遺産相続における寄与分とは?4つのポイントで徹底解説

寄与分

「遺産相続で寄与分はどうやったら認められるの?」
「そもそも遺産相続の寄与分ってなに?」

 

こんな疑問にお答えします。

寄与とは、簡単に言えば「貢献」の意味です。寄与分は遺産相続の相続人同士での話し合いである「遺産分割協議」でも、もめ事となることが多い原因の一つです。

近年の日本人の長寿化に伴い、介護を必要とする高齢者も増加していることは周知の事実です。在宅で介護をしておられるご家庭も沢山あるでしょう。

その介護されていたご家族が亡くなった後の遺産相続の際に「寄与分」で揉めることが多いのです。

今回はその遺産相続における「寄与分」について詳しくご説明いたします。

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監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
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遺産相続における寄与分とは?

寄与分とは、被相続人(亡くなった方)の財産の維持や増加に貢献していた場合、法定相続分よりも多く財産を受け取ることができるという民法上の制度です。

寄与分を受け取れる対象となるのは相続人に限られます。被相続人の内縁の妻は対象外となります。

息子の妻も相続人の対象外ですが、2019年7月の民法改正により、相続人に「特別寄与料」を請求することが出来るようになりました。

詳しくは後ほど記述します。

寄与分が認められるための要件

寄与分が認められるためには、先述したとおり、「被相続人の財産の維持や増加に貢献」していた相続人です。以下より詳しく解説します。

無償もしくは無償に近い行為であったこと

  • 被相続人の家業を長年無償で手伝っていた
  • 被相続人の家業である農業において、田畑の開拓や整備に尽力し、結果農作物の収穫量を増産させ、被相続人の財産や利益の増加に貢献した

家族として通常で期待される以上の特別な行為であったこと

  • 被相続人を在宅で長年毎日介護し、その期間を介護サービスの金額に換算すると数百万の金額となった
  • 会社を辞め、長期にわたり自宅で被相続人を献身的に介護した

ずっと長期間にわたり継続されていたこと

「継続的」とは3年以上で認められるケースが多いようです。

相続人であること

相続人は、被相続人の配偶者と子であると定められています。

その他

寄与の行為が相続開始前であることや、その行為が被相続人にとって必要不可欠であり、相続人にとってかなりの負担であったことなどが要件としてあげられます。

寄与分は認められにくい

寄与分が認められる要件をご覧になって、意外と厳しいなと思われた方も多いのではないでしょうか。実際認められにくいのです。

被相続人である親の介護を亡くなるまでした方などは寄与分を認められるのは当然だと考えるでしょう。

しかし、前章でもあげた、家族であれば当然であることを超えた「特別な寄与」は、相続人の考える「特別な寄与」と、法律で認められる「特別な寄与」のレベルにかなりの差があります。

法律では以下のことが義務づけられています。

  1. 直系血族及び同居の親族は互いにたすけ合わなければならない
    (民法730条 親族間の互助義務)
  2. 夫婦は同居し互いに協力し扶助しなければならない
    (民法752条 夫婦の協力及び扶助義務)
  3. 直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務がある
    (民法877条 親族の扶養義務)

上記にあるように、同居していれば、介護が必要になった親の面倒をみるのはある程度なら当然であるとされています。

そのため、「病院に行くために送迎をずっとしていた」「食事を毎食作り介助していた」という主張では、民法上当たり前の行為であるとみなされてしまいます。

特に、介護やお世話は日常的にしている行為であるため、どのくらいの時間どの程度面倒をみていたかの記録や送迎にかかったガソリン代の領収証など証拠となる資料がなく、寄与分を主張したくても他の相続人を納得させることができず、諦めざるを得ないことも多くあります。

そして、遺産相続の場面では、感情的な対立が起こりやすいという点も寄与分が認められにくい原因となっています。

相続人の一人が寄与分の主張をすると、他の相続人は良い気分ではないのが本音でしょう。揉めることもなく、寄与分の主張を認めてもらえることの方が希です。

先述したように、どの程度「特別な寄与」をしたのか、データとして可視化できないケースもあるので、結局「やった」「やってない」という感情的な対立となってしまいがちです。

そこで諦めざるを得ないこともありますが、強く主張する相続人がいる場合は、遺産分割協議ではまとまらず、調停や裁判に委ねることになります。

以下に、寄与分が認められた判例を基に代表的な類型を挙げておきますので参考にしてみてください。

類型該当する人
家事従事型被相続人の家事に従事していた・家業である農業に無償で従事していた
金銭等出資型被相続人に財産を提供した・家の建て替え費用を支払った
・借金の肩代わりをした
・不動産を譲渡した
看護療養型被相続人を介護していた・同居し介護、看護していた
扶養型扶養が必要な相続人を身体的・経済的に面倒をみていた・同居し衣食住の世話をしていた
・生活費を負担していた
・仕送りをしていた
財産管理型被相続人の財産を代わりに管理し手続きをしていた・賃貸アパートを代わりに管理していた
・不動産売却を代わりに遂行した

寄与分の主張を認めてもらうためには

寄与分を認めてもらうためには、まず自ら主張することです。

相続人の中に寄与分を受け取れる行為をしていた人がいたとしても、それを自ら主張しない限り寄与分はないものとされてしまいます。
寄与分を主張でき、なおかつ認めてもらえる可能性が高いのは遺産分割協議の場です。

そこで他の相続人からの合意を得られるのがベストです。

寄与分と認められる代表的な類型を先述しましたが、これらに該当する行為ではなくても、他の相続人から遺産分割協議において寄与分に値する行為だと認めてもらえれば、寄与分を受け取ることができます。

