相続不動産は放棄できる!?相続放棄について3つのポイントで解説

相続放棄

「不動産の相続放棄はできる?」
「そもそも相続放棄ってなに?」

 

こんな疑問にお答えします。

相続ブームと言われる昨今、「相続放棄」という言葉をよく耳にするようになりました。

相続が発生した際、相続財産よりも借金などの負債の額が多い場合、相続を放棄することができます

その場合、財産のみを相続して負債を放棄することはできません。では、預貯金等の財産ではなく、不動産を相続することになった場合、相続放棄はできるのでしょうか。

今回は実家を相続放棄する方法や、相続放棄後の空き家管理の問題について宅建士が詳しく解説します。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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不動産の相続放棄はできるが、所有権の放棄はできない

結論から言うと、相続した不動産の相続放棄は可能です。

ただし、「預貯金等の財産は相続するが、不動産は相続放棄する」ことはできません。すべてを相続するか、相続放棄するかの選択となります。

もし、相続人となる方全員が不動産の相続放棄を行うと、不動産を所有する方がいなくなります。その場合、民法第239条の2「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」の定めにより、国のものになります。

しかし、所有権は変わらず相続した方に属することになります。相続放棄は可能でも、所有権の放棄まではできないのです。

相続放棄をした場合、固定資産税の納付義務はなくなりますが、その不動産の管理義務は所有者に課せられることになります。

民法第240条で「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」と定められています。

別の誰かがその不動産の管理を始めるまでは、相続人が管理をしなければならないということです。

実家が田舎にあり資産価値がなければ、相続放棄が有効な手段です。ただし、相続放棄しても空き家の管理義務が残る場合があり、空き家問題のすべてを解決できるとは限らないので注意が必要です。

不動産の相続人全員が相続放棄をする必要がある

相続には、優先順位があります。被相続人の配偶者は第一相続人となります。

配偶者が相続放棄を行った場合、次の優先順位は子に、子が既に死亡している場合は孫に継承されます。子の次は被相続人の両親や祖父母、最後に兄弟姉妹となります。
この順番で相続放棄を行い、全員が相続放棄をすることで不動産の相続放棄が完了します。

相続放棄をしなかった人がいた場合、不動産はその人が相続されたことになります。所有権、管理責任、その他すべての権利と義務をその人が引き継ぐことになります。

相続放棄の期限は3ヶ月

相続放棄をする場合は、3カ月の期間内に家庭裁判所に申述書を提出しないといけません。

3ヶ月の起算日は、「被相続人が亡くなったのを知った日」あるいは「自分が相続人であることを知った日」です。

近親者であれば、被相続人が亡くなり自分が相続人であることは明白でしょう。

相続放棄をすると、別の相続人に相続権が移行します。相続権を持つ全ての相続人が相続放棄すると、その財産は国に帰属することとなります。

相続放棄の機嫌

「国が管理してくれるなら、空き家になる実家も面倒なことにならずに済む」と相続放棄をしてしまおうと考える方もいるかもしれません。

確かに相続放棄をすれば、相続税を支払う必要もありませんし、空き家になる実家の固定資産税も納める必要もありません。

しかし、空き家に関しては相続放棄をしても「管理責任」が発生します。

空き家の管理責任とは

空き家の管理責任とは、「相続放棄しても、その財産を引き取る人が現れるまでは責任を持って管理しないといけません」ということです。

これは民法で定められており(民法940条1項)、新たな所有者が現れるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもってその財産の管理を継続して行わなければならない、とされています。

さらに、平成27年に「空家等対策特別措置法」が施行され、空き家に対しての管理責任が以前より厳しくなっています。

空き家を管理する義務はもちろん所有者にありますが、民法940条では相続放棄をして所有者でない立場であっても、次の所有者が見つかるまでは、所有者と同等の管理責任があります。

従って、建物が古くなって倒壊の恐れがある、敷地内の雑草や木が生い茂って隣家や道路にはみだしている、不法投棄の場所になってしまっている等、問題に対しては、きちんと対処する必要があります。

この管理責任を守らないと、「空家等対策特別措置法」により、行政から指導を受けることになります。

空き家法そして、この行政からの指導や命令はもちろん、損害賠償請求のリスクもあります。

空き家を放置したままにして、建物が倒壊したり、庭木が折れてけが人が出た場合、治療費を請求されたり、死亡事故になれば億単位の金額を請求される可能性もあります。

管理責任がある限り、清掃や修繕などにはずっと終わりはないということです。

参考:空き家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)って何?分かりやすく解説します!

完全に空き家を手放す方法

では、相続した空き家の管理責任を免れ、完全に手放すにはどうしたら良いのでしょうか。

方法としては、主に以下の3つです。

  1. 「相続財産管理人」の選任で管理義務を免除してもらう
  2. 相続して不動産を売却する
  3. 寄付をして所有権を移転する

順に解説します。

①「相続財産管理人」の選任で管理義務を免除してもらう

財産管理人の選任

相続放棄をしても、不動産の名義は自分となり、注意義務や管理義務が発生します。しかし、管理する義務が課せられても管理ができないケースは多々あります。

東京に住んでいる方が、遠方にある地方の実家の不動産を相続し、相続放棄をした後管理責任を義務付けられても十分な管理ができるものではありません。

実家近くの不動産管理業者等に管理を委託すれば、その費用がかかります。固定資産税が免除されても、また別の費用が必要になります。

不要な不動産の管理のために費用をかけたくはないですよね。
その場合、不動産の所有者となった相続人は、相続財産管理人を選任してもらうよう裁判所に申し立てを行うことで相続財産の管理責任から免れることができます

