家族信託された不動産の売却方法について3つのポイントで解説

家を渡す

「家族信託した不動産を売りたい」
「家族信託の不動産は受託した人の独断で売却できる?」

 

こんな要望にお応えします。

実際、家族信託された不動産売却についてこのような疑問を持っている人は少なくありません。

そこで今回は、家族信託不動産について基礎的な部分から、売却方法・売却するときの注意点について詳しく解説します。

家族信託された不動産を初めて売却する人や、売却を考えているけど仕組みや何をしたら良いのか曖昧な人は、ぜひ参考にしてください。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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家族信託の定義

相談

まずは「家族信託」の定義を確認しておきましょう。

そもそも信託とは、託したい財産の所有者で管理を任せたい人すなわち「委託者」と、財産管理の委託を引き受ける側の「受託者」が信託契約を結び、特定財産の管理や運用、処分などを委託することを指します。

信託には、大きく分けて2種類あり、「商事信託」と「民事信託」があります。
商事信託とは信託銀行や信託会社などがビジネスとして行うもので、民事信託は、ビジネス目的以外のものを取り扱うことと定義されているです。

ちなみに家族信託は民事信託の中に分類されます。財産管理を引き受ける受託者を「家族」としたものが、家族信託と呼ばれるのです。

信託の話でほぼ必ず聞く受益者とは

信託関係の話になると、ほぼ必ず聞くのが受益者の存在です。受益者とは、言葉のとおり利益を受ける人のことを指します。

受益者になる人は、原則として委託者から信託契約によって受益債権というのを与えられます。受益債権を与えられた受益者は、受託者が管理、処理、運用した財産によって生じた収益を受け取ることができるのです。

家族信託の関係は下の図を参考にして下さい。

家族信託の説明

家族信託された不動産は売却できる?

結論から言うと、可能です。ただし信託契約を結ぶ際、条項の中に「信託不動産の売買」に関する内容が含まれている場合に限られます。

つまり、売買に関する内容が書かれていれば受託者は売主となることができ、一般的な不動産売買のように目的に従って信託不動産を売却できるのです。またこの場合、受託者は買取希望者と直接取引が可能になります。

ただ、信託契約を結ぶ際の条項に「売買」に関する項目が無い場合は、いくら受託者でも不動産を売買できません。受託者に権限がないからです。

詳しくは後述しますが、実は一度結んだ信託契約でも委託者との話し合いのもと、「状況や気持ちが変わったので契約内容を変更させたい」や「やっぱり売却したい」という流れになり、受託者が不動産売買の権利を得るケースもあります。

ただこの変更には、前提として本来の不動産所有者の売却意思確認ができることが必要です。したがって、認知症などが原因ですでに意思判断能力がない場合、信託終了事由が発生するまでは不動産の売買はできません。

ちなみに、信託を解除してしまえば、信託不動産は現物の不動産に戻ります。そのためその後の売買は一般の不動産取引と同様になります。

参考:【認知症と不動産売却】注意すべき4つのポイントを宅建士が解説

家族信託された不動産の売却方法

不動産売却

家族信託によって受け取った不動産を売買する方法は、以下の3つに分かれます。それぞれの方法によって注目すべきポイントが変わるので、確認しておきましょう。

  1. 信託の目的に沿って売却する
  2. 家族信託の終了後に売却する
  3. 信託受益権を売却する

順に解説します。

1. 信託の目的に沿って売却する

1つ目は、信託の目的に沿って売却する方法です。不動産信託の場合、受託者が管理するとき、受託者の意思に基づいて不動産を売買できます。

ただし、先述したようにこの場合は、信託契約書の中に「不動産の売買に関する項目」が含まれておくことが必要です。

書面に項目が含まれていれば、受託者が委託者の代わりに不動産を売却することが可能になり、受益者は不動産の売却代金を受け取れるようになります。

一般の不動産売買との違い

信託契約の目的に沿って持ち家や賃貸マンションを売却するのであれば、一般の不動産売買と比べて大きな違いはありません。

1つ違いを述べるとすれば、売買契約を交わす人が「受託者」か「不動産所有者」かの違いくらいでしょう。ちなみに不動産売買に関わるすべての税金は売却したときの代金で利益を得るであろう受益者が支払うことになります。

2. 家族信託の終了後に売却する

家族信託の終了後に売却する方法を取る主なシチュエーションは、信託契約書に「売却に関する項目」が含まれてないときです。
項目が含まれていない以上は、受託者が委託された不動産を売ることはできないため、委託者が亡くなり、家族信託契約が終了するのを待つしかないのです。

