「再建築不可物件を売却したい」
「そもそも再建築不可物件は売却できるの?」
こんな悩みにお答えします。
建物を一度解体してしまうと、同じ土地に新しい建物を建てられない物件のことを、再建築不可物件といいます。
建て直しができない再建築不可物件は人気がなく、売却は難しいというのが一般的な評価です。
しかし、絶対に売却できない、ということはありません。ポイントを押さえて売却すれば、きちんと買い手を見つけることができます。
今回は、再建築不可物件でも売却できること、売却するためにやるべきことについて詳しく解説します。
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目次
再建築不可物件は売り出し方次第できちんと売却できる
新しく建物を建てる、あるいはその土地に増築することが法律上認められていないのが再建築不可物件です。
ただ、新規に何かを建てることはできなくても、既存の建物をリフォームや修繕したり、新たな利用法へと価値の転換を図ったりすることはできます。
つまり、建て替えまでしなくとも、現在ある建物の価値を再発見することもできるのです。買い手に対してそのような提案ができる物件であれば、再建築不可物件であっても売却の道筋が見えてきます。
その典型例の1つが、古民家を購入し、新たな住まいにするという方法です。最近、古民家ブームがあり、昔ながらの古い家に住んでみたいと考えている都会人・若い世代が増えています。
また、古い民家が立っている再建築不可物件を購入し、リフォームして販売あるいは貸し出そうとする個人・不動産業者も少なからず存在します。
こうしたケースもありますので、再建築不可物件であるという理由だけで売却をあきらめる必要はありません。
既存物件の内容や物件の立地場所の影響も大きいとはいえ、売り方次第では、十分に買い手を見つけることはできるのです。
そもそも再建築不可物件とは?
では、再建築不可物件についてもう少し詳しく解説しましょう。
通常、再建築ができるかどうかの決め手となるのは、建築基準法の基準を満たしているかどうかです。
建築基準法によって、どのような場合に再建築不可物件となるのかが厳密に規定されているので、その内容について細かく紹介していきます。
建築基準法の接道義務を満たしていないと再建築不可となる
建築基準法の第42条では、「道路」に関する厳格なルールを設けていて、その条件を満たさなければ法律上の道路とは認められません。その具体的な規定内容は以下のとおりです。
道路として認められるのは原則として幅員4メートル以上の道
ただし、幅員4メートル以内の道路でも、建築基準法第42条2項において「みなし道路」とみなされる場合は、道路として認められます。
ここでいうみなし道路とは、一般の交通に役立っている道や災害時の避難路、建築物の日照や採光、通風などに役立っている道など、安全・良好な生活環境を確保するうえで重要な役割を果たしている道のことです。
たとえば、畑の横を通っている狭いあぜ道などは、災害発生時などに緊急車両が通ることはできません。そのような緊急時でも役に立つ・利用できるような道が、制度上において道路とみなされるわけです。
そして建築基準法においては、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していない敷地は、原則として建物の建築が認められません。
そのため、道路に1.9メートルだけ接しているような敷地は再建築不可物件とみなされます。もちろん、そもそも道路と接していないような敷地も同様です。
ただ、建物のなかには、現行の建築基準法が施行される前に建てられたものも多いです。それら既存の建物については、生活の場となっているケースも多いことから、取り壊す必要はなく、例外として存続が認められています。
しかし、そのすでにある建物を建て直すことは、建築基準法では認められていません。つまり再建築不可物件となるのです。
この規定は、既存の建物が地震や津波、雪崩といった天災によって倒壊した場合にも適用されます。そのため、もし何らかの災害に見舞われて家が壊れても、立て直しはできないわけです。
再建築不可物件の価格相場は、通常の物件よりもどのくらい低くなるのか
古い建物から新しい建物へと建て替えができないことから、価格相場としては再建築できる物件に比べると割安となります。
再建築不可の物件は、再建築できる物件の5~7割が相場
自由に建物を建築できる土地に比べると、再建築不可物件は大きな制約を持っているのは間違いありません。そのような条件があると、やはり通常の土地よりも価格は大幅に下がってしまいます。
特に問題なのが、災害対策です。昔の建物は、火災や地震に対する対策が不十分なため、再建築不可物件の建物は、建て直しが行われている建物に比べると安全性の水準が低い傾向にあります。大幅な修繕を行ったとしても、一からの建て直しができないため、対策には限界があるのです。
こうした制約、悪条件が大きく影響し、再建築不可物件の価格相場は再建築できる物件の5~7割となっています。
金融機関におけるローンの査定が厳しいことも影響
再建築不可物件は、金融機関が住宅ローンの審査を行う場合、担保価値として低めに評価されるのが一般的です。
やはり銀行側が審査を行う際、建物がもし災害などで倒壊すると再建築できない土地であること、そもそも買い手が少ないことなどが大きく影響してしまいます。
銀行から融資・住宅ローンを受けるための担保に使えない土地となると、市場での評価は下がらざるを得ません。そのことも、再建築不可物件の価格相場の低さにつながっているわけです。
再建築不可物件の売却ポイントを詳しく解説!
