空き家になった実家どうする?売却したほうが良い3つの理由

空き家の実家売却

「親が亡くなって実家が空き家になったけど、売却した方がいいの?」
「親が介護施設に入所して実家が空き家になったけど、そのままでも問題ない?」

 

こんな疑問にお答えします。

実家が空き家となったときによく見られるのが、「とりあえずそのまま」「いつか売ればいい」と、放置してしまうケースです。

空き家となった実家は、「その時点で」売ってしまうのが一番

今回はその理由とともに、実家の処分で失敗しないために気をつけたい3つのことを詳しく解説していきます。

記事の信頼性

監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太

不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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空き家は「負」動産!遅くとも3年以内には売却を

空き家の売却
ご両親が亡くなったあとも、なんとなく実家の売却に踏み込めない方は多いです。
それがご健在で、高齢者施設に入ったなどのために空き家になっている状態だったら、尚更でしょう。

でも言い方は悪いですが、どんな状況であれ「空き家」は「空き家」
誰も住むこともなく、劣化だけが進行していく一方、固定資産税などの維持費用はかかり続ける…いわば金食い虫の「負」動産です。

それだけでも空き家を早く売却した方がいいという理由になりますが、実は税制上でも、法律上でも、空き家はいち早く手放すことが賢明だといえるんです。

その理由は次の2つです。

  • 税制優遇があるときに空き家は売ってしまうべき
  • 「空き家対策特別措置法」により空き家所有者への風当たりは強くなっている

順に解説します。

税制優遇があるときに空き家は売ってしまうべき

不動産売却で利益が生じた場合、住民税と所得税が課税されます。その税率は所有期間が5年以下の場合は39%、5年超の場合は20%ですから、かなり高額です。

ただし「マイホーム」の売却に関しては、税制上大きな控除があるので多くのケースで課税対象にはなりません。その控除額は、3,000万円

これ以上の利益が出ることはあまりないので、マイホーム売却は、基本的にそこまで売却益を心配する必要はないんです。

しかし「空き家となったマイホーム」の場合には、注意が必要です。
というのもこの控除適用には有効期限が定められていて、その期限は「所有者が住まなくなってから3年目の12月31日までの売却」となっています。

特例をうけれる期間

つまり「介護施設への入所」でも、「子供たちとの同居」でも、所有者がその家に住まなくなって空き家になった場合、その日から3年後の年末までに売却しなければ、3,000万円の控除は適用外となってしまうということです。

また空き家を相続した場合には、違う点で注意が必要となります。「マイホーム売却の3,000万円控除」は、所有者のための特例です。
空き家を相続した人が「亡くなった親と同居していた」など、その家に住んでいたのならこの控除は使えます。

一方、単に親の家を相続したケースでは使えません。それは相続人にとっての「マイホーム」ではないからです。
しかし2016年の税制改正で、「被相続人の居住用財産(空き家)」を売ったときの特例」が新設されました

「相続空き家売却の3,000万円控除」と呼ばれるこの特例は、要は「相続人も同じように3,000万円控除しますよ」というもの。

ただしこちらの控除適用にも期限があり、「相続の開始があった日から3年目の12月31日までの売却」となっています。

そしてこの特例における一番の注意点が、適用要件に「相続の開始の直前において、被相続人が被相続人居住用家屋の居住の用に供していた」とあることです。

簡単にいうと、「被相続人が亡くなる直前までその家に住んでいた」という事実が必要だということ。
つまり相続の前に所有者が高齢者施設に入るなどして空き家になった場合、その時点で「相続空き家売却の3,000万円控除」の要件に該当しなくなるということです。

  • 親が介護施設などに入ったことにより空き家となった実家は、「マイホーム売却の3,000万円控除」が適用となる「3年目の年末まで」に売却するのが節税に繋がる
  • 親が亡くなる直前まで住んでいた実家を売るときは、「相続空き家売却の3,000万円控除」が適用になるが、こちらも「3年目の年末まで」が期限となっている
  • ただし介護施設などにいる親が実家の売却を待たずして亡くなった場合、「相続空き家売却の3,000万円控除」は使えないので、家が空き家となったら親が元気な内に売却するべき

参考:5分でわかる!3,000万円特別控除とは?【相続空き家編】

「空き家対策特別措置法」により空き家所有者への風当たりは強くなっている

誰も住んでいない空き家
空き家問題が深刻化する前は、所有者の財産である家に行政機関が調査に入ったり、管理状況の改善を促したり、撤去などの処置をしたりすることはできませんでした。
しかし今では、その全てを各自治体などの独断ですることができます。

それは2015年に施行された「空き家対策特別措置法」が大きく影響しています。
この法律は空き家問題の深刻化を受けて施行されたものですが、空き家所有者がもっとも危惧すべき点は、空き家の固定資産税が増税する可能性が出てきたという点でしょう。厳密にいえば「増税」ではなく、今ある優遇措置が撤廃されるということです。

建物が建っている土地というのは、建物の大きさによって最大1/6にまで固定資産税が減税される措置が取られています。

「周りに危害を与える可能性がある」「迷惑となっている」と行政に判断された空き家は、まず「特定空き家」に指定され、その後、改善の行政指導に背いたタイミングでこの優遇措置が撤廃となります。

つまり空き家所有者は、まずは「特定空き家」に指定されるのをなんとしてでも阻止しなければならないんです。
気になる「特定空き家」の条件ですが、これがけっこう注意していないと簡単に指定されてしまいます。

国土交通省が示している「特定空き家」指定条件の一例
  • 既存の景観ルールに著しく適合していない場合
  • 多数の窓ガラスが割れたまま放置されている
  • 立木の枝等が道路等にはみ出し、歩行者の通行を妨げている
  • 門扉が施錠されていない、窓が割れている等、不特定の物が容易に侵入できる状態

