「不動産の売却をキャンセルしたい」
「不動産売却をキャンセルしたら訴えられたり、賠償金を払わないといけないの?」
こんな疑問にお答えします。
そもそも売り手側からの売却キャンセルはできるのか?という点から、不動産売却フェーズ毎に取るべき対処法などを詳しく解説します。
もし、現在依頼している不動産会社に対する不満が理由でキャンセルをお考えの場合は、以下のフォームから新たに業者選びをしてみるのもいいでしょう。
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目次
不動産売却の途中キャンセルは可能。しかしタイミングが大事!
まず、「不動産売却の最中でキャンセルは可能なのか?」という点についてお答えします。
結論は、可能です。売り手側と買い手側、どちらからでもキャンセルできます。
売り手側に関しては、売買契約が成立するまでは「売り手が所有者」になるため、当然といっても過言ではないでしょう。
しかし、問題はキャンセルをするタイミングです。どのタイミングでキャンセルをするかによって違約金を支払うのか、無償で済むのかが変わります。
もちろん無償で済んでも仲介してくれた不動産会社などには迷惑をかけてしまいます。
それを踏まえたうえで、キャンセルをするときにどのような対処を取ったほうがよいのか、見ていきましょう。
冒頭でも述べたようにキャンセルを告げるタイミングで対処法が変わるので、必ず把握しておきましょう。
【タイミング別】不動産売却の途中キャンセルへの対処法
では実際に不動産売却の途中キャンセルに関する詳しい内容を見ていきます。一般的にキャンセルに関する対処法が変わるのは以下の5つのタイミングです。
- 訪問査定をしてもらった後
- 媒介契約を締結した後
- 購入申し込みをもらった時点
- 売買契約を締結した後
- 売買代金をもらう直前
もし今、不動産売却のキャンセルをしようと考えているのであれば、まずはどの段階まで売却の話が進んでいるかを確認してから、以下の対処法を読むことをおすすめします。
訪問査定をしてもらった後のキャンセルは違約金無し!
一般的に不動産の売買は、不動産会社に仲介を依頼します。
当然ながら不動産売却に関しても、不動産会社に「どれくらいで売却できるのか」といった売却金額の査定をしてもらう必要があります。
流れとしては「簡易査定」で大まかな相場を知り、実際に現地へ行って査定する「訪問査定」へと移ります。多くの人は、この「訪問査定」が行なわれた段階で不動産会社からキャンセル料や違約金を取られるのではないかと思いがちですが、原則としてキャンセル料を取られることはありません。
媒介契約締結後のキャンセルでも違約金は発生しない
訪問査定が終了し、売却活動を行なってくれる不動産会社を決めたら、まず「媒介契約」を結びます。
この契約を結ぶことで初めて不動産会社は売り手側が希望する売却額に向けた販売促進活動ができるのです。
「実際に売却活動を始めてもらうのだから、キャンセルをしたら当然違約金がかかるはず!」と思うかもしれませんが、この段階でも原則として違約金やキャンセル料はかかりません。基本的には媒介契約締結後であっても、いつでもキャンセルできます。
しかし、不動産会社側からすれば「せっかく媒介契約を結べたお客様」なわけですから、報酬を得るためにも手放したくないのはいうまでもありません。したがって、引き止めや説得は必ずあると考えてください。
もしそんなシーンに出くわすのが嫌であれば、専任系媒介なら3ヶ月に1度行われる「媒介契約の更新」の時期を見計らってキャンセルをするとよいでしょう。
「見直した結果、まだ売却する気がなくなりました」といってしまえば、不動産会社も過剰に説得はできないはずです。
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購入申し込みの時点では宅建業法が優先される
「購入申し込み」とは文字どおり、売却活動中に買取希望者から「この不動産を買いたい」と申し込みが入ることです。
そのため、申し込みからの売買契約、引き渡しは今までよりもスピードが速くなる可能性があるので、不動産売却をキャンセルするかどうか考える時間は短くしなけらばなりません。
では実際、この段階でもし「売却キャンセル」を選んだとしたらキャンセル料や違約金は発生するのでしょうか。
原則、ここでも違約金などは発生しません。たとえ申し込みがあったとしてもその申し込みを破棄することが可能です。
その最たる理由は、『宅地建物取引業法(通称:宅建業法)』という法律にあります。一般的に民法をひも解くと「購入申し込み」があった時点で「契約成立」とみなされます。
ただ、不動産売却に関しては『民法』よりも『宅建業法』に書かれている内容が優先的に用いられるのです。
実は、宅建業法上では購入申し込みを書いてもらった程度で契約成立とはならないとされているため、購入申し込み段階までいったとしても契約は成立していないのです。
つまり、この時点で売却キャンセルをしてもキャンセル料や違約金は発生しません。
売買契約締結後の売却キャンセルは違約金が発生する!
