不動産会社から査定結果が届き、「この会社に任せようかな」と思ったとき、必ず突きつけられる究極の選択肢があります。それが、「専任媒介」か「一般媒介」かという問題です。
各契約の言葉の定義については、以前こちらの記事で解説しましたが、売主様が本当に知りたいのは「結局、私の場合はどっちにすれば1円でも高く、1日でも早く売れるの?」という結論ではないでしょうか。
不動産会社はほぼ間違いなく「専任」を勧めてきます。しかし、宅建士として現場を見てきた私から言わせれば、「すべての物件において専任媒介が正解」というのは、不動産業界が作り上げた幻想に過ぎません。
今回は、一般の売主様は決して知らない「契約形態の裏側」と、プロが実践している「戦略的な使い分けの極意」を、徹底的に解説します。
記事の信頼性監修者

宅地建物取引士上野 健太
不動産業界での豊富な実務経験に基づき、徹底して売主様の立場に立った客観的でフェアな情報を発信しています。
不動産一括査定・活用のアドバイザー
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目次
不動産屋が「専任媒介」を猛プッシュする3つの「本当の理由」
査定に来た担当者は、あの手この手で「専任」を勧めてくるでしょう。その際によく使われるトークと、その裏にある業界の「本音」と「建前」を暴きます。
ここを知っておくだけで、不動産屋との交渉力が格段に上がります。
① 「広告費を全開でかけられます」の真実
【建前】 「1社限定なら、他社に取られる心配がないので、スーモやアットホームへの掲載、チラシ配布に予算を投下できます」
【本音】 「他社で決められたら、うちが自腹で出した広告費がムダ(持ち出し)になるから、そのリスクをゼロにしたい」
実際には、一般媒介であっても「相場より安くてすぐ売れそうな物件」であれば、不動産会社は他社に取られまいと必死で広告を出します。
逆に、専任媒介であっても「売れにくい物件」であれば、最低限のネット掲載だけで放置されることも珍しくありません。広告の量は契約形態よりも「物件の売りやすさ」に左右されるのが現実です。
② 「窓口が一本化されるので楽ですよ」の裏側
【建前】 「複数の会社とやり取りするのは大変です。私がすべてを取りまとめ、報告も一括で行うので売主様の手間がありません」
【本音】 「情報の入り口をうちだけに絞ることで、他社の動きを遮断し、自社の利益をコントロールしやすくしたい」
窓口が1つなのは確かに楽ですが、それは裏を返せば「その担当者が嘘をついていても見抜けない」というリスクが潜んでいます。
「内覧希望が全く入りません」と言われても、それが本当なのか、実は囲い込みで断っているのか、比較対象がない売主には判断できません。
③ 「レインズへの登録義務があるから安心です」の偽善
【建前】 「専任媒介なら法律でレインズ(業者間サイト)への登録が義務付けられているので、全国の不動産屋に情報が届きます」
【本音】 「一般媒介だと登録義務がないから情報が広がらないですよ、と不安を煽って専任を取りたい」
これは半分正解で半分は間違いです。一般媒介であっても、売主様が希望すればレインズへの登録は可能ですし、優良な会社なら一般媒介でも当然のように登録します。
「専任じゃないと広がらない」というのは、専任を取りたいがための営業トークに過ぎません。
参考:不動産売却の闇「囲い込み」を防げ!レインズ登録証明書の確認法
宅建士が教える「一般媒介」で勝てる物件・勝てない物件
「一般媒介は管理が大変でプロ向け」と思われがちですが、物件のポテンシャルによっては最強の武器になります。
「一般媒介」で最高値を狙い、不動産屋を競わせるべきケース
市場価値が極めて高い物件(駅近・築浅・人気マンション)「出せばすぐ売れる」と確信できる物件は、複数の不動産会社を競わせるべきです。
「一般媒介」で3社程度に依頼すると、各社は「他社よりも先に良い客を連れてこないと手数料が入らない」という猛烈な競争状態に入ります。
結果として、値引き交渉を跳ね返し、満額(あるいはそれ以上)での成約を勝ち取れる確率が上がります。
大手不動産会社と地元有力会社で迷っているとき
どちらか1社に絞りきれないなら、両方と一般媒介を結ぶのが最も賢い選択です。大手の「集客力」と、地元会社の「地域密着の営業力」のどちらが今の市場にフィットしているか、実戦で試すことができるからです。
「専任媒介」に絞り、プロの知恵を借りるべきケース
売却難易度が高い、または「クセ」がある物件
