盛土規制法が不動産売却に与える影響とは?売主が知っておくべき5つのポイントを徹底解説

盛土

「自分の家が盛土(もりど)の上にあるなんて、今まで意識したこともなかった……」
「最近よく聞く『盛土規制法』の改正。これって、家を売る時にマイナス査定になるの?」

 

今、不動産売却を検討されている方の中から、こうした不安の声を多くいただくようになりました。
2023年5月、大規模な土砂災害をきっかけに「盛土規制法」が抜本的に改正され、土地の安全性に対する世間の目はこれまでになく厳しくなっています。

大切に住んできた我が家。いざ売ろうとした時に「法令違反です」「地盤が危険です」と言われて価格を下げられてしまうのは、誰だって避けたいですよね。

結論から申し上げます。盛土がある土地でも、正しく法律を理解し、適切な順序で準備を進めれば、納得のいく価格で安全に売却することは十分に可能です。

むしろ、法改正によって「何が危険で、何が安全か」の基準が明確になった今、曖昧な情報を放置して売却活動を始めることこそが、最大の高値売却の妨げになってしまいます。

本記事では、不動産売却のプロの視点から、盛土規制法があなたの土地の資産価値にどう影響するのか、そしてトラブルを避けて賢く売却するための5つのポイントを分かりやすく、かつ深掘りして解説します。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
このサイトから多数の査定依頼を受けています。(NHK・経済誌の取材実績も)

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 盛土規制法とは?なぜ今、売主が知っておくべきなのか

改正のきっかけは「熱海市での土石流災害」

2021年、静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害は記憶に新しいかと思います。この災害の主因が不適切な盛り土の崩落であったことから、国は「危険な盛土を全国一律の基準で厳格に管理する」ことを決定。

これが、2023年5月に施行された「盛土規制法(宅地造成等規制法の一部改正)」です。

以前の法律との決定的な違い

これまでの法律は、主に「宅地」として利用される土地が対象でした。しかし新法では、「土地の用途(宅地、農地、森林など)を問わず」、隙間のない規制が行われます。

「うちは農地を転用したから大丈夫」「山林に近いから対象外だろう」という思い込みは禁物です。改正によって、これまで規制対象外だったエリアも新たに「規制区域」に指定されるケースが全国で急増しています。

売却に直結する「2つの規制区域」を確認する

不動産を売却する際、その土地が以下のどちらの区域に含まれるかで、買主への説明内容や将来の建築許可の難易度が変わります。

① 宅地造成等工事規制区域

主に市街地や集落など、崖崩れが発生した際に居住者に危害が及ぶ恐れがあるエリアです。既存の住宅地の多くがこちらに該当する可能性があります。

② 特定盛土等規制区域

市街地から少し離れた場所でも、斜面地などで盛土崩落により下流に被害を及ぼす恐れがあるエリアです。

特定盛土等規制区域の確認方法
各自治体のホームページで公開されている「盛土規制法に基づく規制区域図」を確認しましょう。
不明な場合は、地域に詳しい不動産会社に調査を依頼するのが最も確実です。

資産価値(査定価格)への影響とコストの現実

盛土があるからといって、必ずしも価格が暴落するわけではありません。しかし、プロの査定では以下の「現実的なコスト」が考慮されることは覚悟しておく必要があります。

地盤の強度不足による改良費用

盛土は、もともとの地盤の上に土を積み上げたものです。古い造成地や施工が不十分な場合、地盤が軟弱なことがあります。

買主が新築を建てる際、地盤調査の結果次第では100万〜300万円程度の地盤改良費用が必要になり、その分が価格交渉の材料となる場合があります。

擁壁(ようへき)の「SOSサイン」をチェック

盛土を支える「擁壁」の状態も査定の重要ポイントです。

  • 既存不適格擁壁:今の建築基準を満たしていない古い壁。
  • 老朽化のサイン:5mm以上の大きな亀裂、壁の「はらみ(膨らみ)」、水抜き穴の詰まりなど。

これらが見られる場合、補修費用を想定した価格設定が必要になります。

【参考】地盤改良の工法と費用相場

工法名特徴費用の目安(30坪程度)
表層改良工法地表を固める。比較的浅い軟弱地盤向け。約30万円〜60万円
柱状改良工法コンクリートの柱を打つ。木造住宅で一般的。約60万円〜100万円
鋼管杭工法鋼の杭を強固な地盤まで打つ。深い盛土向け。約100万円〜180万円

売主が負うべき「契約不適合責任」のリスク

2020年の民法改正以降、売主様の責任はこれまで以上に重くなっています。

「知らなかった」では済まされないケースも

「盛土であることを伝えずに売却し、引き渡し後に地盤沈下が発生した」といったトラブルが発生した場合、買主から補修請求や代金減額請求、最悪の場合は契約解除を求められるリスクがあります。

情報を透明化することが「守り」になる

後々のトラブルを防ぐ唯一の手段は、「知っている情報をすべて開示する」ことです。過去の地盤調査データや造成時の図面があれば、必ず提示しましょう。

情報が透明であればあるほど、買主様は安心して検討でき、売主様は将来のリスクから解放されます。

参考:不動産売却時の契約不適合責任(瑕疵担保責任)について3つのポイントで解説

盛土物件を「高く・安全に」売却するための具体策

不安を解消し、納得の売却を実現するために、以下の3つのステップを推奨します。

資料の掘り起こし

建築時の図面や、自治体から発行された「検査済証」などは、土地の安全性を証明する最大の武器になります。

インスペクションの検討

専門家に建物や地盤の現状を診てもらうことで、「目に見えない不安」を「明確な事実」に変えることができます。

参考:インスペクションで不動産早期売却も!確認したいメリット・デメリット

「盛土」に詳しい不動産会社を選ぶ

単なる仲介だけでなく、地盤の知識や行政との調整力がある会社をパートナーに選びましょう。

【Q&A】よくある質問

Q1. 隣地の盛土が崩れてきそうなのですが、売却できますか?

A. 可能です。ただし、対策や告知が必要です。
自分の敷地内だけでなく、隣地の状況も資産価値に影響します。まずは不動産会社を通じて現状を整理し、買主様に誠実に説明した上で、価格設定に反映させるなどの戦略が必要です。

Q2. 昔の造成地なので資料が一切ありません。

A. 多くの古い土地が同じ状況ですので、ご安心ください。
資料がない場合は、現在の「地盤調査」を行うことで補うことができます。今の状態が安全であることを数値で示せば、資料がないことのマイナスをカバーできます。

変化する法律を味方につけて、安心な売却を:まとめ

盛土規制法は、一見すると売主様にとって「厳しいルール」のように思えるかもしれません。しかし、見方を変えれば、「安全性の基準が明確になった」ということです。

正しく調査し、情報を正直に開示する。この「誠実なプロセス」こそが、今の不動産市場で最も信頼され、結果としてスムーズな高値売却に繋がる近道となります。

「自分の土地はどうなんだろう?」と少しでも不安に感じたら、まずは現状を把握することから始めましょう。

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