不動産売却でかかる印紙税とは?納付方法や軽減税率などの基礎知識

収入印紙

「不動産売却で印紙税はかかるの?」
「不動産売却時の印紙代や納付方法がしりたい」

 

こんな要望にお応えします。

不動産売却時、取引額が1万円を越えていると、印紙税の納税が必要です。

ただし、印紙税は契約書を作る人が自分で金額を調べ、収入印紙を購入して納付する税金なので、そもそも印紙税についての理解がないと適切に納税することができません。

印紙税の納税を忘れた場合、必要な納税額が3倍に膨れあがってしまうため、印紙税の基本を押さえておきましょう。

今回は、不動産売却時に必要な印紙税の納税義務や納付の方法、お得な軽減税率制度などについて解説していきます。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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不動産を売る人は印紙税の納税が必要

不動産売却をする場合、取引額が1万円を超えていると「印紙税」という税金の納付が必要です。
まずは、印紙税とは一体どういう税金なのか、売り主と買い主どちらが負担するのかを解説します。

印紙税とは

印紙税とは、ある程度大きなお金や物品のやり取りをする際、その取引金額に対してかけられる税金のことです。

給料から天引きされる所得税や、商品価格に含まれる消費税と違って、契約書を作る人が自分で納税額を調べて印紙税を納付する必要があります。

契約書の記載金額に応じて納税額が決まるため、印紙税をいくら納税する必要があるかといった下調べも必要です。ただ、家や土地を売って印紙税がかからないケースのほうがまれなので、基本的には「家を売るときは印紙税の納税が必要」だと覚えておきましょう。

印紙税の納税を求められるのは取引内容を法で保証してもらうため

そもそも、どうして不動産売買契約に印紙税の納付が必要になのかというと、取引自体を法的に保証するためです。

民法では口約束も契約として扱われますが、実際の現場では、書面があるかどうかによってトラブルになった場合の対処のしやすさが大きく変わってきます。

不動産売却のような大きな取引だと、売却金額や瑕疵担保責任などについて水掛け論になると収拾がつかなくなります。

そのため、契約内容を書面にしたうえで、確実に書面の内容が正しいものであるという証拠を残す必要が出てきます。

収入印紙を貼って印紙税を納めると、「この書類の取引についてはすでに課税されている=適切な取引である」という証明になるため、余計なトラブルを防ぎやすいのです。

不動産売却手続きでは売り主・買い主の双方が印紙税の納税義務を負う

不動産売却手続きにおいて、印紙税は売り主と買い主の両方が半分ずつ負担します。

印紙税について定めた法律、印紙税法では、書類を作った人と名義を記載している人が連帯責任で納税義務を負うというのが基本的なルールです。

売買契約だと売り主と買い主の双方が1通ずつ契約書の原本を持つのが一般的なので、売り主・買い主でそれぞれ自分の手元に残す原本の印紙税を納めます。

ただし、どちらか一方が売買契約書を作成し、そのコピーを渡すという契約内容にしている場合、印紙税は1通分で構いません。

トラブル予防を考えると、お互いに契約書の原本を持っていたほうが安全です。

原本を1通だけ作ってコピーするというやり方は、不動産会社から家を買う・不動産会社に家を売るといった業者相手の取引で使われます。

不動産売買契約書や領収書など!印紙税がかかる書類とは

不動産売買契約書

不動産売却に関して、作成・成立時に印紙税がかかる主な書類は以下の4つです。

  • 不動産売買契約書
  • 領収書
  • 工事請負契約書
  • 土地の賃貸借契約書

不動産売却でもっとも高額な印紙税がかかるのが不動産売買契約書

不動産売買契約書は、主に以下の内容をまとめたものです。

  • 売買する物件の詳細
  • 売却代金
  • 決済の日時
  • 決済手段
  • 住宅ローンなどの審査が通らなかった場合の契約解除の特約
  • 瑕疵担保責任について
  • 契約成立日
  • 売り主・買い主・不動産仲介会社のサイン

不動産売買取引において最重要書類で、取引額が高い書類なので、印紙税も1番高いです。

住宅の売却代金を受け取ったときに渡す領収書

一般的な領収書も印紙税の課税文書に指定されています。

具体的にいうと、売買契約書を交わした後、実際に不動産の代金を受け取ったときに売り主から買い主へ渡す領収書にも、収入印紙を添付する必要があるのです。

ただし、以下の場合は買い主へ渡す領収書に収入印紙を貼る必要はありません。

  • 売り主が個人であり、不動産業を営んでいない(営利目的の売却ではない)
  • 自宅またはセカンドハウスを売却した

領収書にも印紙税がかかるのは、あくまでも不動産業として物件を売買しているケースなので、マイホームや相続した親族の家・土地などを売却する場合は、とくに意識しなくてもよいでしょう。

住まいの新築・リフォーム時に作る工事請負契約書も印紙税の対象

不動産売却に合わせて新築で家を買う、または中古の物件をリフォームする際に作る工事請負契約書も、印紙税の課税対象です。

納付の方法や必要な収入印紙の金額なども、基本的に売買契約書と同じなので、困ることはないでしょう。

土地の賃貸借契約書

いわゆる賃貸アパートやマンションのような、建物の賃貸借契約書は非課税ですが、土地を誰かに貸し出したり、逆に借りたりする際に作る土地の賃貸借契約書は、印紙税の納付が必要な書類です。