再建築不可物件は不利な条件が多く、自由に建物を建てられる物件よりも市場評価はかなり低いです。
しかし、適切な対応策を講じたうえで売りに出せば、比較的高価格で売却できるチャンスがあります。再建築不可物件であっても、高値で売れるように努力を重ねれば、一定の利益をきちんと確保できるでしょう。
再建築不可物件をセットバックにより建て替えできる物件にする
そのままでは再建築不可物件であっても、やり方次第では再建築できる土地へと変えることができます。
たとえば、「幅員4メートル以上の道に接していない」という理由で再建築不可物件となっているケースを考えてみましょう。この場合、もし敷地の前にある道路の幅が4メートル以上であれば、その敷地は再建築可の物件にできます。
このとき、もし敷地全面の道路の幅が4メートル以上になるように、敷地内の建築を行う領域を後退=「セットバック」させれば、その後退した領域に建物を建てることができます。元々の敷地よりも多少狭くなるものの、建築できる土地を確保できるわけです。
セットバック部分は、申請により固定資産税を非課税にもできます。この措置を取ることで、再建できる敷地部分は資産価値の上昇を期待できるでしょう。
参考:セットバックが必要な土地の売却方法とは?知っておきたい注意点を詳しく解説
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再建築不可物件を隣接する土地の購入により建て替えできるようにする
また、隣地を購入し、その隣地と保有している再建築不可物件とを合わせることで、建築可の物件にできる場合もあります。
たとえば、現在保有する物件が、幅員4メートル以上の道路と1.5メートルしか接していないという状況を考えてみましょう。
先に述べたとおり、建築基準法では幅員4メートル以上の道路と2メートル以上接していなければ、建築可能物件と認められません。そのため、このままでは再建不可物件となるわけです。
しかし、その再建不可物件と隣接する物件が、1メートルだけ幅員4メートル以上の道路に接していたとしたら、2つの土地を合わせれば2メートル以上接することができます。この場合、隣地を買い取ることで、全体として再建できる物件に変更できる見込みがあるのです。
セットバックも隣地買い取りも、特定の条件下においてのみ成立する方法ではあります。しかし、もし条件を満たしている土地であれば、対策により資産価値を高め、売却を有利に進めることもできるでしょう。
建築物のリフォームやリノベーションをしておく
再建築不可物件に立つ建築物に、建物本来の機能を回復させるリフォーム、より利用しやすいように建物の機能・価値の向上を図るリノベーションなどをしておくと、元の状態よりも高値で売りやすいです。
制度上、建物の柱や梁といった構造を支える部分を建て替えるとき、行政側に「建築確認申請」が必要です。再建築不可物件では、この申請が認められません。
しかし、建物の構造を支える箇所を残したまま、リフォームやリノベーションをする分には、申請をする必要がないのです。
建物の根幹部分は変えられないので限界はあるものの、リフォームやリノベーションにより、一定の資産価値の上昇は期待できるでしょう。
参考:不動産売却前にリフォームを行うメリット・デメリット【高額リフォームは要注意】
再建築不可物件の仲介に慣れた不動産会社を探す
実際、日本には再建築不可物件は数多くあり、なかにはそのような物件の取り扱いに慣れている不動産業者も存在します。
そうした業者は、再建築不可物件の買い手を見つけるためのノウハウを蓄積していることが多いです。また、再建築不可物件の再生事業を手掛け、多くの実績を上げている業者もいます。
そうした不動産業者であれば、再建築不可物件であっても、売却を有利に進められるかもしれません。とにかく買い手をみつけたいと思い、手探り状態で業者を探していては、買い取り側の業者に足元を見られる恐れもあります。
再建築不可物件を評価し、価値を高める方法を知っている業者の方が、売却時の交渉をしやすいでしょう。
再建築不可物件を売るなら取引実績の多い不動産業者へ依頼しよう:まとめ
再建築不可物件は、資産価格が低くなる傾向はあるものの、売却できない、買い手が見つからない、ということはありません。
確かに、一般的な価格相場としては、再建築できる物件の5~7割程度の価値です。しかし、工夫次第では売却時の交渉をより有利に進めることもできます。
たとえば、セットバックや隣地の買い取り、リフォームやリノベーションの実施、再建築不可物件の取引実績の多い不動産業者を探す、といった対策を施すことで、より高値での売却も期待できるのです。
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