「学校法人から不動産を売ってほしいと言われている」
「学校法人への不動産売却と通常の売却は何が違う?」
こんな疑問にお答えします。
不動産売却の相手が学校法人の場合、許可などの手続きが複雑化するというイメージもありますが、実際には特別な許可なく売却できます。ただし、税金面は「特別控除」の金額が異なるので注意が必要です。
そこで今回は、主に下記について詳しく解説します。
- 学校法人に不動産を売却する方法
- 学校法人に不動産を売却する際の税金
- 特別控除の違い
特別控除が適用される条件や売却時の注意点なども紹介しますので、学校法人への不動産売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
学校法人への不動産売却に特別な許可は不要
学校法人は税法上「公益法人」のひとつに分類されますが、不動産売買に関しては、特別な手続きをする必要はありません。許可なども不要です。
そのため、学校法人への不動産売却は個人に売却する場合と同じ流れで取引を完了できます。
なお、学校法人とは、「私立学校の設立を目的とした法人」のことを指します。文科省の管理下に置かれている学校法人は経営が安定しているため、不動産の売却先としては全く問題ありません。
学校法人への不動産売却では税金面に違いがある
一般的な不動産の売却では、下記の計算式で算出される所得税を納めなければいけません。
税額 = 譲渡所得(売却価格 - 取得費用 - 譲渡費用)× 税率
取得費用とは、物件の取得にかかった購入代金や手数料などの総額です。購入後に発生した設備費や改良費なども取得費用に含まれます。
譲渡費用とは、不動産を譲渡する際に発生した費用のことです。仲介手数料や印紙代などが譲渡費用になります。
通常の不動産売却では、この式で算出された税額に対して、3,000万円を上限とする特別控除を受けられます。
しかし、公共性の高い学校法人に売却する場合は、上限が5,000万円になります。そのため、譲渡所得が3,000万円を超えるのであれば、学校法人に売却した方が税額が少なくなります。
参考:5分でわかる!3,000万円特別控除とは?【マイホーム売却編】
特別控除を受ける条件
最大5,000万円の特別控除を受けるためには、下記2つの条件を満たす必要があります。
- 土地収用法による収用であること
- 買取り申し出のあった日から6ヵ月以内に譲渡すること
順に解説します。
1.土地収用法による収用であること
土地収用法とは、公共事業に必要な土地の収用に関する法律です。
この法律があるため、売却した不動産が公益事業以外の目的に使用される場合は、特別控除の対象とならないので注意しましょう。
幼稚園や大学などに活用されるのであれば、特に問題はありません。
2.買取り申し出のあった日から6ヵ月以内に譲渡すること
特別控除を受けるには、譲渡の期間も重要になります。「買取り申し出があった日」の基準は明確になっていませんが、国税庁は「不動産の買取り額を示して、買う意思を明確にした日」としています。
トラブルを防ぐためにも、日付と買取額が記載された書類は売却後も保管しておきましょう。
参考:不動産売却における【買付証明書】とは?3つのポイントで解説
学校法人への不動産売却で特別控除を受ける際の注意点
特別控除を受ける際には、事前に確認しておくべき注意点が3つあります。不要な損失や出費を抑えるためにも、しっかり把握しておきましょう。
1年間の特別控除上限額は5,000万円
1年間における特別控除額の上限は、5,000万円となります。そのため、年間の譲渡所得が5,000万円を超えた場合は、譲渡所得税を支払わなければいけません。
具体的な例を見てみましょう。
例1
①1年目:学校法人Aへの不動産譲渡所得が5,000万円
②1年目:学校法人Bへの不動産譲渡所得が3,200万円
この例では、①と②どちらも1年以内に譲渡所得が発生しているため、①と②を合算した8,300万円に対して税金が発生します。特別控除の上限は5,000万円なので、3,200万円にかかる税金を納めなければいけません。
例2
①1年目:学校法人Aへの不動産譲渡所得が5,000万円
②2年目:学校法人Bへの不動産譲渡所得が3,200万円
この例の場合、①と②の譲渡所得が発生した年が異なっているので、それぞれに対して5,000万円の特別控除が適用されます。1年目、2年目ともに納める税金は0円です。
いずれにしても、複数の不動産を異なる学校法人に売却する場合、譲渡所得の合算が5,000万円を超えるのであれば、売却を次の年にすらすなどの工夫をした方がいいでしょう。
同じ学校法人に売却した場合の特別控除上限は5,000万円
同じ学校法人に売却する場合は、売却する年をずらしても2年目以降の特別控除は受けられません。
具体的な例を見てみましょう。
①1年目に学校法人Aに売却:譲渡所得5,000万円
②2年目も学校法人Aに売却:譲渡所得3,500万円
この例の場合、特別控除の対象となるのは1年目の5,000万円だけです。2年目の3,500万円に対しては税金がかかります。
同じ学校法人に売却する場合は年を分けても確定申告などの手間が増えるだけなので、分けずに売却した方がいいでしょう。
他の特別控除と併用しても上限は5,000万円
他の特別控除と併用しても、控除される額の上限は5,000万円となります。
具体的な例を見てみましょう。
例1
①学校法人へ不動産を売却:譲渡所得3,000万円
②個人に自宅を売却:譲渡所得2,500万円
上記例の場合、①には土地収用法に関する特別控除上限5,000万円、②には居住用財産の特別控除上限3,000万円が適用されます。
しかし、譲渡所得の合算が5,500万円となるため、上限を超過した500万円には税金がかかります。
例2
①学校法人へ不動産を売却:譲渡所得3,000万円
②個人に不動産を売却:譲渡所得1,500万円
上記例の場合、①と②の譲渡所得を合算した額が5,000万円以下なので、それぞれ全額が特別控除の対象となります。
学校法人と個人に不動産を売却した譲渡所得の合算が5,000万円を超える場合は、売却する年を別にしてそれぞれの特別控除を受けた方がいいでしょう。
学校法人への不動産売却は特別控除の上限額が異なる:まとめ
学校法人への不動産売却では、最大で5,000万円の特別控除が受けられます。一般の売買に比べると控除額の上限が大きくなるので、不動産の売却先に学校法人を検討してみる価値は十分にあるでしょう。
ただし、適用条件や控除の上限額などに関してはさまざまな条件があるので、事前にしっかりと確認しておく必要があります。
不動産を少しでも高く売りたい場合には、「HOME4U」などの一括査定サイトを利用すると便利です。税金を抑えることも大切ですが、売却額を高くすることも不動産の売買では重要になるので、まずは所有している不動産の売却相場を調べてみてはいかがでしょうか。
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