不動産売却時に土地の造成工事は必要?5つのポイントを解説

土地造成工事
  • 不動産売却時に造成工事は必要?
  • 土地の造成工事って何をするの?
  • どんな土地に造成工事が必要?

こんな疑問にお答えします。

土地の造成工事とは、傾斜がついていたり地盤が緩かったりする土地を、使い勝手の良い平地に作り変える工事のことです。

建物も駐車場なども、基本的には平地でないと活用することができません。

特に山林や田畑などは、土地の形状や高低差の関係で使いづらいものが多いので、造成工事をしないと売りづらいといった問題を抱えています。

ただし、売りづらい土地でも、造成工事をすれば良い条件での売却が可能です。

そこで今回は、土地の造成工事とは何なのか、どのような工事を行うのか、費用はいくらくらいかかるのかといった造成工事の基礎知識を解説していきます。

記事の信頼性

監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太

不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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造成工事とは使いづらい土地を平らにする工事のこと

斜面を削る

造成工事とは、地盤を強化したり、傾斜のある土地を削ったり盛り土をしたりして、平らで使いやすい土地にする工事のことです。

山林の多い日本では平地を確保するために造成工事が必要

日本は、国土の大半を山林によって占められています。山林は、傾斜のきつい土地なので、日本には「自然な平地」がほとんどありません。

しかし、空き地に建物を建てるためには、ある程度面積の広い「平らな土地」が必要不可欠です。

地盤が強固なら、崖地や斜面に長い柱を突き立てて平地を作り、建物を支えるという方法もあります。
しかし、大雨による土砂崩れなどのリスクがあり、工事の難易度も高くなることを考えると、すべての建物をこの方法で建てるのは現実的ではありません。

近年では平地でも豪雨被害を受けています。わざわざリスクのある土地を購入する人はいません。

また、どれだけ地盤が強固でも、斜面に柱を立てるやり方で対応できるのは、高さの低い一戸建てまでです。アパートやマンション、ビルといった大きな建物は、耐荷重の関係で斜面には建てられません。

そこで生み出されたのが、土地に手を加えて使いやすい形に整える造成工事です。

土を敷き詰めて踏み固めることで傾斜を緩やかにしたり、緩い地盤を補強したりして、人工的に平面を作り出せば、建物も駐車場も好きなように建てることができます。不動産売却だけでなく、土地活用という選択肢も増えます。

もちろん、都市を中心とした使い勝手の良い土地は、たいてい開発が終わっているので、一般的な不動産売却では土地の造成工事について考える必要はありません。

しかし、中には山や林など、自然そのままの斜面が残っている不動産も存在します。

売却したい不動産の種類や現状によっては、土地の造成工事をすべきかを自分で判断する必要があるので、造成工事の知識は必要不可欠です。

参考:【相続不動産の有効活用】宅建士が7つの方法を徹底解説

安易な造成工事は災害につながるため専門家の協力も必須

なお、造成工事は、素人が取り組めるものではありません。安易な造成工事をすると、土地が水平にならなかったり、地面の強度が足りずに地盤沈下などのトラブルが起きたりすることがあります。

特に山に面した土地に粗悪な造成工事をすると、土砂崩れや地すべりといったリスクにつながりやすくなります。

そのため、土地の造成工事に関しては、各個人が好き勝手に開発できないように、「宅地造成規制法」と「都市計画法」という2つの法律で制限がかけられています。

造成工事をする場合、事前に行政から許可を取る必要もあるので、造成工事は不動産会社経由で手配しましょう。

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ポイントは高低差!土地の造成工事が必要になる場合

造成工事が必要なのは、がけ地や山林を始めといった「高低差」のある土地です。

斜度によって造成工事の費用や手間は変わってきますが、土地が傾いていると建物を建てられないため、基本的には土砂などをかぶせて圧縮し、強固な地盤を作ることになります。

また、田畑や元々河川だった場所や地下水脈のある土地など、地盤が緩い場所も、利用目的によっては造成工事が必要です。

「土地の利用目的を考えたとき、そのままでは安全に使えない」場合、土地の造成工事が必要になると考えておけば良いでしょう。

整地から土盛・土止まで!土地の造成工事の内容を紹介

一般的な造成工事の内容は、以下の通りです。

  • 整地
  • 伐採・伐根
  • 地盤改良
  • 土盛
  • 土止

各手順でどのような作業を行うのか、中身を詳しく押さえていきましょう。

土地を固めて平らにする準備と仕上げる整地

土地造成工事における整地の役割は、「土地の表面を平らにする」ことです。

具体的には、住宅建設などのさまたげになる石や岩を取り除いたり、汚れた土や、やわらかく沈み込みやすい土を除去して、住宅建築などに向いた固い土を入れ、地面を踏み固めます。

ローラーや専用の機械、重機などを使って上から圧力をかけることで、調整用の土を地固めしてより強固かつ平らな土地にする、土地づくりの準備作業といって良いでしょう。

なお、整地に関しては、土地造成工事の最初と最後の2回行うのが一般的です。

邪魔な木や木の根を取り除く伐採・抜根

伐根

利用する予定の土地に木々が埋まっている場合に、不要な木や木の根を取り除く工事のことを伐採・伐根作業と呼びます。

とくに、山林の造成工事をする際は必須の手順だと考えておいたほうが良いでしょう。

多少木や木の根があっても問題ないのではないかと考える人もいるかもしれませんが、樹木は放置しておくと成長します。

最初から生えている木を放置することによって、コンクリートやアスファルトを敷設してもその下から木が飛び出てきたり、木の根が配管工事の邪魔になったりするため、小さな木でも確実に除去しておくことが大切です。

