抵当権抹消手続きは自分でできる?5つのポイントで徹底解説

登記申請書

不動産を売却する際の抵当権の抹消手続きについて知りたい」
抵当権抹消手続きは自分でもできるの?」

 

こんな要望にお応えします。

不動産を売却する際に、必要不可欠な手続きのひとつが抵当権の抹消登記です。

抵当権とは、「住宅ローンの滞納が起きたときに不動産を担保として差し押さえできる権利」のこと。

事前に住宅ローンを完済して抹消登記をしておくか、不動産売却の代金で住宅ローンを完済しつつ抵当権抹消手続きを進めないと、解除することができません。

今回は、不動産売却における抵当権抹消手続きの基本的な流れや、費用といった基礎知識について解説していきます。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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抵当権は自動的に抹消されるわけではない

不動産を売却する際、登記簿の「乙」欄に金融機関や保証会社による抵当権が記載されたままになっていたら、その不動産はそのままでは売却できません。

住宅ローンを完済したら自動的に抵当権が抹消されると思っている方も多いですが、所有者が「抵当権抹消登記」をしない限り抵当権は記載されたままなのです。なお、抵当権抹消登記は自分でもできます

以下より「抵当権の抹消手続き」を自分で行う方法を詳しく解説していきます。

登記簿の見方がわからない場合は、下記の記事で解説していますので参考にしてください。

>>不動産の「登記簿」(登記事項証明書)の正しい見方を分かりやすく解説

不動産売却に向けた抵当権抹消手続きを自分で行うときの流れ

不動産売却時に、抵当権の抹消手続きを自分で行うときの流れは以下の通りです。

  1. 不動産の売却を依頼する業者を決めて売却相手を見つける
  2. 売却物件について住宅ローンを組んでいる金融機関に相談する
  3. 抵当権抹消登記の必要書類を用意
  4. 不動産売却の決済日に受け取った代金で住宅ローンを完済する
  5. 同日中に抵当権抹消登記をする
相続した不動産、すでに住宅ローンを完済している不動産を売却する場合は②・③だけ押さえておけばオッケーです。

実際には、抵当権の抹消登記をしたあとに、売却した不動産の名義を買主のものへ変更してもらう必要があります。

ただ、名義変更手続き(所有権移転登記)は買主側の責任で行われるものなので、今回は省きます。

①不動産の売却を依頼する業者を決めて売却相手を見つける

すでに不動産を売却することを決めているのであれば、まずは不動産仲介会社を選ぶことから始めます。今は「不動産無料一括査定サイト」というとても便利なサービスがあるので利用しない手はありません。

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②住宅ローンを組んでいる金融機関へ抵当権抹消手続きについて相談する

不動産売却時に抵当権を抹消する場合、最初に行うべき行動は金融機関への相談です。

抵当権抹消登記の手続きをするためには、売主自身が住宅ローンを組んでいる金融機関に数種類の書類を発行してもらう必要があります。

こうした書類の準備や住宅ローン完済の処理は、1日2日でできるものではありません。

具体的な機関は金融機関側の事情によっても変わりますが、金融機関側の処理や手続きには、2週間程度かかるのが一般的です。

事前連絡なしで不動産を売却すると、たとえ不動産売却代金で住宅ローンを完済できたとしても、「お金を払って購入した不動産に住宅ローンの抵当権が残っている」という状況になってしまう可能性があります。

