収益物件の売却にかかる譲渡所得の計算方法と確定申告について解説

収益物件の売却

確定申告とはどのような手続きか

年末から春ごろにかけてテレビやラジオ、インターネットなどでよく聞く「確定申告」という言葉、そもそもどのような手続きなのでしょうか。

サラリーマンの方だと、よく聞く言葉でも実際に確定申告をしている方は多くはありません。
確定申告のメリットやデメリット、やり方などについて基本的なところから深堀りしていきます。

確定申告とは

日本の法律では税金の額である税額の確定方法には2つの方法があります。

一つ目は、国や地方公共団体が納付すべき税額を計算してくれて納税者に通知する賦課課税方式です。
この方式を採用している税金としては住民税や固定資産税などがあります。

もう一つは、納税者が法律に基づいて自ら納付すべき税額を計算して申告・納税する申告納税方式です。
この方式を採用しているのは所得税や法人税です。

そして確定申告はこの申告納税方式のうち、個人の所得にかかる税金を暦年(1月1日から12月31日)の期間で計算し、翌年の3月15日までに申告することを指すのです。

年末調整との違いは何か

サラリーマンの方であれば年末調整という言葉を聞いたことがあるかと思います。この年末調整は確定申告とどのような関係があるのでしょうか。

確定申告も年末調整も所得税に関わる手続きであることは共通しています。しかし、実施される時期が大きく異なります。

年末調整はサラリーマンであればおおよそ11月から12月の間に行われる手続きです。
本来、所得税は12月31日までの所得が決まらないと計算できないものですが、サラリーマンのような給与所得者の場合は、毎月の給与の増減が少ないため、最初に年間の所得税額を概算で決めてしまい、それを毎月の給与から控除していく仕組みをとっています。

この仕組みは源泉徴収方式と呼ばれています。

その上で、毎年11月から12月にかけて生命保険料控除などの控除も正確に反映し、正しい所得税額を出した上で調整しているのです。

その結果、毎月多く控除しすぎていれば還付し、逆に少なく控除していれば最後の月に多く徴収するという調整をする必要が出てくるのです。
この調整のことを年末調整と呼びます。

確定申告をしなければいけない人はどんな人か

次に確定申告をしなければならない人はどのような人でしょうか。

本来サラリーマンのような給与所得者は年末調整の制度があるため確定申告は不要です。

しかし、給与所得の金額が2,000万円を超えるような高収入のサラリーマンや、副業などで2カ所以上から給与の支払いを受けている人、不動産賃料などの事業所得が20万円を超える人、雑損控除・医療費控除・寄附金控除の適用を受けたい人、住宅借入金等特別控除の適用初年度の人などは、サラリーマンであっても確定申告をしなければなりません。

また、サラリーマン以外であっても、退職所得がある人、収益物件を売却・譲渡したことによって利益が出た人も同じく確定申告をしなければなりません。

確定申告をしないとどうなるのか

義務があるとはいえ確定申告は手間もかかってちょっと面倒だなと思う方もいるかと思います。
仮に確定申告をしなかった場合はどうなるのでしょうか。

申告期限を過ぎたらすぐに税務署から連絡がくる、というようなものではありませんが、後日になって税務署から調査がくる場合があります。

その際には、本来支払うべき税額に加えて、遅れた分の延滞金が追加されて課税されてしまいます。
つまり、申告しなかったら多く支払わないといけない結果になってしまうのです。

また逆に、還付と言って払い過ぎた税金が戻ってくる制度があるのですが、確定申告をしないとこの還付も受けられなくなってしまいます。

つまり、確定申告をしないとデメリットばかりになってしまいますので、必ず期限内に終わらせるようにしましょう

確定申告書

不動産売却後の確定申告をうっかり忘れたときの対処法

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確定申告のやり方とは

確定申告には、確定所得申告、還付等を受けるための申告、確定損失申告の3種類の申告書があります。

確定所得申告はいわゆる確定申告のことで、納付すべき所得税を算出して翌年の3月15日の確定申告期限までに申告します。

還付等を受けるための申告とは、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税額が本来の所得税よりも多い場合、つまり多く源泉徴収され過ぎている場合に還付申告をして払い過ぎの税金を返してもらう手続きです。

還付申告ができる期間は確定申告よりも長く、5年間のうちに申告すれば良い手続きです。

確定損失申告とは、確定損失申告を提出することによって、純損失の金額や雑損失の金額を繰越控除の適用を受けられる手続きのことです。

自分で確定申告する方法

かつては確定申告の時期になると税務署には長蛇の列が並び、作成コーナーの一角で職員に指示されながら確定申告書を記入するという姿もみられました。

しかし、現在では非効率ということで、国税庁も画面の指示に従って金額を入力していくと確定申告書を作成できるようなサイトの提供などもしており、以前に比べれば確定申告のハードルは低くなったと言えるでしょう。

基本的な確定申告書の提出方法は3種類あります。

持参して申告する方法

1つ目は、税務署に直接持参して提出する方法です。

メリットは職員に直接見てもらえるので安心である点ですが、逆に申告時期は税務署が大変混み合うので時間がかかるというデメリットがあります。

e-Tax、スマート申告でオンライン申告する方法

2つ目は、e-Taxと呼ばれるオンラインシステムを使用して確定申告をする方法です。

e-Taxの申告自体は簡単なのですが、その準備のハードルが非常に高いです。

準備はマイナンバーカードを事前に取得していることと、マイナンバーカードを読み取れるICカードリーダライタという電子機器を用意することです。

確定申告という大切な手続きなので確実に申告することが必要ではあるのですが、事前準備のハードルが高すぎてなかなか利用者が増えませんでした。

そこで、令和2年からはスマホでも確定申告ができるようになりました。
国税庁は「スマート申告」と呼び、なるべく利用するように呼びかけています。

スマート申告を利用するためには、マイナンバーカードとマイナンバー対応のスマホを利用するマイナンバー方式か、顔写真付きの身分証明証を税務署に持参してIDとパスワードを発行してもらうIDパスワード方式があります。

参考:不動産売却でも使える!マイナンバーカード4つの作り方

印刷して郵送する方法

3つ目は、自宅や職場で確定申告サイトを利用して作成した申告書を印刷して郵送する方法です。

注意すべき点は確定申告の申告期限です。

郵便局の消印が提出した日とみなされることになっていますが、郵送の場合は到着まで日にちがかかるのでなるべく余裕を持って提出することをおすすめします。

国税庁 「確定申告書の税務署への送付

確定申告に必要な書類の用意

確定申告をする際には、まず金額の根拠となる書類を手元に用意します。

収益物件を売却した場合だと、確定申告に必要な書類は収益物件の収益が分かる書類や売却した収益物件の価格や取得費、譲渡費用が分かる書類です。

具体的には、家賃などが書かれたレントロールや管理会社からの収益一覧表、売却時の不動産売買契約書や収益物件を購入した際の売買契約書、仲介手数料の領収証、司法書士の報酬手数料の領収証などです。

参考:不動産を売却したら確定申告が必要?3つのポイントで徹底解説

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譲渡所得税をよく理解して賢く売却しよう:まとめ

以上が、収益物件の売却にかかる譲渡所得の計算方法と確定申告についてです。

特に収益物件の場合、売却後の税金まで考えないと収益が出せないというケースも十分に考えられます。

きちんと仕組みを理解した上で収益物件の売却にかかる譲渡所得を計算し、有利な価格とタイミングで売却をするように注意しましょう。

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