古家付き土地を更地にして売却することのメリット・デメリットとは?

更地

「古家付き土地を売却したいけど、解体した方がいいの?」
「更地にして売却するメリット・デメリットを知りたい」

こんな疑問にお答えします。

古家を解体・更地にして売却することで、より良い条件で売却できる場合があります。ただし、どんな不動産でも更地にしてから売却したほうが有利になるわけではありません。

不動産によっては、解体せずそのまま売却したほうがより好条件で売却できるケースもありますし、解体工事にもお金がかかります。

重要なのは、古家を解体・更地にした場合のメリットとデメリットを把握し、自分の土地を更地にすべきか判断できるようになることです。

そこで今回は、土地を更地にして売却する場合のメリットとデメリットをそれぞれ解説していきます。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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古家を更地にしてから売却する場合のメリットは売りやすさなど

古家を解体・更地にしてから手放すメリットは、主に以下の5つです。

  1. 買い手を見つけやすくなる
  2. 不動産が売れるまで更地を貸し出して活用できる
  3. 瑕疵担保責任を負わなくてもよい
  4. 内覧対応が不要
  5. 建物の状態が悪くても資産価値が下がらない

まずは、更地にして売るメリットを押さえていきましょう。

①買い手を見つけやすくなる

不動産

古家を解体・更地にしてから売り出す場合、基本的には古家付きのまま売るよりも買い手を見つけやすくなります。
理由は単純で、「古家付きの土地」よりも「土地(更地)」を探す人のほうが圧倒的に多いからです。

古家を解体せずに売り出した場合、「中古のマイホームを探している人」がメインターゲットになります。
中古物件の数は多いので、物件同士の比較も厳しく見られますし、新築に比べて取引額も安いため、希望通りの条件でなかなか売れないというケースも少なくありません。

しかし、古家を解体して更地にしてしまえば、以下の人もターゲットになります。

  • 土地を買って家を新築したい人
  • 新規店舗のオープンや賃貸住宅経営など、ビジネス目的で更地を探している人
  • 生前に現金を不動産にかえて相続財産を用意したい人

10人に興味を持たれる古家付きの土地と、100人の興味を引く更地なら、どちらのほうがより問い合わせや購入の申し込みが多くなりやすいのかは言うまでもないでしょう。

不動産売却でもビジネスでも、一番大切なのは「集客」です。更地にすることでより多くの人に不動産のことを知ってもらえば、よりよい条件で売却できます。

また、更地なら購入後すぐにハウスメーカーを決めて建売住宅や注文住宅に工事を頼めるという点も強みのひとつです。

最近では、先にハウスメーカーを決めている、いわゆる「土地なし客」も多くいるので更地は早期売却につながります
できるだけ急いで家を建てたいと考えている人がいれば、更地のほうが早く売却できます。

②不動産が売れるまで更地を貸し出して活用できる

駐車場

家を解体して更地にするメリットとして、あなどれないのが売却以外の活用手段があることです。不動産は、どれだけ状態のよいものでも、売り出してからすぐに売れるわけではありません。

購入条件の合う買い手が見つかるまで時間がかかることもあります。建物があれば維持費が必要ですし、固定資産税は「1月1日に不動産を所有している人」のもとへ請求が届くため、売却中に年を越すと固定資産税の納税も必要です。

参考:固定資産税の計算方法と不動産売却時の精算について【宅建士が解説】

更地にしてしまえば建物の老朽化や維持費を気にする必要はありません
さらに、下記の状況でも更地はメリットになります。

  • 仕事やプライベートで忙しく、不動産売却手続きを進める時間的余裕がない
  • 一度売り出したがなかなか買い手が決まらない

いったん不動産売却を中断して更地を駐車場にしたり、会社などにレンタルして賃料収入を得たりすることができます。土地をほしいという人が出てくるまで、なんらかの方法で収入を得られるのも、更地で売るメリットです。
ただ、お金を取って他人に土地をレンタルしていると、買い手が見つかったとき一方的に相手へ出ていくよう求めることができません。駐車場にしたり、資材置き場として土地を貸したりする場合は、無期限の賃貸借契約ではなく、「○ヵ月後に退去してもらう」「○ヵ月ごとに契約を更新する」といった定期契約を結びましょう。

参考:【相続不動産の有効活用】宅建士が7つの方法を徹底解説

③瑕疵担保責任を負わなくてもよい

通常、住まいを売却する場合、売り手は「瑕疵担保責任」という責任を負う必要があります。

瑕疵担保責任とは、「売買成立後に、買い手が知らなかった住宅の問題点(瑕疵)が見つかった場合、売り手の責任になる」というルールのことです。不動産部分に瑕疵があっても、事前に不動産業者から瑕疵の内容を伝えていれば売り手が責任を取る必要はありません。

しかし、家を売ったあとに雨漏りが見つかったり、シロアリ被害が発見されたりした場合、売り手は買い手から損害賠償請求を起こされたり、売買契約の解除を求められたりします。

しかし、家を解体して更地にしてしまえば、瑕疵担保責任は関係ありません。更地は雨漏りやシロアリなどの被害に影響されないからです。
「売却後のトラブル対応をしなくてよい」のは、早く不動産を処分して身軽になりたい人にとって大きなメリットといってよいでしょう。

なお、「瑕疵担保責任」という不動産売却上のルールは、2020年4月に改正される民法で、「契約不適合責任」という名称に変更されました。大まかな内容は同じです。

しかし、瑕疵担保責任では「事前に買い主へ説明している瑕疵」は売り手の責任にならなかったのに対して、契約不適合責任は、「説明の有無に関わらず、契約書に不備の内容が記載されているか」がポイントです。

不動産売却は、民法や宅建業法といった各種法律のルールを守って契約を進める必要があります。
場合によっては法改正で取引上の注意点が変わってくるので、更地を売る場合も、更地以外の不動産を売る場合も、できるだけ法改正や不動産売却に関するニュースを押さえておきましょう。

参考:不動産売却のトラブル【瑕疵担保編】事例を知って事前に回避!

