不動産売却で重要な付帯設備表とは?宅建士が6つのポイントで解説!

付帯設備表

「不動産売却時に作成する付帯設備表って何?」

 

こんな疑問にお答えします。

付帯設備表は、売却する不動産の設備と故障・不具合の有無などを明確にする書類です。法的な作成義務はありませんが、言った言わないの水掛け論のようなトラブルを防ぐために作成は欠かせません。

また、正しい作成方法を確認しておかないと、設備の修理費用を請求されることもあるので注意が必要です。

今回は、付帯設備表の作成方法や記載事項、作成時の注意点などについて詳しく解説していきます。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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付帯設備表とは

付帯設備表とは、不動産を売却する際に引き渡す設備を明確にするためのリストです。設備の故障や不具合に関する情報も記載します。

付帯設備表に「故障」と記載した設備を、売主が修理するわけではありません。あくまでも引き渡す設備の状況を明確にするために作成します。
なお、付帯設備表は、中古マンションを売却する際にも必要です。

付帯設備表を作成する理由

付帯設備表を作成する主な理由は「不動産売却後のトラブル防止」です。たとえば、ガスコンロが付いている物件を内覧した買主は「ガスコンロも付いている」と思うでしょう。

しかし、売主がガスコンロを引き払う予定でいた場合は、購入後に買主から「ガスコンロが付いていない」というクレームがくる恐れがあります。
このようなトラブルを防ぐのが付帯設備表です。引き渡す設備と故障・不具合の有無を記入することによって売主の責任を明確にし、認識の違いを防ぎます。

物件状況報告書とは

不動産の売却時には、「不動産そのものの状態」を明確にする「物件状況報告書」も作成します。
付帯設備表と物件状況報告書のどちらかを作成しなかった場合や、書類に不備があったときには、設備の補償責任が発生することもあるので注意が必要です。

契約不適合責任とは

不動産の売買では、売主に「契約不適合責任」という義務が発生します。義務の具体的な内容は下記の2つです。

  1. 売主は、自分が認識している不具合・欠陥・キズなどを買主に隠さず告知する。
  2. 告知しなかった不具合やキズが発覚した場合は、その補修費用を売主が負担する。

このように、不具合やキズを知っていたのに買主に知らせなかった場合は、売却後であっても売主が修理費用を負担する義務が生じます。

参考:不動産売却時の「瑕疵担保責任」について3つのポイントで解説

付帯設備表の記載事項

記載すべき項目に法的規定はありませんが、トラブルを避けるためにも、下記の内容は必ず記載するようにしましょう。

主要設備
  • 給湯関係:給湯器、ガス、水道といった熱源など
  • 水回り関係:キッチン、水栓、浴槽、シャワー、洗面台、便器など
  • 空調関係:冷暖房器具や熱源など
その他の設備
  • 照明関係:屋内外の照明器具
  • 収納関係:床下収納、吊戸棚など
  • 建具関係:雨戸、ふすま、網戸など
  • テレビ視聴:TVアンテナや衛生アンテナなど
  • その他:カーテンレール、車庫、物置など

物件情報確認書の記載事項

「不動産そのものの状態」を告知する物件情報確認書には、下記のような項目を記載します。

  • 雨漏りの有無(修理歴も記載する)
  • シロアリの被害の有無(駆除歴も記載する)
  • 腐触の有無
  • 給排水管の故障
  • リフォームやイノベーションの有無
  • 周辺環境
  • 敷地内残存物

など

物件情報確認書は売主が分かる範囲で作成しても問題無いですが、より正確に作成するためには、事前に建物状況調査(インスペクション)を依頼したほうがいいでしょう。

参考:【宅建業法改正】建物状況調査(インスペクション)説明が義務化

付帯設備表の作成タイミング

付帯設備表は売買契約時までに売主が作成します。売主は専門的知識を有しているわけではありませんが、居住期間が長いからこそわかることがあるはずです。

ただし、売主が気にならなくても、買主から「不具合」と判断されるケースは少なくありません。たとえば、「エアコンから時々異音はするが、稼働は問題ない」というような場合です。

不具合に関しては個人差が生じることも多いため、不要なトラブルにつながりやすくなります。設備の状態を正確に把握するためにも、仲介業者にサポートをしてもらいながら付帯設備表を作成した方がいいでしょう。

参考:不動産を売却するとき設置しているエアコンはどうすればいいの?

付帯設備の補償期間

補償期間に法的な規定はないため、契約時に補償する期間を定めます。売主が個人であれば「引き渡し後1週間」を補償期間とするのが一般的です。

なお、仲介業者やハウスメーカーが売主の場合は、各業者によって補償期間が異なります。

付帯設備表の記入例

 

上記例のような付帯設備表の記入例を紹介します。

物件の引き渡し時の設備は、「設備の有無」の「有・無」いずれかに〇を付けて明確にします。「有」に〇をした設備は、設置されている場所や台数なども記載しましょう。

故障と不具合の欄も同様に作成します。「有」とした場合は、その内容も詳しく記載しましょう。

付帯設備表作成の流れ

作成手順に決まりはありませんが、下記のような流れで作成すると記入ミスをなくせます。

  1. 仲介業者から付帯設備表の書式を受け取る
  2. 設備の動作確認をする(仲介業者の同行を推奨)
  3. 仲介業者のサポートを受けながら付帯設備表を作成する
  4. 売買契約時に付帯設備表を買主に渡す
  5. 買主が内容を確認のうえ、サイン・押印する

付帯設備表の雛形をダウンロードできるサイトもありますが、仲介業者から受け取った方がいいでしょう。

付帯設備表の注意点

表の作成や売買契約後に注意したいポイントを、売主側と買主側に分けてご紹介します。

売主側の注意点

売主側の注意点は、次の2つです。

1.残置物は撤去する

残置物とは、売主が個人的に購入した家具や家電を残した物です。処分の手間や処分費用を省くために残したいという売主は少なくありません。
しかし、残置物は売主の責任において全撤去するのが基本です。買主が処分を負担することになれば、クレームやトラブルにつながる恐れもあります。

参考:不動産売却では残置物がトラブルを招く!【処分方法とコツを解説】

2.経年劣化に関する注意書きを入れる

中古物件では、設備の経年劣化は避けられません。新品に比べればキズや汚れが多くなるのは当然です。そのため、「設備には経年変化に伴うキズ、汚れ、機能低下等があることをご了承ください」といった注意書きを入れるようにしましょう。

買主側の注意点

物件の引き渡しが完了したら各設備の動作確認を行ない、故障や不具合がないかどうかを確認しましょう。

付帯設備の補償期間経過後に故障や不具合が見つかった場合は、補償の対象外となるので注意してください。

付帯設備表は売却後のトラブルを防ぐための必須書類:まとめ

不動産に付帯している設備の種類や状態は、付帯設備表で明確にしたうえで売買契約を結びましょう。何度も言いますが、設備に関する情報を曖昧にしておくと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。

トラブルを避けて不動産を高く売却するためにも、余裕をもって付帯設備表を作成するようにしてください。不動産を高額で売却したい場合には、「HOME4U」のような不動産の売却査定サイトを活用するのも、ひとつの方法です。

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