不動産を売却したら確定申告が必要?3つのポイントで徹底解説

確定申告

「不動産を売却したら確定申告が必要?」
「そもそも確定申告ってなに?」

 

こんな疑問にお答えします。

毎年2月16日から3月15日まで行われる確定申告ですが、一般のサラリーマンの方はあまりなじみがないでしょう。
1年間の医療費が10万円を超えた、副業で収入を得ているなどの事情がない限りは、税務申告はすべて勤務先の年末調整で済ませているものです。

しかし、最近は投資信託やメルカリなどのフリマアプリの広がりから、給与以外の所得を得る人が増えています。そのほかの副業で稼いだ所得も確定申告しなければいけない場合があります。

不動産売却をした際は、自分自身で確定申告を行う必要があります。普段は縁のない確定申告ですが、どのようにして行えばいいのでしょうか。

今回は不動産を売却した翌年の確定申告の方法について詳しくご説明します。

記事の信頼性

監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太

不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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確定申告とは

自営業(個人事業主)が年間の所得を申告、納税する

確定申告が必要になる方は、代表的なところでは自営業の方です。
個人事業主は、税務署に年間の所得額とそれに対する税金の額を計算して申告し、納税する必要があります。
1月1日から12月31日までの1年間の所得を、翌年の2月16日から3月15日の間に申告することになっています。

会社員であっても確定申告が必要になるケースがある

先述した通り、投資信託やメルカリなどのフリマアプリの広がりから、一般のサラリーマンや専業主婦の確定申告が必要なケースが増えてきています。

競馬で万馬券を当てたり、YouTubeで広告収入を得たり、アフィリエイトで稼いだなど、本業とは別に大きな副収入があったにもかかわらず、副業という意識がなく、確定申告をしなかったため税務署からきた納税勧告に嘆く人もいます。

会社員の方は、毎月の給与所得から税額を源泉徴収されて勤務先から税務署に納税が行われています。しかし、その源泉徴収の際には生命保険の保険料や住宅ローンの控除などが反映されていません。

そのため、年末調整の際にそれらの額を勤務先に申告します。勤務先はその申告を受けて正しい所得額を計算し、税務署に手続を行い、正しい所得額に対する税額を計算し、払い過ぎとなっている税金が還付金として戻ってくることになります。

このように、会社員は本来確定申告をする必要はないのですが、場合によっては確定申告をしなければならないことがあります。

1年間にかかった医療費が10万円を超える場合は、医療費控除の適用を受けられるため、確定申告をしたほうが良いでしょう。

また、災害などで自宅に損害が及び、補修費用が掛かった場合なども雑損控除の適用が受けられます。これは申告の義務ではなく、むしろ税金の還付を受ける権利といえます。

確定申告の義務が生じるケースとしてとしては、以下の条件があげられます。

  • 年収が年間2,000万円を超えている
  • 2カ所以上の勤務先から給与を得ている
  • 住宅ローン控除を初めて受ける(2年目からは勤務先の年末調整で対応)
  • 勤務先を退職した後、別の会社に就職しておらず年末調整を受けていない
  • ふるさと納税を6カ所以上の自治体にしている
  • 有価証券等の配当所得や不動産経営による所得が年間20万円を超えている
  • パチンコ、競馬や競輪、競艇などのギャンブルで50万円以上の利益を得た

不動産売却によって20万円を超える所得(売却益)を得た場合は上記項目に該当するため、確定申告が必要になります。

不動産売却をした時には確定申告が必要

不動産売却時の確定申告

どのようなケースでも確定申告はしたほうが良い

不動産売却を行った際は、確定申告が必要になります。
「事業として不動産売却をしたわけではない」と主張される方もいらっしゃるかもしれませんが、それでも確定申告は必要です。
投資用として購入、不動産売却を行った場合はもちろんですが、自宅を住み替えるために不動産売却を行った場合や、相続した家や土地などの不動産売却をされた場合も確定申告が必要になるのです。

中には、「確定申告なんて今まで一度もしたことがないけど、税務調査なんてなかったし、追徴課税されたこともない」という人がいます。
しかし、それは無申告が許された訳ではなく、その人の所得があまり高くないため、税務署にとっての優先順位が低く、たまたま連絡がなかっただけに過ぎません。

意図的に、そして悪質な税金逃れほど、税務署は厳しく罰します。また、いつどのタイミングで税務署から連絡がくるか分かりませんし、税務署の連絡に怯えて生活するよりは申告をすることをお勧めします

期限内に確定申告をしなかった場合、所得税に加えて「無申告加算税」という罰則的税金を支払わなければいけません。
しかも罰金額は本来納めるべき所得税の15~20%とかなり高額です。さらに、納付期限を過ぎてしまうと、「延滞税」という利息を支払わなければいけません。

不動産売却で利益を得た場合

不動産売却によって20万円を超える利益を得た場合は必ず確定申告をする義務があります。
税法上で「譲渡所得」とされ、その利益額に対して納めるべき税金の額が計算され、納税の義務が発生します。
不動産売却によって所得を得ているにもかかわらず、確定申告を行わずに放置していると、後に本来課税される税額の他に、延滞税や重加算税などを加算されることがあります。必ず確定申告を行いましょう。