さらに条件を確認したい方は、国土交通省のホームページを参考にしてください。
これらの条件を満たしている空き家は非常に多いです。

立木が道路にはみ出さないようにするなんて、数カ月に1度以上は確認し、手入れをしなければなりません。
窓ガラスの破損も、異常気象が多い昨今ですから気になるところです。空き家が遠方にあれば、その度に確認に行くのも難しいでしょう。

しかしきちんとした管理をしなければ固定資産税は実質増税し、最終的には強制撤去などの処置を取られることにもなりかねません。

今までは、「固定資産税の融通措置があったから」空き家を放置しているという人がたくさんいたんです。

この法律施行によりもう一つ危惧すべきなのは、固定資産税の増税やその他の処置を恐れて、今まで空き家を放置していた人たちが売却を考えるケースが増えていくと予想されること。

つまり、空き家の供給数が上がり、需要が減り、ただでさえ売れにくい空き家の価値がさらに下がっていく恐れもあるということです。

空き家対策特別措置法は、空き家問題の解決には一役買うのかもしれませんが、空き家所有者にとってはマイナスでしかないんです。
解決策は、固定資産税が増税しない内に、また空き家が売れる内に、なるべく早期に手放すこと以外にありません。

参考:空き家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)って何? 分かりやすく解説します!

空き家を解体して更地にするのはNG!

実家を処分するにあたってありがちなのが、家を解体してしまうということです。

実家が空き家となったとき、多くが築年数20年、30年を超えています。木造家屋は20年で価値がゼロになるともいわれていますから、価値もない、見栄えも悪い、古びた空き家を解体しようというお気持ちはわかります。

しかし独断で解体するのは絶対にやめてください。
その理由は次の2つです。

更地になることで固定資産税が跳ね上がる

先ほども触れましたが、住宅が建っている土地というのは、固定資産税が優遇されている状態です。
建物の大きさにもよりますが、その優遇率は最大1/6。もし建物を解体しまえば、無条件でこの優遇はなくなります。

解体してすぐに売れればいいんです。ただ不動産の売却は、早くても数ヶ月、需要次第では数年間売れないことも考えられます。
この間の固定資産税を負担するのは、もちろん現所有者です。ただ更地にした方が売れやすくなる傾向があるのは確かです。
結果的に売却前に解体してしまおうという話になる可能性もあります。

しかし、物件によっては建物を解体するリスクが大きい以上、解体の判断は不動産会社に売却相談をしてからでも遅くはありません。

参考:長年住んでいない家はそのまま売却するべき?それとも解体して更地にするべき?

「マイホーム売却の3,000万円控除」が使えなくなる

また「3,000万円控除」の話になりますが、「マイホーム売却の3,000万円控除」の次の要件が、空き家を解体してはいけない理由の1つになります。

家屋を取り壊した日から1年以内に売買契約を締結する

前述通り、この控除の適用要件は、基本的には「所有者が住まなくなった日から3年目で12月31日までの売却」です。
しかし建物を解体してしまうと、「1年以内」に売却期限が短縮されてしまいます
1年以内に売買契約を締結するのは、条件次第ではかなり難しくもなります。

「相続空き家売却の3,000万円控除」にはこの要件はありませんが、親御さんがご健在で「マイホーム売却の3,000万円控除」を適用させたいときには、この要件を頭に入れておいてください。

参考:5分でわかる!3,000万円特別控除とは?【マイホーム編】

実家の処分は柔軟な姿勢で臨むべき

不動産という大きな資産の売却ですから、「少しでも高く」「より好条件で」というのは誰もが思うことでしょう。
ただ最初に申し上げたように、空き家はそのままにしていれば「負」動産。
「負」動産の売却は、値段ももちろん大事ですが、「売り切ってしまう」ことを最大の目的にするべきです。

資産価値が高く、好条件で売れる見込みのある空き家だったらいいんです。しかし空き家の多くは、期待以上の価格では売れません。

それでも価格を下げない、売れやすさを向上させるためのアクションを起こさないとなれば、そのままずっと売ることはできないかもしれません。

そもそも「維持費がかかる」「きちんした管理をしなければ行政指導が入る可能性もある」ための売却です。売り出したからといって、これらのことが解消されるわけではないんです。

空き家は「売り切る」ことが最も重要。そのために空き家が売れないときは、次のようなことも検討してみてください。

  • 相場より価格を下げる
  • 業者に買い取ってもらう
  • 耐震補強やリフォームをして資産価値を向上させる

一般的な不動産は、「早期売却」と「高額売却」を両立してこそ、所有者に最大の利益をもたらします。
しかし空き家の売却にもっとももとめるべきは「早期売却」です。売却の目的を今一度考え、柔軟な姿勢をもって売却に臨むべきです。

空き家になったらまずは不動産会社に相談する:まとめ

実家の処分で失敗しないために気をつけたい3つのことを挙げてきましたが、ご両親がご健在の場合でも、相続の場合でも、空き家となった時点でまずは不動産会社に相談することをおすすめします。

不動産売買のプロなら、売却にかかる税金のことも熟知していますし、売り方の選択肢もたくさんご提案できます。
「管理が難しい」「売れないかもしれない」「税金のことがよくわかならい」
空き家となってしまった家は、このような不安が尽きないでしょう。

弁護士などの専門家に相談するのも解決策の1つですが、まずは不動産会社に相談することをおすすめします。
慌てて解体やリフォームなどはせずに、そのままの状態で相談してみてください。

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