緩い地盤を強固に作り変える地盤改良

土地の造成工事における地盤改良とは、水を含んでいたり、性質上柔らかかったりする土地の表面を、強固に作り変える作業となっています。

一般的には、元々湿地だった場所や流れの変わった川の跡地、田畑、地下水脈のある場所など、水気を含んだ土地に必要な工事です。

地面に杭を打ち込んで地中の水分を外へ出したり、強度の高い改良土などを敷き詰めたりします。

地面の表層が多少の地盤改良では十分に固められない場合、または大きな建物や重い建物を建てるための耐荷重に不安がある場合は、地面に支柱を何本も打ち込み、柱で地面の上の建物を支えるといった工事も必要です。

土地によって変わるため、元々地盤の強い土地であれば地盤改良をする必要はありません。

土や砂利などを盛って傾斜を平らにする土盛

土盛は、文字通り土を盛って傾斜を平らにする作業のことです。

基本的には、道路よりも低くなっている部分の高さを底上げするために行われます。

なぜなら、道路より土地の側を高くすれば、土地に降り注いだ雨などを道路へ向かって排出しやすくなるためです。

日本の道路は、排水を考えて道路の中央を一番高く取り、端のほうがやや低くなるように水勾配が付けられています。

道路よりも土地のほうが低い場所にあると、道路側から土地に雨水が流れ込んでしまうため、道路よりも低い土地は土盛で平らにする作業が必要です。

盛り上げた土が崩れないように固定する土止

土止は、土盛によって盛り上げた土砂が、風雨などで横から流れないように固定する作業のこと。

とくに、山を切り拓いた土地に造成工事を施す場合、斜面の横側をコンクリートなどの頑丈な素材で固める必要があります。

強度の関係上、斜面の側面から土砂が流れないようにするのは大変なので、コンクリート製の壁を設置するのが一般的です。

土地の造成工事を行う際の費用相場は広さや傾斜の角度による

工事費用

土地の造成工事をする際の費用は、作業の内容や面積、傾斜の角度によって変わります。

ただ、市街地農地等の造成費用は、基本的に各地の国税局によって決められており、造成工事の費用は毎年更新されています。

ここでは、福岡国税局が公表している市街地農地等の造成費の相場を押さえていきましょう。

市街地農地等とは

市街化区域にある農地(市街地農地)、山林(市街地山林)、原野(市街地原野)をまとめて市街地農地等といいます。
また、市街化区域とは、現在市街地として栄えている地域や今後整備され市街化がすすめられる地域のことを指します。

福岡国税局が公表している平地の造成費用は700~56,100円

福岡国税局が定めた、「平地」部分の造成費用は、以下の通りです。

整地1平方メートルあたり700円
伐採・伐根1平方メートルあたり1,000円
地盤改良1平方メートルあたり1,700円
土盛搬入する土砂の体積1立法メートルあたり7,000円
土止土止に必要な壁1平方メートルあたり57,500円

基本的には、広ければ広いほど、造成費用も高くなっていきます。

また、その他の作業に比べて手順の複雑な土止に関しては、費用が高いです。

福岡国税局が公表している傾斜地の造成費用は17,300~56,900円

造成費用を考える際に重要なのが、「土地の傾斜が大きくなればなるほど工事費用も高くなる」こと。

場合によっては整地だけで終わる平地と違って、造成工事の作業が一通り必要になるため、伐採・抜根・地盤改良を除いた整地・土盛・土止のセット料金が以下のように公開されています。

3~5度以下1平方メートルあたり17,300円
5~10度以下1平方メートルあたり20,500円
10~15度以下1平方メートルあたり32,000円
15~20度以下1平方メートルあたり44,100円
20~25度以下1平方メートルあたり49,100円
25~30度以下1平方メートルあたり56,900円

参考:令和5年分 財産評価基準書 福岡県 宅地造成費の金額表

造成工事のメリットは土地を売りやすくなること

基本的に、傾斜があって平らでない土地は、造成工事をしてから売るのがおすすめです。
傾斜地は、そのままの状態で建物を建てるといった活用ができないため、市場で人気がありません。

しかし、売主側で土地の造成工事をしてしまえば、需要の多い宅地として売り出せるようになります。

宅地に仕上げることで、より短期間で売れたり、傾斜地のまま売るより高く売れやすくなったりするため、傾斜地は可能な限り造成工事をしてから売り出しましょう。

ただし、今回ご紹介した通り、土地の造成工事にはお金がかかります。

広い土地だと造成工事の費用だけでかなりの出費が必要になるため、土地の広さや傾斜の大きさなどに合わせて、土地をいくつかに分割して売る、開発業者向けに売るといった複数のプランも検討しましょう。

基礎を押さえて造成工事の必要な土地を高く売ろう:まとめ

傾斜のついた土地は、そのままだと利用できないので、表層の土を頑丈な土砂に入れ替えたり、土を盛り上げたりして平地にすると売りやすくなります。

ただし、上記の通り、土地の造成工事にはお金がかかります。

場合によっては、造成工事をせずに売却できるケースもあるので、造成工事で売却額をどの程度底上げできるのかを判断するためにも、まずは不動産会社の見積もりを取って土地の価値を見極めましょう。

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