買主にとって、自分に責任のない住宅ローンの抵当権が残っている不動産は、リスクの塊です。

余計なトラブルを防ぐためには、「代金の決済」「抵当権抹消登記」「物件の引き渡し」を1日で終える必要があります。

また、住宅ローンの金利は1日単位で管理されているため、決済日によって住宅ローン完済に必要な金額が若干変わる点にも注意が必要です。

正確な住宅ローン残債を把握し、スムーズに抵当権抹消登記をするためには、あらかじめ金融機関に相談しておく必要があります。

金融機関への相談は債務者本人でなければ受け付けしてもらえません。

③抵当権抹消登記の必要書類をそろえる

必要書類

不動産の抵当権抹消手続きをするためには、申請書や各種証明書等の準備が必要です。

法務局での抵当権抹消登記用の提出書類は、以下の通りです。

  • 登記申請書
  • 登記識別情報または登記済証
  • 登記原因証明情報
  • 弁済証書
  • 登記事項証明書
  • 委任状

不動産の登記を管理している各地の法務局は、国の機関です。書類に不備があると手続きを受け付けてもらえないので、必要書類は早めにそろえておくことをおすすめします。

登記申請書

法務局の窓口か、法務局のホームページからダウンロードできます。必須の書類ですが、必要事項を埋めていくだけなので、記入例を見ながら空欄に記入しておきましょう。

参考:不動産登記の申請書様式について(15)抵当権抹消登記申請書(法務局公式ホームページ)

登記識別情報ないし登記済証

不動産を買って登記を自分のものにしたときに、法務局から送られてくる通知書です。不動産の権利証だといえば分かりやすいでしょう。

ただ、紛失しても再発行できないので、自宅に保管できていなかった場合は、「事前通知」という方法を利用して、物件の所有者であることを司法書士に証明してもらう必要があります。

参考:不動産売却で必要な権利証ってなに?宅建士が4つのポイントで解説

登記原因証明情報(売買契約書の写し)

登記原因証明情報は、なぜ抵当権を始めとした登記を書き換えることになったのか、その理由を説明するための書類です。

基本的には、売買契約書の写しに買主の署名と捺印をしてもらったものを提出します。

住宅ローンの完済を証明してくれる弁済証書

弁済証明は、住宅ローンを完済したことを金融機関が証明してくれる書類です。代金の決済後、金融機関に連絡すると発行してもらえます。

登記手続きの流れが分かる登記事項証明書

法務局で抵当権の抹消手続きをする際に必要な書類です。請求した時点で有効な登記の情報が記されています。

窓口での直接申請・郵送・ネット手続きで法務局から取り寄せることが可能です。

司法書士に手続きを委任するための委任状

委任状は、抵当権を設定している金融機関が、司法書士へ抵当権の抹消手続きを委託するために必要となります。

委任状がない場合、司法書士を利用していても法務局で手続きができないので、取得しておきましょう。

④不動産売却手続きを終わらせて住宅ローンを完済する

不動産売却では、物件の代金を「決済日」に払ってもらうのが一般的です。

預貯金で住宅ローンを完済できるならともかく、手持ちの資金で完済できない場合は買主から受け取る売却代金頼りになるため、決済日までに完済することができません。

そのため、高額な資産である不動産の支払いは、たいていの場合買主側の預貯金ではなく金融機関から借りた住宅ローンを使って一括で返済します。

金融機関の口座に住宅ローン残債を振り込み、完済したことを金融機関側に確認してもらったら、抵当権抹消登記に必要な書類を作ってもらいましょう。

なお、金融機関に用意してもらう書類は、基本的に金融機関の窓口に自分で取りにいく必要があります。郵送等では当日中に抵当権の解除や物件の引き渡しができないので、不動産売却は午前中に進めましょう。

参考:不動産売却時の決済についてその方法や所要時間・必要書類を解説

⑤抵当権の抹消手続きを終わらせる

不動産の売却代金で住宅ローンを完済し申請に必要な書類をそろえたら、不動産の住所地を管理している法務局まで行き、窓口に必要書類を提出しましょう。

抵当権抹消登記に必要な費用を支払えば、手続きは完了です。登記が終わったことを証明できる書類をもらったら、買主へ物件を引き渡しましょう。

抵当権の抹消手続きは司法書士に委任することもできる

行政書士による手続き

抵当権の抹消手続きは、自分でやらずに司法書士へ委任することもできます。

ただし、委任状を作り、司法書士へ各種作業を任せても、売主として対応が必要な手続きもあるので注意が必要です。

司法書士に登記手続きを委託する場合、以下のような流れで手続きを進めていきます。

  • 金融機関に連絡する
  • 司法書士を探す
  • 抵当権抹消登記の必要書類をそろえる
  • 住宅ローンを完済する
  • 抵当権抹消登記に必要な書類を金融機関に出してもらう
  • 必要書類を司法書士に預けて抵当権を解除してもらう