家族信託について理解していない専門家に依頼してしまい、不備のある信託契約になることもあります。よくありがちなのが、「家族信託を締結していれば、受託者にも自由に自宅や賃貸不動産を売却できるだろう」といった勝手な考えのもと確認せずに受託してしまうケースです。

多くの場合、信託の専門家立ち会いのもと契約を結ぶのですが、なかには家族信託に詳しくない専門家に依頼をしてしまって、中途半端な契約書が出来上がってしまうことも少なくないようです。そうした場合によくとられる措置が、前述した信託契約の内容変更です。

たとえば「委託者と受益者の合意によって契約内容を変更できる」と契約書に記されている場合であれば、委託者と受益者相互の意思確認によって信託契約を変えることができます。

この方法を用いて、最初に結んだ契約から内容を変更すれば、受託者の意思で信託不動産を売却できるようになります。

また、契約内容変更ではなく不動産信託の契約自体を解除させることも可能です。ただし解除するためには「委託者が生存している」「判断能力がしっかりしている」といった条件が整っていないといけません。

もし解除できた場合は、受託者が所有していた不動産は委託者のもとへと所有権が戻ります。

3. 信託受益権を売却する

稀なケースになりますが、「信託受益権を売る」という方法もあります。

そもそも売却するのは不動産ではなく受益権なので、一般的な家族信託不動産の売買とは少しニュアンスが異なりますが、信託受益権は、実は現物の不動産と同等の価格で売却できるようになっているのです。

ただ、持ち家や賃貸マンションを売る場合に関しては、第三者に売却するのが一般的です。
もし受益権だけ売買され、家族信託が継続するとなると不都合なことが起きやすいと考えられているからです。

したがって受益権を第三者に売却したあとは、その不動産に関係する家族信託を終了させて登記するのが最もスタンダードな方法といえます。

上述した家族信託の方法とは、手順や登記が複雑になるものの、いずれにしろ「不動産を他の人に売却できる」と考えて良いでしょう。

家族信託された不動産売却の注意点

家と税金

家族信託された不動産を売却するときには、いくつか注意するべき点があります。以下に挙げられているのは、売却に関わる主な注意点なので必ず把握しておきましょう。

1. 信託不動産を売却すると譲渡所得税が課税される

どんなものでも売却をして利益が出ると、必ず税金が課せられます。家族信託された不動産も同様で、売却すると「譲渡信託税」という税金がかかるのです。

譲渡所得税は、家族信託された不動産の所有期間によって税率が異なるという特徴を持っており、それらを「短期譲渡」と「長期譲渡」のいずれかに分類しています。年数の切り替えは譲渡した年の1月1日時点から数えてカウントされます。

信託財産を譲渡した年の1月1日において不動産の所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡」で税率は30%、所有期間が5年以上の場合は「長期譲渡」で15%が課せられるようになっているのです。

2. リスクをしっかりと把握した実績豊富な専門家が少ない

実は、家族信託は比較的新しい概念に位置付けられています。そのため、司法書士や弁護士であっても誰でも適切に対応できる案件ではありません。

また、その新しさから法的にもまだまだ曖昧な論点が見受けられたりするため、個人間で行うのはほぼ不可能、家族信託についてしっかりとリスクを把握した実績豊富な専門家に相談することが不可欠です。

ただし、信託財産にしようとする不動産に抵当権が付いている場合、受託者が銀行から融資を受けたうえで不動産を購入しようとしている場合などは難易度が高く、専門家といえど経験が不足している人では充分な対応をしてもらえない可能性があります。

家族信託を問題なく成功させるためには、家族信託の知識に長けた専門家を選び、依頼することがとても重要といえるでしょう。

家族信託のメリット・デメリットに関する詳しい記事はコチラから

>>不動産の家族信託を組むメリット・デメリットと売却時の注意点

家族信託された不動産の査定方法

家族信託された不動産の売却実績がある不動産会社に査定を依頼しましょう。

ただ、家族信託の不動産に関してしっかりとした知識がある不動産会社かを見極めるのは不可能です。以下の不動産一括査定サイトを積極的に利用して信頼できる不動産会社に依頼しましょう。

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家族信託の不動産を売却するならまずは信託契約書の内容を確認:まとめ

家族信託によって得た不動産を売買するためには、まず契約の段階で「売買に関する項目」が含まれているか、もしくは「契約内容の変更の可否」に関する内容が含まれているかを必ず確認することが大切です。

もしそれらが契約書に書かれていないと、売却するのに手間がかかるか、そもそも売却自体ができない可能性があります。

これから信託契約を結ぶ人はもちろん、もうすでに契約を結んでいる人も最初に信託契約書を見てみましょう。

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