申し込み時点までのキャンセルであれば、違約金やキャンセル料はかかりませんでしたが、「売買契約」を締結した後のキャンセルに関しては「正式に契約を交わしている」とみなされるため、買取希望者に違約金を支払うことになります。
金額に関してですが、明確に定められてはおらず契約書に記載された「買い手側からの手付金」をもとに算出されるのが基本です。
一般的に売り手側が売買契約締結後に売却キャンセルをした場合は、「受領した手付金の2倍」を支払うことになっています。
手付金として100万円を預かっていたら、200万円を支払うという仕組みです。
つまり、実質支払う金額は100万円ということになるのです。以下は、それを図式化した計算式です。
100万円(手付金)+100万円(実質の支払額)=200万円(違約金、手付金の2倍)
売買契約締結後に売却キャンセルをしたい場合は、必ず「手付金がいくらか」「手付金は残っているか」を確認して、実質的に支払う金額を早めに算出しましょう。
参考:不動産売却の際に聞く「手付金」とは?宅建士が3つのポイントで解説
売買代金をもらう直前でのキャンセル
契約を締結し、後は売買代金をもらうだけというタイミングでキャンセルする場合はどうなるのでしょうか?
もちろんノーリスクではすみません。
基本的には契約書に記された内容に従って、違約金を支払うことになります。一般的な売買契約書であれば、「売買代金の10~20%」と書かれています。
もし1,000万円の不動産をキャンセルしたなら、100万〜200万円支払うことになります。現金で即座に支払いを求められるため、キャンセルするなら相当な覚悟が必要になるでしょう。
しかし逆の観点でいうと、お金さえ支払えば、売却活動が終了目前でもキャンセルできるということにもなります。
売買契約締結後でも無条件で解約になる5つのパターン
ちなみに、売買契約締結後でも、以下のような場合は無条件かつ無償でキャンセルできる可能性があります。こちらの内容もあわせて覚えておきましょう。
停止条件・解除条件付特約によるキャンセル
停止条件または解除条件付特約とは、買い手側は一定の条件を満たすことできなかった場合に取られる解約措置のことを指します。
実際にある例としては「買い手側が融資(住宅ローン)を受けられなかった場合」や「買い手側が指定の建築業者と契約しなかった場合」といったことが挙げられます。
不動産売買の契約は、定められた条件をクリアした場合にはじめて契約が続行するため、クリアできなければ解約になってしまうのです。
原則としてこれらの条件は契約時に取り決めることが決まっており、契約内容によっては違約金が発生する可能性もあります。契約を交わす前に必ず書類を確認しておきましょう。
参考:事例を知って事前に回避!不動産売却時のトラブル【ローン特約編】
契約違反によるキャンセル
買い手側が契約書内に書かれていることを破り、違反行為が発覚した場合は、売り手側は契約を無条件で解約させることができます。
実際に以下の事例は契約違反となりやすい事項です。
- 不動産売却の決定後に代金を支払わない
- 買い手側の音信不通
- 契約後の理不尽な値段交渉、脅迫まがいの行為
これらのような契約違反行為が発覚したときは、まず買い手側に催告(相手に対して一定の行為を請求する行為のこと)を行うのが基本です。
それでも買い手側から返事も連絡もない場合に解除通告を行えると法律で定められています。もし契約違反によって損害が発生した場合には、買い手側に賠償請求することも可能です。
買い手側のクーリングオフによるキャンセル
クーリングオフは、不動産の契約に関しても活用できる制度です。したがって、契約締結後でも、契約締結後にクーリングオフに関する説明をされ、そこから数えて8日以内に「契約解除通知」というのを発送してしまえば、無条件で解約が可能になります。
