親権ってなに?親権の内容を5つのポイントで解説!

親権とは、親が子供に対して持つ権利・義務

親権とは親が未成年者である子供のためにその財産を管理し、また心身を監護、養育する権利と義務を意味するものです。親権については民法に定められていますが、その目的は子供が健やかに成長し、無事成年を迎えることにあります。

親が勝手に親権を放棄することはできず、他人に譲渡したりすることも原則としてできません。子供が親権を離れるのは、法律で定められた成年に達したとき、あるいは婚姻によって成年とみなされる立場になった場合です。

父母が婚姻関係にある間は、父母の双方が親権を持ちます。親権が一方に限られることになるとすれば、何らかの事情によりどちらかが親権を行使できなくなったときです。もしも父母がともに死亡したなら、未成年者は後見制度により保護されます。これらについては、親子が養子縁組の関係であっても同様です。

父母が離婚に至った場合は、どちらが親権を持つか決めなくてはなりません。夫婦間での話し合いで解決できないならば、家庭裁判所に申立てて離婚調停の手続きを行い、その中で親権について取り決める必要があります。

もしもここでも双方が対立し、互いに譲ることがなければ、離婚訴訟で決着をつけるしかありません。この訴訟で和解が成立しないときには、裁判所の判断により親権者が定められることになります。

身上監護権と財産管理権

親権の内容は以下の2種類です。

  • 身上監護権
  • 財産管理権

「身上監護権」は、子供の心身を護り、監督する権利になります。「財産管理権」は子供の財産を本人に代わって管理し、そのために必要な法律行為を行う権利です。

離婚に際しては、親のどちらかが子に対する権利のすべてを持つことが一般的ですが、事情によっては父母で身上監護権と財産管理権を分けて持つこともできます。

財産管理権と身上監護権の違い

財産管理権と身上監護権の最も大きな違いは、子供と一緒に暮らす権利が伴うか、そうでないかということです。

身上監護権を行使するということは、子供を健全な大人に育つよう、心身両面での世話をするということになります。そのため身上監護権を得たならば、同じ家に住んで、子供が成年に達するまで直接養育することができるのです。

対して財産管理権は、文字通り子供の財産を管理することのみに関する権利であるため、これだけをもって養育を行うことはできません。

父母で子供に対する権利を分けることには、それなりのメリットがあります。例えば母親が身上監護権を、父親が財産管理権を持つと言う形にすることで、双方とも子供とのつながりを保つことが可能です。

父母の間で親権についての対立が激しく、なかなか離婚手続きが進まないというときにも、2つの権利を分けることでそれぞれの気持ちがおさまることもあります。

子供の養育に直接関係する身上監護権

身上監護権は、監護教育権とも呼ばれます。「監護」とは子供の身体を監督し、保護すること、「教育」とは精神的な成長を支え、心理の発達を手助けすることです。監護教育権は、さらに懲戒権、居所指定権、職業許可権に分類されます。

懲戒権とは、砕いて言えば子供の教育に必要な躾を行う権利のことです。親は子供に対し、してよいこと、してはならないことを教え、間違ったことをしたときには必要な範囲で罰を与えることができますが、これを権利として表したものが懲戒権になります。

居所指定権とは、子供が住む場所を決める権利です。もしも第三者が子供を連れ去り、親の望まない場所に住まわせた場合には、この権利に基づいて子供を返すよう、調停の申請をしたり訴訟を起こしたりすることができます。

職業許可権は、子供の職業に対し、許可不許可の制限をかけることができる権利です。これにより、子供が働きたいときには、まず親に仕事について相談し、許可を得なくてはなりません。また許可を得た仕事でも、もしその労働契約の内容に疑問があれば、親は子供を守るために契約を解除できるのです。

このように、身上監護権(監護教育権)は子供の生活に大きく関わる内容であり、そのためこの権利を持つ親だけが子供と暮らしを共にし、養育することができます。そして、そのために必要な費用である養育費を、もう一方の親に対して請求することができるのです。

養育費とは、子供が親に対して、離婚前と同じレベルの生活を維持するための費用を要求できる権利ですが、現実的には身上監護権を持つ親が変わって請求することになります。
これは財産管理権とは別のものであり、親の側は子に対する義務として、例え自己破産したとしても養育費の支払いを拒むことはできません。

子供の財産を守る財産管理権

未成年の子供であっても財産を持つことがあります。例えば、それまでに与えられたお年玉やお小遣い、進学などに際しての御祝い金などです。これらは子供自身が得たものであるため、親ではなく、子供の財産とみなされます。金銭などの動産だけではなく、相続で家やマンションが子供に渡された場合も同じです。

しかし、子供は財産を管理する能力が十分であるとは言えません。そこで親権者が子供に代わって財産を適切に管理し、法律行為を行うための権利義務が財産管理権です。これには、直接的な財産管理のほか、その財産に関連する法律行為も含まれます。子供が売買やサービス利用の契約を行うには、財産管理権を持つ親の同意が必要です。もし同意を得ずこうした法律行為が行われたなら、親権者はそれを取り消すこともできます。子供が事故や事件に巻き込まれたときの損害賠償請求も法律行為であるため、この財産管理権を持つ親が、子供の代理人として行うことになるのです。

財産管理権には、関連する行為として処分や利用のほか、保存、改良が含まれます。ただし、これらについて親権者は、自分の財産に対するものに等しい注意を払って行う必要があり、財産管理権の行使には、子供に有用な使い方であることが義務付けられているのです。また、親と子の間で利益が相反する関係となったときには、その権利が制限されることがあります。
子供が成年に達したときには、財産管理権を持つ親は、速やかに管理してきた財産を清算して、子供に引き渡さなくてはなりません。

面会交流権

面会交流権とは、子供と一緒に暮らすことができない方の親が、子供と面会できる権利のことを言います。離婚が成立してからだけではなく、それ以前でも別居しているときには、面会交流権が認められているのです。

親が離婚して別々に暮らすことになっても、面会交流があることで子供はどちらかに会えないという寂しさを癒したり、父母の一方に見捨てられたという絶望感を回避することができます。面会交流権は親だけではなく、子供にとっても重要なものなのです。

ただし、別れた親がどれだけ会いたいと望んでも、面会が制限されたり、禁止されることがあります。子供が拒否したり、子供のためにならないと判断されたりと言った場合がそれです。

また、そもそも面会交流権が認められるのは、親子関係が正常であり、面会しても問題がないと判断されたうえでのことになります。DV(ドメスティック・バイオレンス、家庭内暴力)や子供への虐待が原因での離婚では、面会することが子供にとって悪影響になるとして、面会交流権が認められないことが大半です。

まとめ

親権とは、子供に対する親の権利と義務ですが、子供が親から受けられるべき権利を示すものでもあります。
懲戒権などを含む身上監護権と財産管理権をどちらかがまとめて持つのか、あるいは分けるのかと言う取り決めや、面会交流権の行使にあたっては、子供の意思を尊重することこそが何よりも大切です。子供のために必要な事柄をよく考え、専門家にも相談して円満な解決を目指しましょう。

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