ただし、相続財産管理人の選任には、数十万円から100万円ほどの予納金など高額な費用がかかります。
また、相続財産管理人の報酬を支払い続ける義務が生じるため、管理会社に委託をする方法とさほど変わらないか、かえって割高になることもあります。

②相続して不動産を売却する

相続放棄をせずに、そのまま相続して、自分で売却先を探す方法もあります。

相続放棄をして、その不動産が国の所有になった場合、自由に売却することができなくなります。注意・管理義務のみを課せられるのです。

相続しても相続放棄をしても、いずれにしても管理の義務があるのなら、いっそのこと相続してしまい、売却先を探す方法も選択肢のひとつです。

相続放棄は、相続の事実を知った日から3カ月以内であれば手続ができます。

さらに、その期間を延長してもらうこともできます。「相続する資産と負債の全容を調査することに時間がかかるため、さらに日数が必要となる」といった申立を家庭裁判所に行うことで、「熟慮期間の延長」を認めてもらうことができます。

相続するか相続放棄をするかを決定していないその期間内に売却先を探し、契約をすることで、相続した不動産を手放すことができます。

ただし、その不動産が資産価値のない山奥の荒れ地などであれば、買い手がつかないこともあります。いずれにしても、不動産の売却は個人で簡単にできるものではないので、不動産仲介会社に査定を含めた処分方法の相談をすることが必要でしょう。

また、仲介ではなく、不動産の買取を行っている会社に売却してしまう方法もあります。
この場合、仲介の売却よりも安く買い取られる可能性もありますが、早い処分を考えるのであれば買取に出すことも有効です。

ただ、あまりにも資産価値のない不動産の場合は、買取を断られることもあります。

参考:不動産売却における【買取】と【仲介】3つのポイントで徹底解説!

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③寄付をして所有権を移転する

売却が困難であれば、無償で寄付をして所有権を移転する方法も考えてみましょう。
しかし、寄付の申し出をしても、必ず受け入れられるとは限らないと考えておきましょう。「タダでもいらない」「もらっても使いみちがない」と断られるケースもあります。

自治体に寄付する

まず、その不動産の属する自治体に寄付を申し出てみましょう。

ただし、寄付が受け入れられる可能性は低いと言わざるをえません。その不動産を公益のために使用できると判断されなければ、寄付は受け入れられないと考えておきましょう。

ふるさと納税制度のように、現金の寄付であれば財源として直接活用することができますが、使いみちのない不動産を寄付されたところで、管理に費用がかかるだけで自治体側にメリットがありません。そのため、不動産の寄付は簡単に受け入れられるものではないのです。

それでも、だめもとで申し出てみましょう。

隣地の所有者に寄付する

相続した不動産に隣接する土地の所有者に寄付をする方法もあります。自分の所有地が広くなることで何かとメリットが生じることになるでしょう。必ず寄付を受けてもらえるとは限りませんが、申し出をする価値はあります。

気を付けるべきことは、寄付という名目での譲渡であっても、贈与税の課税対象となることです。
贈与税には110万円の基礎控除があるため、寄付する不動産の評価額が110万円以下である場合は、非課税となります。
110万円を超える場合でも、売却が困難で、寄付するしか処分方法がないような不動産に高い評価額がつくとは考えられませんので、税額はさほど高いものにはならないでしょう。

所有権を移転する登記費用は別にかかってきます。原則として、新たにその不動産の所有者となる側が登記費用を払うことが慣習となっていますが、場合によっては費用を折半にするなどの譲歩が必要になるかもしれません。

その個人間の寄付であっても、必ず「贈与契約書」を作成しておきましょう。契約書をとりかわすことが、後々のトラブル回避につながることも多くあります。

公益法人に寄付する

公益法人に不動産を寄付する方法もあります。
社団法人、財団法人、NPO法人、寺社などの宗教法人、学校法人など、公益性の高い非営利団体がこれにあたります。

公益法人側が寄付の受け入れに応じた場合、その寄付は、税制上の優遇措置を受けることができます。
営利法人への寄付であれば、寄付をした側に譲渡所得税が課せられることがありますが、公益法人への寄付なら非課税となります。
これは、教育・文化・福祉活動に貢献する公益性の高い行為とみなされるためです。

ただ、その優遇を受けるためには税務署の承認を受ける必要があり、手続きに少し手間がかかります。

相続放棄は問題がたくさんある

相続放棄とはいっても、空き家の相続放棄はそんなに簡単ではないということがおわかりいただけたでしょうか。

  • 管理しきれないので費用がかかっても相続財産管理人に任せたい
  • 売れる見込みがほとんどない地域である
  • 預貯金などのプラスの相続財産がない

という場合には、相続放棄を選択肢に入れても良いでしょう。

しかし、相続放棄をするとしても以下のリスクがあることを頭に入れておきましょう。

  • 相続人全員が相続放棄をしても管理責任からは逃れられない
  • 空き家が古いので価値はないと思っていたら、土地には売却できる価値があった
  • 相続財産管理人の選出に関する費用(予納金や報酬等)がかかる

1人で悩まず相続人全員で話し合って不動産会社に相談!:まとめ

どのような方法をとるかは、相続人全員で話し合いをして、不動産仲介会社に相談することが有効です。
その不動産にどれだけの価値があるのか、そして、どのような方法をとれば最善策となるのかについて相談してみましょう。

相続は突然起こることもあり、どう対処していいのかわからないことも多々あります。弁護士や税理士だけでなく、不動産に関しては不動産のプロに相談して解決の糸口を探りましょう。

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