確定申告は3月15日までが受付期間となっていますが、どうしても期間内にできなかった場合も受付はしてもらえます。
ただ、何ヶ月も遅れての申告となった場合は、延滞税を払わなければならなくなるため、原則としては期間内に手続きを終わらせること。
遅れてしまってもできるだけ速やかに申告することが必要です。

参考:不動産売却後の確定申告をうっかり忘れたときの対処法

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不動産売却で損失が生じた場合

不動産売却で損失が生じた場合は、確定申告をする義務はありません。

購入した際の価格よりも不動産売却を行った価格が下回っている場合は損失とされます。購入価格には、登記手続等にかかった費用も含むことができます。
損失となっている場合は、確定申告の必要はありませんが、確定申告をすることで支払った税金が戻ってくることがあるので給与所得者も確定申告をしたほうがいいでしょう。
ただし、税金の還付を受けるにはいくつかの条件を満たしていることが必要になります。

  1. まず、単なる不動産売却ではなく、居住用の不動産を買い替えたことが前提となります。
  2. 売却した不動産は所有期間が5年以上となることが条件です。
  3. 買い替えをする不動産は、床面積が50㎡以上であること
  4. 不動産を売却した年の前年から翌年までの3年の間に購入等をしたこと
  5. 取得した年の12月31日の時点で住宅ローンが10年以上残っていること
  6. 取得した年の翌年12月31日までに居住を始める予定であること
これらを満たしている場合は、確定申告を行うことによって、給与所得に課税されていた税金の還付を受けられる可能性があります。

確定申告はどのように行えばいいのか

基本的には税務署で確定申告を行う

税務署確定申告を行うには、提出する書類を揃える必要があります。
不動産投資を行っている場合と、住み替えのために不動産売却を行った場合とでは必要書類が違いますが、ここでは住み替えのケースとして説明します。

まず、税務署で確定申告用紙をもらいます。そこに計算した金額を記入して書類を作成します。
その他添付する書類として、下記書類をご準備ください。

準備するもの

<取得時>※購入したときのもの

  • 売買契約書の写し
  • 売買代金受取書の写し
  • 固定資産税精算書の写し
  • 仲介手数料や印紙購入代金などの領収書の写し
  • <増改築時の請負契約書・領収書の写し

<譲渡時>※売却したときのもの

  • 売買契約書の写し
  • 売買代金受取書の写し
  • 固定資産税精算書写し
  • 仲介手数料や印紙購入代金などの領収書の写し
  • 売却した土地、建物の全部事項証明書(登記簿謄本)→オンラインでも取得可能です。詳細はコチラから
  • 買い替えによって購入した土地、建物の全部事項証明書(登記簿謄本)

上記資料は一般的なものです。税務署からさらに別の必要書類を提示されることもあります。

引越し等で住所変更した場合の提出先
引越しによる住所変更や、納税地の特例を受けて住所以外の場所を納税地に変更した場合など、確定申告の提出先に悩むところですが、基本は確定申告書を提出する時点の納税地の所轄税務署となります。
納税地の特例を受ける場合や海外に移転される場合は、あらかじめ所轄税務署に問い合わせることをお勧めします。

国税庁のホームページからも確定申告が可能

国税庁サイトインターネット上で確定申告をすることもできます。
国税庁のホームページに「e-TAX」という確定申告受付システムが設けられており、税務署に出向く時間のない方は、そのシステムを使って確定申告をすることができます。
詳しい利用方法については、国税庁のホームページ内に「確定申告書作成コーナー」が設置されていますのでご参照ください。

税理士に依頼する

確定申告において、医療費控除や雑損控除の場合は比較的簡単に手続きを進められるかと思います。
領収証を集め、金額を計算し、確定申告書に記入し、源泉徴収票と一緒に提出するといった流れとなり、計算方法も簡単ですし、わからない場合は税務署でたずねれば教えてくれます。

ただ、不動産売買の譲渡所得や損失となれば、何かと煩雑な計算や手続きが必要となることも多いのです。

不動産売却の所得額が大きく、自分の手に負えない場合などは、税理士に依頼することもひとつの策かと思います。
会社員が税理士と顧問契約をされていることはまずないでしょうし、勤務先に紹介してもらうか、税理士会が主催する確定申告の税務相談会などで税理士を見つけて依頼する方法もあります。

また、インターネット上で複数の税理士事務所から見積もりをもらう方法もあります。費用はまちまちですが、スポットの依頼になるため5~10万円ほどが相場となっているようです。

不動産を売却したら確定申告をしよう:まとめ

確定申告は複雑な手続きですが、インターネットを使って一度自分でやってみると、次年度にもデータが引き継げるので楽になります

この機会に自分で確定申告にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。もし、時間がなかったり手続きに手間取ったら税理士に依頼してみましょう。

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