駅から徒歩15分以上、築30年以上の戸建て、変形地など。こうした物件は、単にネットに載せるだけでは売れません。
担当者がターゲットを絞り込み、地道にポスティングをしたり、建築士と連携してリフォーム案を提示したりといった「粘り強い営業」が必要です。こうした手間をかけるには、1社に責任を持たせる専任媒介が適しています。
周囲に知られずに売却したい(プライバシー重視)
複数の会社が動くと、どうしても情報のコントロールが難しくなります。「一般媒介」で多くの会社に任せると、ネット広告が乱立し、ご近所に「あの家、焦って売っているのかな?」という印象を与えかねません。
信頼できる1社の担当者に「水面下で、特定の顧客だけに紹介してほしい」と依頼するなら、専任媒介一択です。
【裏技】一般から専任へ「昇格」させるハイブリッド戦略
私が現場で最も推奨している、「絶対に失敗しない契約の進め方」を公開します。この方法は、不動産会社を味方につけつつ、常に売主様が主導権を握り続けるための戦略です。
最初から1社に「専任」で預けるのは、リスクが大きすぎます。いわば「一度もデートせずに結婚を決める」ようなものです。まずは以下のステップを踏んでください。
ステップ1:HOME4Uで「精鋭3社」をピックアップする
まず一括査定サイト「HOME4U」を使い、あなたのエリアで実績のある会社を3社選びます。このとき、大手だけでなく地元に強い中堅会社を必ず1社は混ぜてください。
ステップ2:3社と「一般媒介」で1ヶ月だけ契約する
3社に対し、「まずは一般媒介で1ヶ月間、各社の動きを見させていただきたい。その中で最も信頼できると感じた方に、後日専任でお任せすることを考えている」と正直に伝えます。
ステップ3:担当者の「質」をリアルに評価する
1ヶ月間で、以下の項目をチェックしてください。
- 内覧予約を何件入れてくれたか?
- 内覧後のフィードバック(客の反応)は具体的か?
- こちらの質問に対する返信のスピードはどうか?
ステップ4:最強のパートナーへ「専任」で昇格させる
1ヶ月が経ち、最も動きが良かった1社にこう伝えます。「あなたの動きが一番素晴らしかった。残りの期間はあなたにすべてを任せたいので、専任媒介に切り替えましょう」。
この方法の凄さは、不動産屋のモチベーションを爆上げできる点にあります。
「他社との競争に勝って選ばれた」という自負が担当者に生まれ、その後の販売活動の熱量が全く変わってきます。
また、担当者は「この売主様はしっかりチェックしている」と認識するため、適当な報告や囲い込みができなくなります。
契約書にサインする直前、宅建士としてここだけは見てほしい「3項目」
専任にせよ一般にせよ、契約書(媒介契約書)を交わす際に、これだけは必ず確認してください。
有効期間を安易に自動更新にしない
媒介契約の有効期間は最大3ヶ月ですが、「売れないのにダラダラと契約を続ける」のが一番の損失です。3ヶ月経って結果が出なければ、迷わず他社への乗り換えを検討する権利を持ちましょう。
「囲い込み」禁止の意思表示を口頭で添える
契約の際、「レインズの登録証明書を必ず見せてください」「他社からの問い合わせ状況もすべて報告してください」と一言添えるだけで、不誠実な担当者の抑止力になります。
「付帯サービス」の適用条件を確認
大手などが提供する「建物検査」や「不用品撤去」などのサービスは、専任媒介が条件であることが多いです。そのサービスに「数万円以上の価値」があるなら、専任を選ぶ有力な根拠になります。
まとめ:主導権を握るために「比較」から始める
「専任媒介」にするか、「一般媒介」にするか。
この悩みに直面しているということは、あなたはすでに「売却」という大きな一歩を踏み出しています。
しかし、本当に大切なのは「どの契約形態にするか」の前に、「誰(どの会社・どの担当者)と契約するか」です。比較対象がいない状態で「専任」を結ぶのは、選択肢を自分から捨てているのと同じです。
まずは、HOME4Uであなたのエリアを熟知したプロたちを3〜4社並べてみてください。
「うちは一般媒介でもこれだけの戦略があります!」
「専任で任せていただければ、ここまで保証を付け、この層に直接アプローチします!」
そうした各社の「本気の提案」をぶつけ合わせたとき、あなたにとっての「正解」は自然と見えてきます。
不動産売却の主導権は、不動産屋ではなく「あなた」にあります。賢い契約の選択で、最高の結果を掴み取りましょう。
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