不動産売却で必要な権利証ってなに?宅建士が4つのポイントで解説

不動産権利証

「不動産売却で必要な権利証ってなに?」
「権利証を失くしたら不動産売却できない?」

 

こんな疑問にお答えします。

不動産売却の際に必要な「権利証」。
簡単に言うと、「権利証」とは不動産を所有しているという証。もちろん不動産を売却するにあたってとても重要な書類です。

今回はこの「権利証」について、そして紛失してしまった場合の対処法を詳しく説明します。

記事の信頼性

監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太

不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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不動産売却で必要な「権利証」とは

土地や建物の権利証は、その不動産の権利を登記したときに登記所(法務局)から交付される登記済証のことを指しています。

書面に記載されている不動産に関して所有権があることを示す書類として利用されてきました。この書類があると不動産の売却をしたり、抵当に入れてローンを組んだりすることができます

昔のテレビドラマや映画などでは、借金のカタに権利証を奪われる、というシーンもありました。その中では、権利証を取られてしまうと家も取られてしまうような表現でした。
今もそのようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、権利証はあくまで登記が行われたことを示しているものであって、書類を所有していることによって不動産の所有権が与えられるというわけではありません
登記簿に記載されている内容が最優先で権利が定められています。

権利を持っているかどうかを示すために登記簿を参照しているのでは手間がかかるため、便宜的に土地の権利証があれば権利の保持者であると判断されるようになっているのです。

権利証の今と昔

不動産を所有している人なら必ず持っている権利書。実は平成17年に法律が変わり、昔のタイプと現在のタイプの2種類があります。

現在では不動産登記法の改正によって権利証制度が廃止されて基本的にはオンラインで情報が管理されるようになっています。

権利証が新規に交付されることはなく、登記識別情報に切り替えられて数字とアルファベットの組み合わせで各々の不動産に付された情報により権利の証明ができるようになりました。

権利証を紛失してしまったら

権利証紛失
この切り替えが開始されたのが平成17年のことで、それ以前の物件については未だに登記済証が利用されているのが現状です。

このような権利を示すことができる書類を紛失してしまったときには再発行は行われないのが原則になっています。

そのため、権利証を紛失したときに不動産の売却や抵当権の設定などを行いたい場合には別の書類で権利を示さなければならないというのが一般的でした。

実際にその権利を示す手段として、保証書を手に入れる必要がありました。
保証書とは、同じ法務局の管轄内に登記されている不動産を持っている人が、登記義務者(権利証を紛失した人)が当該不動産の所有者で間違いないということを保証するという書面です。

その書面を用意するのは法的手続きが必要になり、手間も時間もかかることから紛失しないように大切に保管しておくことが大変重要でした。

しかし、登記識別情報への切り替えと共に制度が改正されて、権利証を紛失してしまっても以下の方法で証明できるようになっています。

  • 権利を示す書類がないことを事前に通知する
  • 司法書士などの資格者代理人による本人確認情報の提供を依頼する
  • 公証人に依頼して認証してもらう

順に解説していきます。

権利を示す書類がないことを事前に通知する

事前通知とは、本人確認のために法務局が郵送で問い合わせを行うこと。
不動産売却の際の登記申請において権利証を提示できないこと(権利証を紛失した等)を説明すると、法務局から登記名義人の住所へ事前通知が届きます。

この通知は「本人限定受取郵便」が利用されること、「実印を押印」する必要があるので、本人確認が可能となっています。
事前通知が発送されてから2週間以内に申し出をすることで、登記名義人であることを確認してもらえます。

住所変更登記していない場合は、事前通知が届きません。(転送不可のため)
権利証を紛失して住所変更登記していない場合は、事前通知を受けるために住民票などの書類をそろえなければなりません。
引越したら必ず住所変更登記をしましょう。

参考:【不動産売却の基礎知識】住民票を移すタイミングと住所変更登記について

司法書士などの資格者代理人による本人確認情報の提供を依頼する

資格代理人による本人確認情報の提供とは司法書士などの資格者代理人に本人確認情報を提出してもらう制度で、もっとも多く使われている手段です。

司法書士や土地家屋調査士などの有資格者に本人確認を行ってもらうことで登記名義人であることが証明されます。
この場合、代理人への手数料が数万円かかります。

公証人に依頼して認証してもらう

上記の資格者代理人ではなく、公証役場で公証人に本人確認をしてもらうという方法もあります。
司法書士に対する登記申請の委任状に署名・捺印し、認証文を公証人に付けてもらいます。

その委任状を登記申請書に添付すれば権利証の代わりになるという制度です。

手数料は数千円程度ですみますが、公証役場へ行かなければならないせいか、なかなかこの制度は使われていないのが現実です。

権利証を紛失してしまったら悪用されるの?

権利証の悪用

紛失してしまったときには悪用されるのではないかという懸念があります。
このような書類を持っていれば、不当な方法で登記変更を行ってしまい、所有者を変えられてしまう可能性があります。

しかし、基本的にはこれらの書類は他人に対して所有権を主張するための証拠書類として利用できるものでしかありません。

他の人に不動産の所有権を主張されて立ち退いたり放棄したりしなければならないと考えがちですが、実際にはあくまで所有権を主張するための書類であって、所有権があることを証明している証拠書類ではありません。

そのため、登記変更が行われてしまったとしてもそれが悪用されたことによるものであって無効だということを証明できれば問題がないのです。

通常は弁護士を雇って裁判に持ち込むことになってしまうことになるので、費用も時間も無駄にかかってしまいます。

そのため、紛失しないに越したことはありませんが、いざ悪用されて困ってしまったときにも対策を立てられることは覚えておきましょう。

また、不正登記防止を申し出ることも可能です。これは申し出をしてから不動産に関する登記があったときに通知を受け取ることができる制度です。

これを利用すれば紛失してしまったときに悪用されてもすぐに気づくことができるため、速やかに対策を立てることができます。

所有権の移転などの手続きには、権利証の他にも実印や印鑑証明といったものが必要になるので、権利証を所持しているだけではそれらの手続きはできません。
万一、紛失が明らかになった場合でも慌てず、不動産会社や司法書士に相談するなどしましょう。

参考:【不動産売却に必要な書類まとめ】入手・再発行の方法もご紹介

不動産の権利証は大事に保管すること:まとめ

権利証(登記済証・登記識別情報)は、不動産売却時の所有権移転をするときに必要になる書類です。手元にあるかどうか確認しておきましょう。

もし、紛失してしまったというときにも慌てずに対処してください。権利証だけで登記ができてしまうものではありません。
不正登記防止申出の制度等を利用する、司法書士の先生に相談するなどして、確実に進めて安心できる状況にしましょう。

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