【遺言執行者による不動産売却】メリット・デメリットを解説

  • 遺言執行者による不動産売却のメリットは?
  • 相続時の不動産売却でトラブルを避ける方法は?

こんな疑問にお答えします。

 

相続不動産の売却は、遺言執行者が選任されて各種手続きを行うのが一般的です。
相続人は売却に関わる必要がなくなり負担も軽減されますが、相場より低い価格で売却されることがあるので注意しなければいけません。

そこで今回は、相続不動産の売却や遺言書の作成で悩んでいる方に、以下をわかりやすく解説していきます。

  • 遺言執行者による不動産売却のメリットとデメリット
  • 遺言執行者が不当に不動産を安く売却したときの対処法

少しでも高く売却する方法や税金についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。 このサイトから多数の査定依頼を受けています。(NHK・経済誌の取材実績も)

 

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遺言執行者とは

遺言執行者とは、「遺言の内容を実行するために必要な手続きを行なう人」のことです。
以前の法規定では相続人の代理人とされていましたが、2018年7月の民法改正によって、遺言実行の権利と義務が明文化されました。

 

遺言執行者の選任方法

遺言執行者の選任については、ほとんどが遺言書で言及されます。選任は任意ですが、相続人が複数いる場合は遺言執行者を決めるのが一般的です。

なお、成年者や破産者などの欠格事由がなければ、遺言執行者の選任対象は制限されません。ただし、相続人が遺言執行者になると利己的な行動をとる可能性があるため、弁護士や銀行などを選任するのが一般的です。

 

遺言執行者による不動産売却のメリット

遺言執行者は、単独で不動産の売却手続きを行えます。そのため、売却までの流れがシンプルになり、相続人の手間や時間を大幅に省くことができます。

相続人同士の争いを防げるのも大きなメリットです。不動産のような高額資産の相続では、相続人間での意見が対立するケースも珍しくありません。しかし、相続人であっても、遺言執行者に対する妨害行為は禁止されています。

 

遺言執行者による不動産売却のデメリット

遺言執行者の仕事は遺言書の内容を実行することなので、不動産売却の利益を追求しない傾向があります。場合によっては、市場価格よりも安い値段で成約することもあるのです。

相続を専門にしている弁護士や司法書士であっても、提携している不動産会社が1社ということがあります。1社では競争原理が働かないため、売却価格は低くなりがちです。

参考:その媒介契約ちょっと待った!一般媒介で会社間競争を過熱させよう!

 

遺言執行者による不動産売却の注意点

遺言執行者による不動産売却では、下記の2点に注意する必要があります。

  • 所得税を支払う義務はある
  • 報酬が発生する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

所得税を支払う義務はある

不動産の売却による譲渡所得には、相続税とは別に所得税を納めます。遺言執行者が売却した不動産の名義はあくまでも相続人になるため、所得税は相続人が納めなければいけません。

なお、譲渡所得の税率は、財産の保有期間によって下記のように異なります。

保有期間

種類

所得税率

住民税率

5年超

短期譲渡所得

30%

9%

5年以下

長期譲渡所得

15%

5%

相続では、保有期間もそのまま引き継ぐことになります。不動産相続においては古くから長期保有しているケースがほとんどなので、適用されるのは長期譲渡所得の税率と考えていいでしょう。

参考:不動産売却は短期譲渡・長期譲渡のどちらがお得?3つのポイントで徹底比較

 

報酬が発生する

遺言執行者に対する報酬もデメリットのひとつです。弁護士や銀行などの第三者を専任している場合は、財産によって報酬が変わります。遺言書に報酬の記載がある場合は、その内容に従います。
報酬は相続財産から支払われるため、遺言者本人が支払う必要はありません。

 

遺言執行者が不当に安い価格で不動産を売却したときの対処法

遺言執行者が不動産売買の専門家とは限りません、不当に安い価格で不動産を売却する可能性もあります。そのようなときの対処法を確認しておきましょう。

 

解任する

ひとつめの対処法は、遺言執行者の解任です。解任するには、相続人などの利害関係者が家庭裁判所に審理を請求して、審判で認められる必要があります。

 

損害賠償を請求する

もうひとつの方法は損害賠償の請求です。具体的には「売れるはずであった価格」と「実際の売却価格」の差額を請求します。

 

売却前の対策が何よりも重要

解任も損害賠償の請求も、「不当に安い価格」であったことを証明できなければいけません。ただし、判例では「固定資産税評価額と売却価格は関係ない」と結論付けられています。
また、不動産鑑定士による鑑定額についても「評価はさまざまである」として却下しています。

いずれにしても、「不当に安い価格」であることを証明するのは大変困難です。執行された不動産取引が覆るわけでもありません。トラブルを避けるためには、売却前に疑義を申し立てることが重要です。

なお、相続人は、遺言執行者に対して財産の処理状況に関する情報をいつでも求めることができます。これを「相続人の照会権」と呼びますが、不動産の売却に疑問がある場合は、売却前に照会権を行使するようにしましょう。

市場価格の調査には、「HOME4U」などの不動産一括査定サイトを利用するのがおすすめです。不動産売却の最終決定権は遺言執行者にあるため、相続人による財産処分は禁じられていますが、一括査定の依頼程度では「財産の処分」に該当しません。

 

自分が遺言執行者になった場合の不動産売却方法

自分が遺言執行者になったときのために、仕事の流れを確認しておきましょう。

1.就任通知書の発送

相続人に宛てて、就任通知書を発送します。

2.相続財産目録の作成

全部事項証明書などの資料を集めて相続財産の目録を作成し、相続人に交付します。

3.遺産分配

売却代金から税金や諸費用などを差し引いた残額を相続人に分配します。

なお、遺産が相続人に直接帰属するのではなく、換価された代金が相続の対象となるケースを「清算型遺言」と呼びます。

 

相続人との関件性も重要

スムーズに不動産を売却するには、相続人との信頼関係を築くことも重要です。遺言執行者には排他的な権限があるため、相続人は相続財産を処分することができません。

しかし、このような事実を知らない相続人がほとんどです。場合によっては、遺言執行者よりも立場が優先すると誤解しています。リスクを軽減するためにも、相続人は相続財産を処分できないと丁寧に説明して、不動産売却に対する理解を得るようにしましょう。

 

遺言執行者が不動産を売却する場合も市場価格の事前確認が重要:まとめ

遺言執行者が選任されていれば、不動産売却における相続人の負担軽減につながります。全権を委ねるので相続人間の争いを防ぐことも可能です。

ただし、遺言執行者がいる不動産を相続した場合は、「HOME4U」などの一括査定サイトで物件の適正価格を調査することも大切です。不動産の正しい価値がわからなければ、トラブルの原因になりかねません。

遺言執行者になった方や、これから遺言書の作成を検討している方も、事前に査定額を把握しておけば不要なトラブルや訴訟を防げます。

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