相続した原野商法の土地は売却できる?4つのポイントで解説

原野

「相続した原野商法の土地が売却できなくて困っている」
「相続した原野商法の土地を処分する方法がわからない」

 

こんな悩みにお答えします。

1960年代頃から原野商法と呼ばれる詐欺商法が蔓延したため、現在の70代・80代を中心に無価値の土地を売りつけられた方が多くいます。
親の年齢的に、相続が発生する可能性があるためこのような原野商法の土地で悩んでいる子ども世代は少なくありません。

原野商法で購入した土地は、基本的に売却や寄付ができません。土地の処分で困っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、相続した原野商法の土地を売却する方法や処分方法などを詳しく解説していきます。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
サイト立ち上げから一貫して売主目線で記事を監修。専門家として「みんなの記事監修」に登録されています。
(NHK・経済誌の取材実績も)

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原野商法とは

原野商法とは、価値のない土地や不毛の土地を高値で販売する詐欺的な商法です。土地の価値や潜在的な投資利益を大げさに宣伝して不当な価格で売りつけます。

このような商法は不動産市場における消費者保護の欠如や不透明な情報が原因で起こり、未開発の地域で多発しました。

特に北海道は被害が多く、持ち家の他に原野や山林を所有している割合は5件に1件にも上ります。

原野商法で購入した土地の売却は難しい

原野商法で購入した土地は、主に次のような理由で売却が難しくなります。

  • 簡単に相続放棄できない
  • 自治体が寄付を受け付けていない
  • 不動産業者に売却できない
  • 国庫帰属制度の対象にならない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

簡単に相続放棄できない

土地を相続したくない場合は相続放棄という方法があります。

しかし、相続放棄をする場合はプラスの財産も放棄しなければいけません。「原野商法で購入した土地は相続放棄をして、他の遺産は相続する」ということは不可能です。

他に財産がなければ問題ありませんが、原野商法の被害者は自宅を所有しているケースが多く、相続放棄の判断が難しくなります。

参考:相続不動産は放棄できる!?相続放棄について3つのポイントで解説

自治体が寄付を受け付けていない

基本的には、個人所有の原野を自治体に寄付できません。無価値の原野は管理費が高くなるため、寄付に応じてくれないのです。

再利用できる土地であれば寄付に対応してくれる可能性はあります。しかし、管理費や維持費などの財政的負担が増えるために断られるケースがほとんどです。

不動産業者に売却できない

無価値な原野は転売できないため、一般的な不動産業者は原野の買取りをしていません。転売できたとしても、取引価格が安すぎてコスト割れになってしまいます。

不動産業者が買取るのは、転売で収益が発生する土地・宅地に限られると思ったほうがいいでしょう。

国庫帰属制度の対象にならない

相続土地国庫帰属制度を利用するという方法もありますが、「更地で境界問題がない」などの厳しい条件が設けられています。原野は境界が不明確であるケースが多いため、国庫帰属制度の条件を満たすのは難しいでしょう。

仮に条件を満たしていても、制度の利用には最低20万円以上の負担金がかかります。民間の引き取り業者に依頼した場合にも同様の引き取り料金が発生します。

結局は費用が高額になり、処分できなくなってしまうのです。

参考:相続土地国庫帰属法ってなに?4つのポイントで詳しく解説

原野商法で購入した土地を相続したときの注意点

原野商法で購入した土地を相続した際には、次のようなポイントに注意しましょう。

  • 名義変更をする
  • 山林の相続は届出が必要
  • 固定資産税がかからない原野も相続税の対象になる

それぞれ詳しく見ていきます。

名義変更をする

固定資産税が発生していなくても、名義変更はしておきましょう。

原野商法で相続した土地が処分できなかった場合は、そのまま放置されがちです。しかし、何らかの理由で土地が値上がりすると固定資産税の課税対象となり、法定相続人に納税義務が生じます。

名義変更をしていなければ、法定相続人や数次相続人に納税義務が発生してトラブルになる恐れがあるので注意しましょう。

参考:不動産を相続したらまずは相続登記!8つのステップで徹底解説

山林の相続は届出が必要

原野商法で購入した土地の地目が「山林」に該当する場合は、相続登記だけではなく市町村役場への届出が必要になります。

原野と山林の違いは次のとおりです。

原野:根本付近から枝分かれしている人の背丈程度の植物が生育している土地

山林:人の背丈を超える竹や木が生育している土地

届出の期限は相続発生後90日以内です。届出をしなかった場合は、10万円以下の過料が科されることもあるので気をつけましょう。

固定資産税がかからない原野も相続税の対象になる

固定資産税には免税点があるため、評価額の低い原野は課税対象外となるのが普通です。しかし、相続税は「故人が所有していた全財産」に対して課税されます。

土地の所有に気づかなかった場合は正しい申告ができず、税務調査で申告漏れを指摘される恐れもあるので事前に確認しておきましょう。

なお、固定資産税の評価額が低くても、相続税の評価額が大きくなることがあります。特に地方の山林は固定資産税評価額に倍率を乗じる「倍率方式」が適用されるので注意が必要です。

山林には10~100倍前後の倍率が適用されるため、固定資産税評価額が10万円でも相続税評価額が1,000万円になる可能性もあります。

原野商法の二次被害に注意

原野を相続した子ども世代をターゲットにする「詐欺の二次被害」にも気をつけましょう。

悪質な業者は、過去の顧客リストや土地の登記簿から原野の所有者を特定して売買を持ちかけてきます。

二次被害の例

・「土地を高額で買い取る」と言われたが、土地を下取りして別の高額な土地を購入させられた

・「土地を買いたい人がいる」と言って調査料や整地費用を請求された

開発できず過去に値上がりもしていない原野は高値で売却できません。しかし、処分に困って騙されてしまう人は増えています。

業者の説明に不審な点や不安を感じた場合は、消費生活センターや関連機関に相談しましょう。リスクを最小限に抑えるためにも、正しい情報収集を行い慎重に行動することが大切です。

相続した原野を売却できるケース

原野商法で購入した土地も、条件付き住宅用地として売れる場合があります。

山間部にある土地であれば、ログハウスや別荘などのニーズが発生する可能性もあるでしょう。接道していれば資材置き場などの需要も考えられます。

いずれにしても、原野に関する知識豊富な不動産会社への相談が重要です。

相続した原野は早めの売却・処分がおすすめ:まとめ

原野商法で購入した土地の処分は困難です。売却できるのであれば早めに売ってしまったほうがいいでしよう。

原野はライフラインが充実しておらず、価値が上がる見込みも高くありません。売却できない場合は、費用を支払ってでも処分したほうがいいでしょう。

ただし、原野もそれぞれに状況が異なります。まずは売却の対象になるかどうかの確認が必要です。「HOME4U」のような不動産一括査定サイトを利用すれば、最適な売却プランを提案してくれます。

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