「マンションの売却理由は教えたほうがいいの?」
「マンション売却の理由を教えるメリットは?」
こんな疑問にお答えします。
結論、マンション売却では、物件の売却理由を隠さず正直に伝えたほうが良いです。
たしかに、「個人的な事情だからむやみに他人へ教えたくない」「ネガティブな売却理由を伝えた結果、売却価格が下がったり売れ残ったりすると困る」といった考えを持ってしまうのも当然のことでしょう。
しかし、不動産売却は一般的な取引に比べて動かす金額が大きい特殊なイベント。決して軽い気持ちで決断できる買い物ではないため、買主側は基本的に「どうしてマンションを売ることにしたのか」を聞いてきますし、購入するかどうかを判断する材料として使います。
告知義務に該当する事情については、書面にしたうえで事前説明する必要もあり、場合によってはトラブルの原因にもなるので、マンションを売るなら売却理由の扱い方を知っておきましょう。
今回は、マンションの売却理由を伝えるべき理由と売却理由に合わせた答え方を解説します。
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目次
マンションの売却理由はごまかさずに伝えたほうが良い

原則として、マンションの売却理由はごまかすことなく伝えるべきです。
理由は簡単で、多くの場合マンションを買う人は、売却を本格的に検討する段階で「なぜマンションを売ることになったのか」を聞いてくるため。
交渉相手から質問を投げかけられたとき、相手を納得させられるような答えを出せるかどうかで、マンション売却の成功が左右されることも少なくありません。
売却理由を明かすことで買主を安心させられる
マンションの売却理由を伝えるべき理由のひとつが、買主を安心させられることです。
マンションのような高額な資産は、思いつきで購入できるものではありません。とくに、中古のマンションを狙う層は、経年劣化を考えて「物件に何か問題点がないか」を非常に気にします。
高い買い物だけあって、買ってから後悔したくないと考える人が多いからこそ、買主は不安要素を消すために売却理由を質問してくるのです。
「もしかして、何か深刻な問題があるのでは?」という不安からくる質問に答えられないと、買主は物件に対する不安や疑念を深めてしまいます。
「誠実に対応してくれない売主だ」というイメージは、本格的な売却交渉を進めるうえで大きな足かせです。
また、たとえ自分がマンションの売却理由を答えなかったとしても、市場の中には平然と売却理由を答えられる売主がいるという点にも注意が必要です。
立地や間取り、価格帯が似ている複数の物件があったとき、内覧で売却理由をごまかす売主と売却理由をはっきりと伝えてくれる売主がいれば、売却理由の分かるマンションのほうが早く売れるでしょう。
マンションの価格は大部分が立地によって決まるので、価格や間取りといったスペック面で差別化を図るのは難しいです。
ライバル物件との競争に勝ち、より早くより高くマンションを売るためにも、売却理由は伝えましょう。
ポジティブな売却理由は売却のさまたげにならない
マンションの買主側は、基本的に「物件に未知の問題がない」ことを確認したいと考えています。
そのため、転勤や転職、家族構成の変化による売却といったポジティブな理由は、いくら伝えてもマンション売却のさまたげにはなりません。
むしろ、「後ろ暗い事情がないなら大丈夫そうだ」と信用してくれるケースもあるので、前向きな理由で物件を手放す場合は積極的に理由を答えましょう。
売却理由を隠すことで不動産トラブルになるケースも
マンションの売却理由について、できるだけ包み隠さず伝えてほしい理由のひとつが、トラブル予防です。不動産売却は、取引金額が大きいぶん取引前後にトラブルになってしまうケースが少なくありません。
とくに、「事故物件である」といった、住まいの品質や暮らしやすさを左右する情報を黙ったまま売却すると、売買契約の撤回を求められたり、最悪の場合損害賠償を請求されたりすることもありえます。
一度トラブルが起きてから、事態を収拾するのは大変です。多くの場合、売却理由を伝えたほうが売主も安心して取引できます。
事故物件や法律上の制限など!必ず説明すべき売却理由

