【未成年者の不動産売却】2つの売却方法と注意点を徹底解説

未成年者が不動産を売却する方法はある?」
「法定代理人や未成年後見人ってなに?」

 

こんな疑問にお答えします。

未成年者でも不動産の売却は可能です。ただし、成人と同じ手順で売却することはできません。正しい手順で売却しなかった場合は、契約が取消しになることもあるので注意が必要です。

そこで今回は、未成年者が不動産を売却する方法や、売却時の注意点などについて、詳しく解説していきます。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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未成年者の不動産売却には法定代理人が必要

未成年者でも不動産を売却できますが、法定代理人の同意が必要です。この場合の法定代理人は親権者、つまり「両親」になります。未成年者だけでの売却はできません。
ただし、結婚している場合は「成年」として扱われるため、法定代理人は不要です。

なお、現行の民法では未成年者を「20歳未満」と定義していますが、改正民法が施行された2022年4月1日以降は「18歳未満」が未成年とされます。

法定代理人がいない場合

離婚や死亡などによって親権者がひとりの場合は、法定代理人もひとりで構いません。両親ともにいない場合は、親族などから家庭裁判所が選任した「未成年後見人」が法定代理人となります。

ただし、資産が高額な場合や、親族間で財産の扱いに関する意見が異なるときは、弁護士や司法書士が未成年後見人になることもあります。

代理人と法定代理人の違い

代理人と法定代理人の役割は全く異なるので、混同しないように確認しておきましょう。

・代理人

未成年者が作成した「委任状」に基づいて各種手続きを行います。委任状の内容を超えた手続きをすることはできません。

・法定代理人

「法定代理人の意思は未成年者の意思」とみなされます。そのため、法定代理人単独での不動産売却も可能です。

参考:代理でも不動産売却できるの?宅建士が5つのポイントで徹底解説

未成年者が不動産の売却をする方法

未成年者が不動産を売却する方法は2種類あります。どちらを選ぶかによって「売主」が変わるため、違いを理解したうえで最適な売却方法を選択しましょう。

未成年者本人が売主になる

未成年者本人が「売主」となる方法です。親権者は「法定代理人」になります。未成年者の売却に法定代理人が同意するという形です。取引の主体はあくまでも未成年者本人となります。

法定代理人が売主になる

法定代理人が売主になる方法です。契約書には法定代理人だけが署名捺印をします。取引の主体は法定代理人となるため、未成年者本人の署名捺印は不要です。

未成年者と共有名義の不動産売却方法

たとえ共有名義であったとしても、未成年者が単独で売却することはできません。共有持分を売却する場合にも、法定代理人の承諾が必要です。

未成年者が不動産売却をするときの注意点

未成年者の不動産売却には、成年とは異なる注意点があります。予期せぬトラブルを防ぐためにも、事前にしっかりと確認しておきましょう。

親権者の同意がない契約は取消し可能

未成年者が親権者の同意なく契約を交わした場合は、その契約を取り消すことができます。契約が取り消された場合は代金を買主に返却します。

ただし、返却義務が生じるのは「現存利益のみ」です。未成年者が代金を使いこんでいたときには、残っている金額しか返却されません。

売買契約後の取消しができないこともある

以下のようなケースでは、売買契約後の取消しができません。どれも稀な事例ですが、不要なトラブルを防ぐためにもチェックしておきましょう。

1.売買を許可されている未成年者との取引

宅地建物取引士の資格などを所持している未成年者は、成年と同様に扱われます。単独での不動産売却も可能です。ただし、自宅を売却する場合には、法定代理人の同意が必要になります。

2.年齢や親権者の署名捺印を偽造した場合

未成年者が売買契約書に虚偽の記載をした場合は、契約の取消しが認められません。「騙したのだから取消せるのでは?」と思うかもしれませんが、取消すことはできないので注意しましょう。
ただし、買主側が未成年者であることを知っていたときは、取消すことができます。

3.代金支払い時に成年に達していたとき

契約時に未成年であったとしても、代金を支払うときに成年に達していれば、売買の取消しは認められません。

追認があれば契約確定

未成年者が勝手に不動産を売却した場合、買主は法定代理人に「売却を取消すのか、認めるのか」を申し入れることができます。

この申し入れに対して、法定代理人が「追認」をすれば、契約が取り消されることはありません。また、期限までに回答がなかった場合も「売却に同意した」とみなされて契約が確定します。

親に不動産を売却する場合は扱いが異なる

買主が親の場合は、利益が相反して法定代理人としての役割を果たせなくなってしまいます。これを防ぐために、売却相手が親の場合は、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求します。特別代理人は法的な資格がないので、親族から選出されるのが一般的です。

なお、親と未成年者が共同で売却するときや、親子間で贈与する場合は利益相反取引とはみなされないため、特別代理人の選定は不要です。

未成年者の不動産売却に必要な書類

未成年者が不動産を売却する際に必要となる書類は、下記となります。公的書類は、発行から3ヶ月以内のものを準備してください。

1.実印

未成年者でも実印は必要です。事前に役所で登録をしておきましょう。

2.印鑑証明書

印鑑登録を済ませて証明書を取得します。マイナンバーカードがあればコンビニでの交付に対応している自治体もあります。

3.本人確認書類

健康保険証やマイナンバーカードなどを用意しましょう。

4.登録識別情報(登録済権利証)

一般的に「権利書」と呼ばれる書類です。再発行はできないので、紛失した場合は司法書士などに相談してみましょう。

5.住民票

登記上の住所と現住所が異なる場合には、住民票が必要となります。こちらも、マイナンバーカードがあればコンビニでの交付に対応している自治体もあります。

6.固定資産評価証明書

不動産が所在する役所で取得することができます。

7.固定資産税、都市計画税納税通知書

基本的には毎年4~6月に送付されるので失くさないようにしましょう。

8.土地測量図、建物図面など

最寄りの法務局で取得できます。オンラインでの取得も可能です。

9.建築確認済証・検査済証

新築時に発行された書類です。

10.収入印紙

契約書の部数と同数の収入印紙が必要になるので、事前に確認しておきましよう。

11.法定代理人の戸籍謄本

離婚や死亡などによって親がどちらかひとりの場合は、除籍や親権が記載されている戸籍謄本を用意します。

12.法定代理人の同意書

法定代理人が売主となる場合は不要です。

未成年者でも正しい手続きをすれば不動産を売却できる:まとめ

今回は、未成年者の不動産売却について詳しく解説しました。

未成年者でも不動産を売却できますが、法定代理人や未成年後見人などの選定が必要になります。誤った知識で売買契約を交わすと、思わぬトラブルにつながる恐れもあります。

売主や取引の流れ、契約の取消しに関する決めごとも一般の売買とは異なるので、事前にしっかりと確認しておきましょう。

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