・土地そのものではなく、借地権付きの土地として使用権を他人に貸す
・新居を購入する際に他人の土地を借りた

といった場合、印紙税の納付が必要なので覚えておきましょう。

そのほかにも、法律で課税文書と指定されているものはいくつかありますが、不動産売却には関係のないものが多いので今回は割愛させていただきます。

購入した収入印紙を売買契約書に貼り付けるだけ!印紙税の納税方法

領収書

印紙税の納付方法は、以下の2通りです。

  • 作成した書類に収入印紙を添付して消印を押す
  • 税務署で前もって印紙税を納付してその証明書をもらう

ただし、基本的には前者の収入印紙を使った納付方法のほうが簡単ですし、後者の方法と比べた場合のデメリットもとくにありません。

どうしても税務署で納付してみたいという事情がないのであれば、収入印紙を使って印紙税の納税を済ませましょう。

印紙税の納税は規定の書類に収入印紙を添付するだけ

印紙税の納税方法は、非常にシンプルです。

  • 売買契約書の取引額に応じて収入印紙を購入する
  • 購入した収入印紙を売買契約書に貼り付ける
  • 収入印紙に消印を押して再利用できないようにする
  • お互いの同意のもとに契約を成立させる

収入印紙の購入費用に印紙税が含まれているため、契約書に貼って消印を押した時点で納付が完了したという扱いです。

収入印紙はコンビニ・金券ショップ・法務局などで購入可能

なお、収入印紙は以下で購入可能です。

  • コンビニ
  • 金券ショップ
  • 法務局
  • 郵便局

ただ、コンビニや金券ショップなどでは、高額取引用の収入印紙を取り扱っていないことが多いので、できれば最寄りの郵便局や法務局で購入するとよいでしょう。

不動産売買の場合は、不動産仲介会社が事前に準備していることが一般的です。
通常は決済(引き渡し)の際に不動産会社が立て替えた印紙代も精算します。

印紙税を先払いして税印を押してもらうという方法もある

やや特殊な方法ですが、あらかじめ税務署で印紙税を納付し、納付の証として「税印」を押してもらうという方法もあります。

専門用語で「税印押なつによる納付の特例」と呼ばれる納付方法ですが、以下のようなデメリットもあります。

  • 税印押なつ機という専用の設備がある税務署でのみ利用できる
  • 取引金額が直前で変わる可能性がある場合は利用しづらい

単純に使い勝手がよくないので、あえて税印押なつを選ぶ必要はないでしょう。

収入印紙を貼ったうえで消印を押すことが大事

収入印紙を書類に添付して印紙税を納付する際の注意点は、必ず消印をすることです。消印または割り印がなされていない収入印紙は、はがして再利用してもわからないので、使用したことになりません。

サインでも印鑑でも構わないので、必ず消印をするように気をつけましょう。

印紙税の納税を忘れた場合は罰として納税額が約3倍になる

印鑑

印紙税の納税を忘れた場合の罰則は、「過怠税」と呼ばれる追加徴税です。

元々の印紙税と合わせて計3倍の印紙税を納めることになってしまうので、罰則を受けなくてもすむように、印紙税のペナルティーについて知っておきましょう。

印紙税の納税をしなかった場合2倍の過怠税が上乗せされる

過怠税とは、以下の場合に発生する罰則金です。

  • 収入印紙の貼り忘れ
  • 収入印紙を貼っていたが消印をしていない

過怠税の税額は原則本来必要な印紙税の2倍額なので、印紙税1万円の取引なら、3万円の納付が必要です。

印紙税が約半額になる!お得な軽減税率の内容を解説

印紙税の納税をする際にぜひ覚えておいてほしいのが、お得な軽減税率の存在です。印紙税の税率は、2024年の3月31日まで、より安い税率が適用されます。

ただし、最低限の利用基準があるので、売買契約書、工事請負契約書の軽減条件を押さえておきましょう。

売買契約書は10万円・工事請負契約書は100万円オーバーが必須条件

売買契約書の場合、「書面の取引額が10万円を越えていること」が必須の条件です。

不動産の場合、取引価格が10万円以下になることは少ないですが、念のために覚えておくことをおすすめします。

一方、工事請負契約書の印紙税を軽減するためには、最低でも100万円を越える契約金額が必要です。

軽減税率のメリットは、何といっても節税効果の大きさでしょう。軽減税率を利用すると、印紙税は最大で半額に抑えられます。

たとえば、一般的な不動産取引額1,000万円を超え5,000万円以下の場合、通常の税率だと印紙税は2万円必要ですが、軽減税率適用時なら1万円です。

取引額があがるにつれて軽減の割合も下がってきますが、印紙税だけで最大12万円もの節約が可能なので、印紙税を納めるときは軽減税率で税額を計算しましょう。

国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

忘れずに印紙税を納めて不動産売却手続きを終わらせよう:まとめ

不動産売却をする場合、売買契約書や土地の賃貸借契約書などに収入印紙を添付して、印紙税を納める必要があります。

万が一収入印紙を貼り忘れたり、消印を忘れたりすると、過怠税の対象となって罰則金が発生するので、不動産売却をするときは忘れずに印紙税を納付しましょう。

とはいえ、不動産会社を通じて住まいを売却する場合は、不動産会社の担当者が収入印紙の金額や添付などについてアドバイスをしてくれます。

不動産売却自体もプロの手を借りたほうがスムーズに進められるので、まずは無料査定を積極的に利用しましょう。

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