま離婚届は受理される形となり、同時に離婚成立日となるようです。
夜間に提出する
夜間窓口に提出した場合は、翌開庁日に不備がないかどうかを確認した上で問題がないと判断されたら受理されます。ただし、この場合は受理された日が離婚成立日となるわけではなく、さかのぼって夜間窓口に提出した日が離婚成立日となります。また受理される日は翌開庁日となるので、日中の窓口に提出する場合との違いに注意が必要です。
このため基本的には、離婚届を提出した日がそのまま離婚成立日として認識されるという仕組みとなっています。
離婚届が正式に受理されたかどうか知る方法
離婚届を一人で提出した場合、本人確認ができなかった相手に対して離婚届が提出されたことや離婚が成立したことを伝える受理通知が市役所から送付されます。
これによって一緒に提出しなかった相手にも離婚が成立している旨を伝えることができるほか、離婚届が虚偽でなかったかどうかの確認ができるため本人確認ができなかった方に対して必ず送られるように手配されているのです。
ちなみに代理人に離婚届の提出をお願いした場合、夫婦両方に受理通知が届けられるようになっています。
離婚届の受理通知がいつ届くのかというと、市町村によって若干の違いがあるようです。このため早いところでは3日から4日程度で届くところもありますし、遅いところになると2週間程度かかる場合もあります。
このように市町村によって受理通知が届く日数に違いがあるのは、受理通知の発送に関しての明確な決まりがないためだとされています。
受理通知の届け先について
基本的に離婚届の受理通知は、住民登録されている住所に送付されるようになっています。このため住民票に記載されている住所あてに受理通知が届けられるため、確実に受け取りたい場合は離婚届を提出する前に住民票の住所を変更するか住民票を移してから離婚届を提出する方法がおすすめです。
ただ気を付けなければならない点として、受理通知は転送不要の郵便物とされていることが挙げられています。このため郵便届の転送届を提出していたとしても受理通知は転送されないので、届けられなかった場合には市役所に返送されるようです。
もしも受理通知が届かなかったという人は市役所に返送されている可能性が高いため、離婚届を提出した市役所まで取りに行く必要があります。
受理通知は封書で届けられるところもあればはがきで届けられるところもあり、通知としての形も市町村によって異なります。どちらの場合も市役所からの通知となるので、離婚届を提出した後は市役所からの郵便物がないかどうか確認することが大切です。
まとめ
離婚届は婚姻届けと違って夫婦仲が決裂しているため一人で提出するという人が多く、受理されるまでの流れもシンプルなのでそこまで難しい手続きではないとされています。
ただ離婚届に不備があると受理されませんし、不備を修正する際に夫婦が揃っていなかったり、必要なものがなかったりすると、手間がかかってしまうことがあるので注意が必要です。