「マンション売却時には、騒音トラブルの告知義務がある?」
「マンションの騒音を隠して売却したら違法?」
こんな悩みにお答えします。
マンションを売却する際に騒音の告知義務はありません。しかし、騒音は生活環境に大きな影響を及ぼし、不快感やストレスの原因になります。
場合によっては買主から「契約不適合責任」を問われ、損害賠償を請求される恐れもあるので注意が必要です。
そこで今回は、騒音マンションをスムーズに売却する方法や、トラブルを回避するためのポイントなどを詳しく解説します。
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目次
騒音マンションの売却時には告知義務がある?
売却する不動産に不具合・欠陥などの「瑕疵(かし)」がある場合は告知義務があります。ただし、下記表の通り瑕疵の種類によって告知の義務は異なります。
瑕疵の種類 | 告知義務 | 例 |
物理的瑕疵 | あり | 雨漏り、シロアリ被害など |
心理的瑕疵 | あり | 自殺、他殺、事故死など |
環境的瑕疵 | なし | 騒音、日照問題など |
マンションの騒音は「環境的瑕疵」に該当するため、告知義務はありません。しかし、買手にとって騒音は大きな問題です。
マンション購入後に騒音が発覚すると、買主から「契約不適合責任」を問われる恐れもあるので注意しましょう。
契約不適合責任とは
契約不適合責任とは、「物件の品質と契約内容が適合しない場合」に売主が負う責任です。
契約不適合責任が生じると、買主から下記のような請求をされる可能性があります。
- 契約の解除
- 損害賠償請求
- 代金減額請求
- 追完請求
買主が請求できる期限は「契約不適合を知ってから1年以内」です。
騒音マンションを売却するなら事前告知が無難
契約解除や損害賠償請求などを避けるためにも、騒音マンションを売却する際には告知したほうがいいでしょう。
騒音は環境的瑕疵なので、本来であれば告知義務がありません。しかし、買主が居住後にストレスや不快感を覚えれば心理的瑕疵と判断される可能性もあります。
告知は口頭ではなく、物件状況報告書などに記載して「書面」に残すのがベストです。
マンション売却時の騒音の基準
- 新築マンションを購入したけど、騒音がひどくて売却したい
- 分譲マンションを買ったが、上の階がうるさい
このような理由で売却する場合は、「人によって騒音の感じ方が違う」という点にも注意する必要があります。トラブルを防ぐためにも、騒音の基準を確認しておきましょう。
環境省の「騒音に係る環境基準」によると、住宅地における騒音の基準は下記のようになっています。
昼間:55 db以下
夜間:45 db以下
東京都環境局による生活音の目安は下記のとおりです。
テレビ:約57~72db 子供のかけ足:約50~66db 犬の鳴き声:約90~100db 風呂又は給排水音:約57~75db 洗濯機:約64~72db 掃除機:約60~76db |
生活音は壁や床を挟んで伝わり、実際に聞こえる音は小さくなります。そのため、通常の話し声や掃除機の音、子どもの走る音などは騒音の範囲に含まれないケースがほとんどです。人によっては気にならないかもしれません。
しかし、小さな音であっても「騒音」と感じる人もいます。日常生活において音が聞こえるのであれば、売却する際に詳しく伝えることが大切です。
あまりにも大きく聞こえるときや、上階・隣戸などとトラブルが発生している場合は告知が必須と思ったほうがいいでしょう。
騒音マンションを売却する前にしておきたい対策
騒音マンションを売却する前に、次のような対策を検討してみましょう。
- 騒音を測定する
- 管理会社に伝える
- 防音リフォームをする
それぞれ詳しく見ていきます。
騒音を測定する
騒音のレベルは、客観的なデータを基に判断することが重要です。専門業者に依頼して騒音を測定すれば、正確な理解と適切な対策を検討する手助けになります。
アプリやツールを使った測定では録音された場所を特定できません。法的根拠にもならないので注意しましょう。騒音を測定する際には、ビデオカメラを使用して音声と映像を記録するのが原則です。
管理会社に伝える
管理会社に伝えることで騒音が解消されるケースもあります。管理会社によって対応は異なりますが、「掲示板に書く」「エレベーター内に張り紙を貼って注意喚起する」などの方法が一般的です。
効果がないときは、全世帯のポストに注意書きを投函することもあります。それでも解消しない場合は、売却や法的措置を検討することになるでしょう。
防音リフォームをする
売主側で防音対策を施すのもひとつの方法です。窓、壁、床などを補強すれば、騒音を軽減して居住環境を改善できる可能性はあります。
ただし、騒音が解消するとは限りません。コストと時間もかかるため、慎重な計画と予算の確保が必要です。
騒音マンションをスムーズに売却するポイント
騒音マンションをスムーズに売却したい場合は、次のようなポイントを意識してみましょう。
- 騒音を気にしない居住者に売却する
- 騒音以外のメリットを強調する
- 契約不適合責任の免責特約を付ける
- 騒音マンションの売却に慣れている不動産会社を選ぶ
それぞれ詳しく見ていきます。
騒音を気にしない居住者に売却する
騒音に敏感ではない世帯をターゲットにすれば、売却の難しさを軽減できます。単身世帯や夜勤が多い世帯、音楽関係者、高齢者など、特定の層を見つけて積極的にアプローチしてみましょう。
子どもの足音が原因の場合は、子育て世帯にアピールすると成約が期待できるかもしれません。
騒音以外のメリットを強調する
騒音問題以外に多くのメリットがあるマンションなら、利点を強調することでマイナスイメージを消せる可能性があります。
立地や駅からのアクセス、周辺環境の利便性などをアピールして、購入につなげましょう。購入者が重視する要素を的確に伝え、騒音問題を相対的に小さく感じさせることが大切です。
騒音マンションの売却に慣れている不動産会社を選ぶ
騒音を隠して売却するように進言する不動産会社は避けましょう。問題を隠せば高値で売却できますが、買主から損害倍書などの訴訟を提起されるリスクが高まります。
実績豊富な不動産会社は、騒音の問題を告知したうえで、納得のいく価格での売却を実現します。
騒音マンションの売却は事前の告知と不動産会社選びが重要:まとめ
騒音問題を抱えたマンションをスムーズに売却するためには、事前告知と適切な不動産会社選びが不可欠です。
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