④内覧対応が不要

中古物件を売り出す場合、売り手は内覧の申し込みに対応する必要があります。
不動産会社のスタッフに任せてしまうのも手ですが、まだ住まいで暮らしている状態だと、家族の予定を合わせたり家のなかを掃除したりする必要があるため、用意するだけでも大変です。

その点、古家を解体して更地にしていれば、内覧対応を自分でする必要がありません。
土地の確認点は、広さや所在地、周辺環境など、外から見れば分かることなので、不動産会社の担当者に任せておけます。

⑤建物の状態が悪くても資産価値が下がらない

中古物件は、基本的に築年数が古くなればなるほど資産価値や市場での売却価格が下がっていきます。また、築年数の浅い物件でも、家の中が汚れていたり、塗装がはがれてみすぼらしい見た目になっていたり、メンテナンスされておらず設備が劣化していたりすると、高値で売れません。

そのため、中古不動産売却では、「いかに内覧でよい印象を残すか」「住まいの見た目や健全性をアピールできるか」が重要になってきます。
古家だと修理・補修の必要な箇所も多いですし、経年劣化の度合いも激しいため、メンテナンス費用も高額です。

しかし、古家を解体してしまえば、建物の状態や資産価値に悩まされる必要はありません
高く売れない物件や、買い手の購入意欲を削いでしまうような物件を売る場合は、思い切って家を解体し、更地にしてから売り出すことも考えましょう。

古家を更地にしてから売却する際のデメリットは解体費用の負担など

家屋の解体

古家付き土地を更地にしてから売る場合のデメリットは以下のとおりです。

  1. 古家の解体費用がかかる
  2. 土地の固定資産税が高くなってしまう
  3. 土地によっては解体した古家より狭い家しか建てられない
  4. 解体業者が十分整地してくれない場合がある

順に解説します。

①古家の解体費用がかかる

古家付き土地を更地にするためには、お金を払って専門の業者に解体工事を依頼する必要があります。
解体費用は物件の大きさや重機の搬入のしやすさなどにもよりますが、一般的な木造住宅なら1坪あたり3~5万円程度かかると考えておきましょう。

もちろん、解体費用の支払いは買い手が決まる前です。数十万円ものお金をかけて更地にしても、必ず工事費用を回収できるくらい土地が高く売れるとは限りません。
物件によって更地にしたほうがよいのかが変わってくるため、不動産会社に相談しながら解体工事の依頼を決めましょう。

②土地の固定資産税が高くなってしまう

税法のルール上、更地は「建物がある土地」に比べて固定資産税が高くなります。
日本では、マイホームを持っている人への負担を抑えるために、持ち家が建っている土地の固定資産税を安くしてくれる特例が用意されています。古家を解体して更地にすると、この特例を使えなくなるので、土地の固定資産税が高くなってしまいます。

とくに、広い土地や資産価値の高い土地は、更地にすることで固定資産税負担が跳ね上がる場合があるので、更地にするならできるだけ短期間で売却できるように工夫しましょう

③土地によっては解体した古家より狭い家しか建てられない

土地の条件によっては、法律の関係上、同じ土地でも「建てられる家の広さ」などが変わってきます。代表的な制限のひとつが、「接道義務」です。
日本では、土地に家を建てる際、救急車や消防車が通れる「幅4メートル以上の道路」に接することを義務づけています。接道義務を果たしていない状態だと、新築住宅の建設許可が下りません。
そのため、たとえば土地に面している道路幅が2メートルしかない場合は、敷地を2メートル引き下げるセットバックという手続きが必要になるのです。

上記のルールができる前に建てられた住宅なら、建て替えをしない限りセットバックをする必要はありません。古家を解体して更地にし、新築することで土地の使い方に制限がかかってしまうケースもあるので、更地にするかどうかは慎重に考えましょう。

④解体業者が十分整地してくれない場合がある

更地に家を建てるためには、建物を解体するだけでなく、整地する必要があります。
多くの場合、業者に解体工事を頼めば整地や瓦礫などの撤去までやってくれますが、なかには整地作業を契約内容に入れていない場合もあるため注意が必要です。
整地されていない土地は購入後に手をかける必要があるので、買い手の興味を引くことができません。

解体工事業者を利用する際は、契約書を確認して整地まで込みで依頼しましょう。

参考:長年住んでいない家はそのまま売却するべき?それとも解体して更地にするべき?

更地にすべきかどうかを見極めて解体工事を依頼しよう:まとめ

土地によっては、古家を解体し、更地にしてから売り出したほうが早く・高く売れる場合があります。しかし、解体工事を頼むとお金がかかりますし、工事を待つ時間も必要です。

不動産会社と相談しながら更地にするメリットとデメリットを比較して、更地にしたほうがお得だと判断できれば、古家を取り壊して売却手続きを始めましょう。

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