不動産売却と繰り上げ返済、どっちが先?住み替えで損しないための判断基準を徹底解説

繰り上げ返済

「今の家を売って住み替えたいけれど、手元にある貯金で住宅ローンの繰り上げ返済をすべきか迷っている」
「売却前にローンを減らしておいた方が、売るときに有利になるの?」

 

住み替えや不動産売却を検討している際、必ずと言っていいほど浮上するのが「繰り上げ返済」の問題です。
一見すると、借金を減らすのは良いことに思えますが、不動産売却を控えている場合は「あえて返済しない」ことが正解になるケースも多々あります。

本記事では、不動産売却と繰り上げ返済の優先順位について、メリット・デメリットを比較しながら、あなたにとって最適なタイミングをプロの視点で解説します。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
このサイトから多数の査定依頼を受けています。(NHK・経済誌の取材実績も)

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結論:売却前の繰り上げ返済は「慎重に」

結論から申し上げます。「不動産を売却する予定があるなら、無理に繰り上げ返済をする必要はない」ケースがほとんどです。

その最大の理由は、「現金(キャッシュ)の確保」が住み替え成功の鍵を握るからです。
不動産売却には、仲介手数料や印紙代、引っ越し費用など、多額の現金が必要になります。また、新居の購入を検討している場合、住宅ローンの頭金や諸費用として現金を持っていた方が、融資の審査や資金計画において圧倒的に有利に働きます。

まずは「なぜ繰り上げ返済を急いではいけないのか」、そのリスクから見ていきましょう。

参考:不動産売却の手続きにかかる5つの経費・諸費用を解説【宅建士監修】

売却前に繰り上げ返済をするデメリットとリスク

多くの人が「利息を減らしたい」という思いから繰り上げ返済を考えますが、売却直前に行うと以下のような落とし穴があります。

① 手元の現金が底をつく

不動産売却は、必ずしも予定通りの金額・期間で売れるとは限りません。
繰り上げ返済に貯金を充ててしまった後で、「なかなか売れない」「新居の初期費用が思ったよりかかった」となった場合、手元の現金が足りずに詰んでしまう(黒字倒産のような状態)リスクがあります。

② 「住宅ローン控除」の恩恵が減る

住宅ローン控除を受けている期間中であれば、ローン残高に応じて所得税などが減税されています。
繰り上げ返済をして残高を減らすと、受けられる控除額も減ってしまうため、支払う利息よりも節税額の方が大きい「逆ザヤ」状態にある人は、返済を遅らせた方が得になります。

参考:5分でわかる!3,000万円特別控除とは?【マイホーム売却編】

③ 繰り上げ返済手数料が「二重」にかかる可能性

繰り上げ返済をする際、銀行によっては数万円の手数料がかかります。
その後、物件を売却したときには残りのローンを一括返済することになりますが、そこでもまた「一括返済手数料」が発生します。短期間に2回の手数料を払うのは、コスト面で非効率です。

逆に、売却前に繰り上げ返済をすべき「4つのケース」

デメリットが多い売却前の返済ですが、以下のような場合は「実行する価値」があります。

① 「オーバーローン」を回避したいとき

売却価格がローン残高を下回る状態を「オーバーローン」と呼びます。
不動産を売るには、ローンを完済して抵当権を抹消しなければなりませんが、売却代金で足りない分は自己資金で補う必要があります。
あらかじめ返済して残高を減らしておくことで、売却時の「持ち出し(追い金)」の不安をなくし、スムーズな売却活動が可能になります。

② 新居の住宅ローン審査(与信)を有利にしたいとき

住み替え先で新たにローンを組む際、現在のローン残高や返済比率(年収に占める年間返済額の割合)が厳しくチェックされます。
繰り上げ返済で月々の返済額を減らしておく(返済額軽減型)、あるいは完済に近づけておくことで、新しいローンの借入可能額が増える場合があります。

③ 売却までまだ時間がかかる(2年以上など)

「いつか売るけれど、具体的には2〜3年先」という場合は、繰り上げ返済による利息軽減効果が手数料を上回る可能性が高くなります。売却が数ヶ月以内なら不要ですが、長期スパンなら検討の余地ありです。

④ 金利上昇リスクに備えたいとき

変動金利でローンを組んでおり、今後金利が急上昇するリスクを感じている場合、元金を減らしておくことは将来の支払利息を抑える確実な手段となります。

【比較表】繰り上げ返済 vs 現金維持

住み替えを検討している方向けに、状況別の判断基準をまとめました。

状況繰り上げ返済すべき?理由
売却益が出る見込み× しなくて良い売却時に一括返済すれば十分。現金を温存すべき。
オーバーローンの恐れあり○ 検討すべき完済できないと売却自体ができなくなるため。
住宅ローン控除期間中× しなくて良い減税メリットを最大限受ける方が得なケースが多い。
新居の審査が不安△ 銀行と相談返済比率を改善するために有効な場合がある。
退職金が入った△ 慎重に老後資金との兼ね合いをプロにシミュレーションしてもらうべき。

住み替え成功のための「資金計画」3ステップ

「繰り上げ返済すべきかどうか」を正しく判断するためには、以下のステップで現状を把握することが不可欠です。

ステップ1:正確な「売却相場」を知る

まずは、今の家がいくらで売れるのかを知らなければ、オーバーローンになるかどうかも分かりません。
ネットの簡易査定だけでなく、不動産会社による訪問査定を受け、手数料などを引いた「手残り額」を算出しましょう。

ステップ2:ローン残高と「控除額」を確認する

銀行から届く返済予定表を確認し、現在の正確な残高を把握します。また、住宅ローン控除があと何年、いくら残っているかも確認してください。

ステップ3:新居にかかる「全費用」を書き出す

新居の価格だけでなく、仲介手数料(約3%)、登記費用、引っ越し代、新調する家具代など、売却から入居までにかかる「出ていくお金」をすべてリストアップします。

まとめ:迷ったら「現金」を手元に残すのが鉄則

不動産売却において、「現金は武器」です。
一度繰り上げ返済をしてしまうと、後から「やっぱり現金が必要になった」と思っても、銀行は簡単には貸してくれません。
「利息がもったいない」という気持ちは分かりますが、住み替えという大きなイベントを控えている時期は、効率性(利息)よりも安全性(キャッシュフロー)を優先させるのが、プロが教える「負けない売却術」です。

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