しかし売り手側からのクーリングオフはできません。使えるのは、買い手側でありかつ売り手側が宅建業者であることが条件となります。
また、不動産におけるクーリングオフ制度が適用されるのは、業者の事務所または買い手側が住んでいる自宅以外の場所」であることも忘れてはいけません。
不動産の売り手側からすれば、自分から行動を起こすことはほとんどないため、ほぼすべて買い手側の意向にゆだねられてしまうのですが、こういうケースもあるということは知っておいて損はないでしょう。
参考:【不動産売買におけるクーリングオフ】適用される5つの条件
業者の不法行為によって生じたキャンセル
業者とは「不動産会社」のことを指します。そして不法行為とは、不当な勧誘や告知義務違反、虚偽報告などが当てはまると考えてよいでしょう。
この場合は無条件で契約を取り消すことができ、キャンセル料ももちろんかかりません。こちらも不法行為によって売り手側に被害があった場合は、業者へ損害額を請求できるので覚えておきましょう。
合意解除によるキャンセル
合意解除とは、「売り手側と買い手側が話し合った結果、納得して契約を解除すること」を指します。このような場合に限らず、話し合いと和解で解決できるのは最も理想的な解決方法といえるでしょう。
もちろん、売り手側と買い手側が納得するわけですから、お互いにリスクゼロで解約可能です。ただ実害が出てしまっている場合は、なかなか合意解除というわけにはいかないでしょう。お互いに実害のないタイミングで切り出せるかがポイントになります。
不動産売却を途中でキャンセルするための手続き
前述したように、不動産の売却は金額の大きさや時間の関係で売り手側も買い手側もキャンセルをすることは少なくありません。
したがって、契約書のなかにも売り手側と買い手側のどちらでもキャンセルができる条項を入れてあるのが一般的です。
契約を交わす際は内容をよく理解した上で手付金を受領しましょう。売り手、買い手側のどちらかが契約の履行に着手してしまった場合は手付金の返却だけでは済まなくなってしまいます。
まずは媒介契約している不動産会社に相談を!
手付金解除の期限は個々の売却シチュエーションによって細かく異なるため、明確な線引きはできません。
したがってまずやるべきことは「媒介契約している不動産会社に売却キャンセルの旨を伝える」です。
このとき、正当な理由があればそれをしっかりと伝えましょう。
その後の手続きは上述したように、手付金をもらっていてかつ契約の履行を進めてしまっているかどうかによって違約金の金額が変わるので不動産会社に確認してもらってください。
もし履行まで進めてしまっている場合は「手付金の2倍額相当の違約金」を支払う手続きを行う必要があります。
買い手側から売買をキャンセルされたときの対応について
キャンセルは何も売り手側からだけではありません。上述したように買い手側からもキャンセルをされる可能性があります。
ただどんな場合でも買い手側からの購入キャンセルに関して売り手側からなにかアクションを起こすことはほぼありません。交渉などをする場合もありますが極めてまれなケースです。
もし対応するのであれば、「2番手や3番手の購入希望者も確保しておく」「事前に手付金の金額を高めに設定しておき、手付放棄にならないようにする」ことが大切です。
不動産売却をキャンセルする際はシチュエーションごとの対応が大事:まとめ
不動産売却をキャンセルする際は、まず自身がどのシチュエーションで行なおうとしているのかを把握し、それに合わせた対応を取ることが重要です。
売り手側も買い手側もなるべくスムーズにキャンセルできるように、しっかりと現状を把握するようにしましょう。
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