不動産売却手続きでは、売主は買主に対して自身の知っている物件情報をできるだけ誠実に伝えるのが原則です。
- 雨漏りやシロアリ被害といったマンションの物理的な損傷
- 事故や事件によって事故物件になっていること
- 法的な制限があって建て替え等ができない
上記のような売却理由は、買主がマンションを購入するかどうかを考える際、非常に大きな問題になるため、伝えたくなくても口頭と書面で必ず伝えるようにしましょう。
雨漏りや破損など物理的にマンションの設備が壊れている
雨漏りや床の腐食、水回りの故障にシロアリ被害など、物理的な損傷がある場合、程度によってはマンションそのものに住めなくなっている可能性があります。
通常利用に補修が必要な状態のマンションは、当然問題のない物件よりも資産価値や住宅としての需要が低いです。
多くの場合、物理的な損傷は内覧時のチェックで分かりますが、だからといって情報共有せずに売っても問題がないということにはなりません。
売却するマンションに関する説明責任は、あくまでも物件を売りたい売主側にあるので、誠実な取引不動産売却ができるように前もって説明することをおすすめします。
参考:不動産売却時の「瑕疵担保責任(契約不適合責任)」について3つのポイントで解説
マンション内で人が亡くなっている
いわゆる事故物件に当たるマンションも、その事実を売買契約の締結前に伝えましょう。
ご高齢のご家族が自宅で亡くなった、賃貸に出していた物件で老衰や自殺者が出た、または殺人事件の現場になったといった事故・事件は、十分にマンションの購入をためらわせる要因になります。
また、近くに反社会的勢力の事務所がある場合も、事故物件と同じ扱いです。
参考:不動産売却のトラブル【事故物件の告知義務編】事例から学ぼう!
高さ制限をはじめとした建築上の制限がある
日本では、法律や条例によって、土地ごとに建物を建てられる高さや広さ等が制限されています。
どちらかといえば一戸建ての建て替えや住み替え時に問題になる要素ですが、建築上の制限がある場合、マンション売却でもしっかりと伝えておきましょう。
法的な制限を持ったマンションは、老朽化していても元の仕様で建て替えができないといったリスクを抱えています。
説明なしで「安く買ったマンションをリフォームしようと思ったが、老朽化で建物を解体することになった」といった状況になれば、高確率でトラブルになってしまうでしょう。
ご近所トラブルがある場合は伝えておいたほうが良い
素行等に問題のある住民がいたり、近隣住民が騒音トラブルを起こしていたりする場合も、事前に説明しておくことをおすすめします。
車や電車の音がうるさい、ゴミ屋敷があるといったご近所トラブルは、ときに刑事事件にも発展してしまう問題のひとつです。
「黙っていれば分からないだろう」「内覧の数時間なら問題に気づかないだろう」という気持ちで売却理由を黙っていると、結局は売主が損をすることになってしまいます。
参考:騒音に耐えられない!マンション売却時の告知義務について徹底解説
転職・離婚・ご近所トラブルなど!良くある売却理由とその伝え方

マンションの売却理由は、転職や離婚、ご近所トラブルなど様々です。
ポジティブな売却理由ならとくに悩むことなく買主へ伝えられますが、ネガティブな売却理由はできるだけ相手の不安を軽減できるように伝え方を工夫する必要があります。
ここからは、マンション売却理由に合わせた情報の伝え方を押さえていきましょう。
転職・転勤等で住む場所が変わった
転職や転勤といった仕事の事情でマンションを売却する場合、そのまま事実を伝えましょう。
転職・転勤によるマンション売却は、けっしてネガティブなものではありません。買主側から見れば、リスクの少ない売却理由に見えるので、事実を説明すれば十分です。
離婚したため住む予定がなくなった
離婚に合わせたマンション売却は、デリケートな事情なのであまり公開したくないと思う方もいるでしょう。
物件の価値に悪影響はありませんが、事実を伝えた方が良いです。最新の総務省の統計によると、3組に1組が離婚すると言われている時代です。離婚による不動産売却は珍しいことではありません。
ただ、縁起をかつぐ方には敬遠される可能性があるので頭に入れておきましょう。
子どもの独立や高齢化で住み替えることにした
子どもが増えたのでもっと広いマンションへ引っ越すことにした、子どもが巣立って部屋が余っているため、老後に備えて住み替えることにしたといった場合も、事実を説明しましょう。
築年数や経年劣化の問題で売却価格が下がることもありますが、住み替えによるマンション売却には、とくにマイナスの印象がありません。
相続したマンションを売る
「親族から相続した不動産を使う予定がないので売る」というケースでも、ごまかさずに売却理由を説明することをおすすめします。
相続税の納税期限は、相続開始から10ヶ月です。
相続税を納める資金を得るためにマンション売却をする場合、短期間で買主を見つける必要があるため、開示できる情報は余すところなく伝えましょう。
事故物件になってしまった
事故や事件の影響で事故物件になった物件から離れたい場合、事実と対策をセットで伝えることが大切です。「人が亡くなった」という情報だけだと、買主は不安を覚えます。
「人が亡くなったものの老衰であり事件性はない。ハウスクリーニングも完了しているため内装は新しい」といった対策を打っているという事実を示したほうが、相手の安心感を引き出せるでしょう。
また、売主の知りうる事故情報やご近所トラブルを、あらかじめ仲介の不動産会社に伝えておくのもポイントです。
内覧で直接質問されることはありますが、前もって不動産会社と情報共有しておけば、説明を不動産会社に任せることができます。伝えづらい売却理由は、第三者経由で知ってもらうと良いでしょう。
売却理由を正直に伝えてより良い買主を見つけよう:まとめ
マンション売却において、「売却理由」は買主の決断を大きく左右します。
基本的に、「伝えられたはずの情報を売主が黙っていた」ことが後日買主に伝わると、トラブルに発展する可能性が高いです。
ネガティブな情報は第三者経由で伝える、口頭・書面という複数の手段で説明するといった伝え方を使って、不動産売却を成功させましょう。
ただし、不動産売却手続きを進めるためには、不動産会社の協力が必要不可欠です。
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