事例を知って事前に回避!不動産売却時のトラブル【ローン特約編】

「不動産売却時のローン特約ってなに?」
「不動産売却にそもそもローン特約は必要?」

 

こんな疑問にお答えします。

不動産売却時には売主と買主で売買契約を結びます。その売買契約書の特約事項に「ローン特約」というものがあり、この特約を理解していないとトラブルになることもあります。

仲介する不動産業者が主導することではありますが、売主としてもローン特約については理解しておく必要があります。
今回はこのローン特約の具体的な事例と対処法を解説していきます。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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不動産売却時のローン特約とは?

ローン特約とは、購入者が住宅ローン審査に通らなかったときに、白紙解約になるという特約です。
手付金もそのまま返金されます。

詳しい内容として、以下の点を理解しておきましょう。

  • 住宅ローン審査について
  • 白紙解約とは?

住宅ローン審査について

購入者が、売買契約時に組む住宅ローンは以下のような流れです。

住宅ローンの流れ
  1. 仮審査
  2. 仮審査承認
  3. 不動産売買契約
  4. 本審査
  5. 本審査承認
  6. ローン契約(金消契約)
  7. 物件の引渡し(融資実行)

基本的には、仮審査に承認された後に不動産売買契約を結びます。
そして、その後に本審査を依頼するので、その本審査が否決になったときにローン特約が発動します。
ただ、仮審査に承認されていれば、本審査で否決になるケースは極めて稀です。

白紙解約とは?

ローン特約は白紙解約になると言いましたが、ローン特約以外の理由で解約すると、手付金は没収になります。
売買契約を結ぶときには、その物件の5~10%ほどの金額を、前もって「手付金」という名目で買主が売主に預けます。

その手付金は、買主が自己都合で契約キャンセルするときに違約金になるお金です。
しかし、ローン特約が発動するときには、買主に責任がなければ「手付金没収」の条文は該当させずに白紙解約になります。
つまり、手付金は返金するということです。

参考:不動産売却の際に聞く「手付金」とは?宅建士が3つのポイントで解説

ローン特約のトラブル事例と対処法


ローン特約の内容が分かったところで、次にローン特約に関してのトラブル事例とその対処法を紹介します。
具体的に、ローン特約に関しては以下のようなトラブルが起こりやすいです。

  • プライベートローンの否決
  • 仮審査を行わない
  • 相手のプロフィール(属性)変更

プライベートローンの否決

まずは、購入者がプライベートローンを組み、それが否決になったときです。このパターンは意外と多いので気を付けましょう。

プライベートローンとは

プライベートローンとは、不動産会社等に斡旋(あっせん)してもらうことなく、購入者が自ら金融機関を探し、ローン審査などの手続きを行うこと。

※海外の不動産投資をする場合に「不動産を担保に貸し付けする」という意味でも使われますが、今回は上記の意味です。

基本的に、不動産をローンで購入するときは、一般的に仲介している不動産会社が銀行を斡旋します。
不動産会社が斡旋すれば、不動産会社の営業担当者がローン審査のスケジュールをある程度コントロールできます。

しかし、プライベートローンの場合は営業マンがローン審査のスケジュールに関してコントロールできないので、ローン手続きが長引くなどのリスクがあるのです。
その場合に、結局引渡し予定日を過ぎても審査が下りなかったり、否決になり契約キャンセルになったりというトラブルに発展します。

○対処法

この場合の対処法は以下です。

  • 住宅ローン特約を付けない
  • 引き渡し日を早めに設定する

プライベートローンは基本的に住宅ローン特約の対象外になりますが、特別にプライベートローンでも特約を付けることができます。
しかし、プライベートローンにローン特約を付けてしまうと、相手が故意に「審査に落ちる」ことも可能なので、プライベートローンに特約を付けることは避けるべきです。

また、プライベートローンで契約する場合には、引き渡し日はなるべく早めに設定しましょう。
そうしないと、ずるずるとローン審査やローン契約が長引き、結局さらに引渡し約定日が延びる可能性があるのです。

仮審査承認前に契約を交わしてしまう

2つ目のトラブルは、仮審査承認前に契約を行うことによるトラブルです。
このトラブルは、売主・買主間というよりは、売主・不動産会社間で起こり得るトラブルになります。

○トラブル内容

基本的にはローンの仮審査をして、その審査に承認してから不動産売買契約を結び、その後本審査をするというのが本来の流れです。
しかし、不動産会社によっては、仮審査に通過する前に不動産売買契約を結ぶことを提案する場合があります。

たとえば、売れ行きが悪い物件の場合は、購入検討者が現れたら早めに契約を結んでしまいたいものです。
しかし、仮審査をすれば長ければ審査に1週間程度の期間がかかるので、その期間に検討取りやめになることも十分考えられます。

そのため、検討取りやめの前に契約させるという目的で、仮審査承認前に契約してしまうのです。
しかし、その時点では審査に通るかどうかは分からないので、契約後に審査に落ちてローン特約が適用になる可能性があります。

この場合は、書類作成や広告にかけた時間や印紙代が無駄になるため不動産の売却が長引くリスクもあります。

○対処法

この場合のように不動産会社や買主の都合に起因するトラブルに売主が巻き込まれないようにする対処法はただ1つで、仮審査に通過してから不動産売買契約を結ぶということです。

確かに、仮審査の期間中にキャンセルされるケースはありますが、時間的なリスクは少ないでしょう。
どんなに年収が高く勤務先がしっかりしていても、仮審査に通過した後に売買契約を結ぶという鉄則は守るようにしましょう。

どんなに年収が高く、大手企業に勤務していても過去のクレジット事故等で住宅ローン審査が通らなかったケースは多々あります。油断は禁物です。

相手のプロフィール(属性)変更

一番多いトラブルは相手のプロフィールが変更になり、それが原因でローンに否決になるというパターンがあります。
プロフィール変更とは、たとえば以下のようなケースです。

  • 勝手に転職してしまう
  • 勝手に他のローンを組んでしまう
  • 雇用形態を正社員から契約社員へ変えてしまう

つまり、ローン審査に影響があるようなことを、買主の意思で行ってしまうということです。
上記のようなことをしてしまうと、仮審査時と異なる条件になるので、再審査となり承認は難しいケースが多いです。
しかし、これらの点は「自己都合」かどうかの判断が難しいケースもあります。

転職などは自己都合でしょうが、「勝手にローンを組む」などは、「仮審査の前にローンを組む予定だと伝えた」などと主張するケースがあります。
このようなことが起こらないように、まずは買主が信頼に値するか見極めましょう。誠実に対応してくれる人であれば、上記のようなことはしません。

それでも心配であれば、「契約までに転職やほかの借り入れなど、審査条件が変わることはしない」などの文言を申込書に記載しておきましょう。
法的拘束力はありませんが、購入者に対しての注意喚起にはなります。

不動産売買契約は仲介会社との密な打ち合わせが必要:まとめ

このように、ローン特約にまつわるトラブルは、売主と不動産会社にも起こりうることです。
スムーズに取引するためにも、契約時には不動産仲介会社としっかりと打ち合わせしましょう。

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