しかし、この遺産分割協議で相続遺産の配分がきちんと決まらなかった場合は、遺産分割調停を申し立てます。

遺産分割調停では、遺産分割協議の時と同じように相続遺産の配分を決めるのですが、話し合いをする相手は相続人同士ではなく、各々第三者と話し合うこととなります。

第三者とは調停委員のことで、裁判所が選出した、社会通念上知識経験が豊富な人です。選出された調停委員2人と相続遺産の配分について話し合い、落としどころを決めていきます。

そのため、寄与分の主張についても、調停委員が寄与分に同意をしない相続人と話し合い、遺産分割の配分がうまくまとまるように方向づけてくれます。

この遺産分割調停で話し合いがまとまれば、「調停証書」という法的効力のある文書が作成されます。遺産分割調停でも決着がつかなかった場合は、遺産分割審判へと移行します。

遺産分割審判とは調停とは違い、いわゆる裁判となるので、協議や調停のように自由に配分を決めたりすることは原則としてできません。

法に則った相続分となり、寄与分の主張にも法的な根拠が必要となり、審判で認めてもらうにはかなりハードルが高くなってしまいます。

やはり、寄与分の主張を認めてもらうのは、第一段階の遺産分割協議の時がベストです。

参考:相続不動産の売却時に必要な遺産分割協議について5つのポイントで解説

特別寄与料制度とは?

寄与分を受け取ることが出来るのは相続人であることが要件のひとつということは先述しましたが、亡くなった被相続人に「特別な寄与」をしたのは、相続人以外にも存在するのはよくあることです。

その主たる例が、被相続人の息子の妻です。亡くなった被相続人の父親と息子夫婦が同居しており、父親を献身的に介護していたのは息子の妻であった、という場合です。

寄与分に十分値する行為があったとしても、息子の妻は相続人には該当しません。今までの法律では寄与分を主張する権利どころか遺産をもらうことも出来ないので、報われない人も沢山いたでしょう。

これまでの裁判では、「相続人の息子とその妻を一体として、寄与分を認める」とし、寄与分を受け取ることが出来たいう判例もありますが、やはりハードルが高いものでした。

そこで2019年7月の民法改正の際、相続に関する事項では、「特別寄与料」制度が新たに施行されました。

この制度は、今まで相続人にしか与えられていなかった寄与分の請求を、相続人以外の親族にも出来るようにしたものです。

この制度により、相続人以外の親族で、被相続人の財産の維持や増加に貢献し、「特別な寄与」と認められる行為があったときに、その親族が相続人に対して寄与分相応の金銭を請求することができるようになりました。

この場合の「特別な寄与」は具体的には、「被相続人の看護介護を無償で長期間献身的に行った」「家業を長年無償で手伝った」という行為を指します。

特別寄与料を請求できる親族

この特別寄与料を請求することが出来るのは、被相続人の親族であり、6親等内の血族、3親等内の姻族です。

また、被相続人に対して「特別な寄与」の行為があったと認められる必要があるのは、寄与分の要件と基本的には同じです。

請求できる期間と方法

相続人に特別寄与料を請求できる期間は、「特別寄与を請求する親族が相続の開始及び相続人を知った時から6ヶ月間」または「相続開始から1年間」です。

相続人には特別寄与料の請求の旨を伝えますが、相続人間で行う遺産分割協議で話し合うということではありません。

遺産分割協議が行われるのを待っているうちに請求できる期間が過ぎてしまった、ということもあり得るので注意が必要です。
直接相続人に請求し話し合いで決める場合と、家庭裁判所に申し立てをする場合もあります。

被相続人にとっては近しい存在であり、看護療養や家業に従事して貢献度が高いとしても、あまり面識のない相続人からすれば、特別寄与料を認めることはなかなか納得いくことではないと思われます。

そのため、話し合いで決まることは希かもしれません。その際は家庭裁判所に審判を委ねることになります。

請求できる金額

特別寄与料として請求できる金額の計算方法は以下の通りです。相続人に請求する金額の目安と相場となります。

療養看護型(被相続人の療養看護を無償で長期間献身的に行った場合)

第三者が療養看護を行った場合の日当額(5,000~8,000円) × 療養看護をした日数 × 裁量割合(0.5~0.8)

第三者が療養看護を行った場合の日当額は介護保険制度の介護標準基準額を参考とし、日額5,000~8,000円とする。
裁量割合とは、介護を専門職とする人が1.0として、専門ではない親族は0.5~0.8とする。


日当額が6,000円、療養介護をした日数が1,800日、裁量割合を0.5とした場合
6,000円×1,800日×0.5=540万円)
特別寄与料は540万円となります。

家事従事型(被相続人の家業に長期間無償で従事した場合)

特別寄与者が通常受け取るべき年間給与額 × (1.0ー生活費控除割合) × 寄与年数 × 裁量割合

特別寄与者が通常受け取るべき年間給与額は、家業の同種同業の仕事に従事する同年代の賃金を参考とする。
生活費控除割合とは、給与を受け取らない代わりに生活費を負担してもらっていた金額の割合を指す。(0.5とする場合あり、裁量割合は療養看護型と同じ)


参考年間給与額400万円、生活費控除割合0.5、寄与年数10年、裁量割合を0.5とした場合
400万円 × 0.5 × 10年 × 0.5 = 1,000万円
特別寄与料は、1,000万円となります。

ただし、相続人と特別寄与者との間で合意したのであれば、この限りではありません。遺産の総額を超えない金額が限度額となります。

まとめ

相続における寄与分についてご説明しました。この制度は、本来被相続人のために多大な貢献をした相続人や親族が報われるようにあるものですが、残念なことに相続人同士での争いの元になってしまう側面もあります。

寄与分や特別寄与料の請求を考えている場合は、相続をスムーズに進めるためにも専門家に相談することをおすすめします。

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