この内、金融機関への連絡や住宅ローンの完済、書類の準備等は自分で手続きをする際と同じです。

そのため、ここでは司法書士を利用する際の流れを簡単に解説します。

抵当権抹消登記をやってくれる司法書士を探して契約する

抵当権抹消手続きを自分でやる場合と、専門家に任せる場合でもっとも大きく違うのは、「司法書士を探す必要がある」点です。

ただし、不動産売却を不動産の仲介業者に任せている場合、契約している不動産業者に司法書士を紹介してもらえます。

依頼料が予算に合わない場合は自分で司法書士を探すという手もありますが、不動産業者経由で仕事を頼めば、問題のある司法書士を紹介されるリスクは少ないので、不動産会社の担当者に相談しましょう。

司法書士を挟むことで、必要書類の準備不足や記入ミス等を防ぎつつ、手続きの労力を軽減することができます。

買主も所有権移転登記を司法書士に依頼することが一般的なので、買主側の司法書士に抵当権抹消登記も同時に依頼するとスムーズです。
詳細は不動産仲介会社に聞きましょう。

必要書類を司法書士に預けて抵当権抹消登記をしてもらう

不動産売却後、代金を受け取ったら、必要書類を集めて司法書士に預けましょう。

金融機関へ足を運び、ローンの完済を証明してくれる書類を受け取ったら、あとは手続きが終わるのを待つだけです。

委任状を書いて司法書士に手続きを委託しておけば、法務局での手続きをすべてやってもらえます。

不動産売却における抵当権抹消登記に必要な費用は15,000円前後

登記に必要な費用

抵当権抹消登記の費用は、おおまかに15,000円程度です。

内訳としては、「登記手続きをする際必ず必要になる登録免許税」「司法書士に支払う報酬」「全部事項証明書の発行費用」「抵当権抹消登記ができたかどうかを確認するために必要な登記簿謄本の取得費用」に分かれます。

登録免許税は不動産一個あたり1,000円

登録免許税とは、登記に関する手続きをする際、必ず必要になる税金のことです。

不動産一個に対して1,000円と金額が決まっており、一戸建ての場合は「土地」と「建物」の抵当権を抹消する必要があるので、2,000円かかります。

司法書士に支払う報酬額は10,000円前後が相場

抵当権抹消登記を司法書士に頼む場合の費用は、10,000円程度です。

不動産の資産価値によって、金額は変わってきます。

全部事項証明書の取り寄せに数百円かかる

全部事項証明書は、過去から現在に渡るまでの登記情報がすべて記載されている書類です。抵当権抹消登記をする際に登記を細かく確認する必要があるため、取り寄せることになります。

個人利用の場合、法務局の窓口で取り寄せると1通600円ですが、オンライン手続きを使って法務局等で受け取る場合、1通480円で取得可能です。

抵当権抹消登記が終わったことを確認するための登記簿謄本

抵当権が正式に抹消されているかどうかを確認するため、不動産売却時は手続き後に登記簿謄本も発行します。

登記簿謄本の取得費用は窓口での請求だと600円、オンラインだと500円です。

抵当権抹消登記の流れを押さえてスムーズに不動産売却をしよう:まとめ

住宅ローンの残っている不動産売却をする場合、物件を引き渡すまえに抵当権抹消登記という手続きをする必要があります。

自分でやることも司法書士に任せることもできますが、手続きに手間取ると、スムーズに物件を引き渡すことができません。

最短・最小の労力で抵当権抹消登記を終わらせたい場合は、不動産会社に司法書士を紹介してもらうのがおすすめなので、まずは信頼できる不動産会社を探して買主を探してもらいましょう。

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