収益物件を売却した時の消費税は?課税対象と非課税対象について

「収益物件を売却する時の消費税について知りたい」
「課税、非課税の基準ってなに?」

 

こんな要望にお応えします。

収益物件を売却すると決めた時には売却価格をいくらにするのか決める必要があります。その価格を決定する際に必ず検討しなければならないのが消費税です。

消費税は、価格が高価な収益物件にとって軽視できない存在です。

今回は収益物件を売却する場合の消費税について、詳しく説明していきます。

記事の信頼性
監修者:毎日リビング株式会社 代表取締役・宅地建物取引士 上野 健太
不動産業者としての実務経験を活かし、売主の立場で記事を監修しています。
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消費税とは

消費税とは、商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税で、消費者が負担し事業者が納付する税金です。

普段生活をしていると消費者として税金を負担する側で考えることが多いかと思います。

しかし、収益物件を売却するというタイミングでは、逆に消費税を預かって納税する側で消費税を考えなければなりません。

消費税の特徴

消費税は、最終的には事業者が納付しますが、消費者が負担をする税金です。このように納める人と負担する人が異なる税金のことを間接税と呼びます。

具体的な消費税の納税の仕方は、事業者が商品を販売して受け取った消費税と、逆に仕入れなどで支払った消費税の差額を計算して納税する仕組みになっています。納税方法は確定申告を行い、納期限までに納付をする形で納めることになります。

参考:不動産を売却したら確定申告が必要?3つのポイントで徹底解説

納付をする義務のある人はどのような人か

消費税を課税される事業者のことを課税事業者と呼びますが、どのような事業者が対象なのでしょうか。よく誤解されがちなのですが売り手が個人事業主かで区別されるものではありません。

原則の基準は課税期間の基準期間において課税売上高が1,000万円を超えるかどうかです。課税期間は法人と個人事業主で異なり、法人は事業年度、個人事業主は暦年です

また、基準期間も、法人は前々事業年度、個人事業主は前々年で判断されます。

課税事業者とは

課税期間の基準期間において課税売上高が1,000万円を超える法人・個人事業主は納付をする義務が発生します。
このような法人・個人事業主のことを課税事業者と呼びます。

売上高が1,000万円を超える場合が課税事業者となる要件でしたが、2023年10月からのインボイス制度開始により売上高が1,000万円以下の個人事業主も課税事業者になるケースが増えています。

免税事業者とは

課税業者とは逆に、課税期間の基準期間において課税売上高が1,000万円以下の法人・個人事業主は納付をする義務が免除されます。
このような法人・個人事業主のことを免税事業者と呼びます。

免税事業者は、課税の義務を免除されているだけなので消費税を受け取ることもできますし、課税事業者を選択して納税をすることもできます。

サラリーマンはどうなるのか

サラリーマンであっても課税売上高が1,000万円を超えれば、課税事業者になることには変わりありません。もちろん1,000万以下であれば免税事業者になります。

負担をする人は誰か

消費税は事業者が計算して納付をする税金ですが、実際に負担をするのは商品を購入した人やサービスの提供を受けた人です。

形式的には納付をする法人や個人事業主に消費税分を預けて代わりに納税をしてもらうことになります。

消費税は不動産売買にどのように関わるのか

それでは収益物件を売却した時に、消費税の取り扱いはどのようになるのでしょうか。

そもそも不動産売買は価格が大きいため消費税も高額となります。そのため、きちんと事前に計算をしておかないと思わぬ出費になってしまうこともあるため注意が必要です。

また、消費税は「商品の販売」や「サービスの提供」に課税されますが、不動産の種類によっては課税されないケースもあるため慎重に検討してください。

不動産売買のうち課税の対象になるのは何か

原則として不動産のうち明らかに商品と呼べる「建物」の売買には消費税が課税されます。

しかし、これは売主が課税事業者である場合です。

逆に個人が収益物件ではなく自宅だけを売却しようとする場合には、その個人が課税事業者でなければ消費税はかからないことになります。

参考:不動産売却時の土地と建物の按分方法を4つのポイントで解説

不動産売買のうち課税の対象にならないのは何か

課税の対象にならないものの代表例としては、土地があります。土地は「商品の販売」や「サービスの提供」に該当しないからです。

また居住用建物の賃料も消費税の課税の対象になりません。こちらは政策的な配慮と言われています。

何に注意すればいいのか

チラシや広告などを見ると、土地と建物を同時にまとめて売買することはよくあることです。

この時には土地には課税されず、建物には課税されるという分かりにくい状態が発生することになります。

チラシや広告などに書かれている金額が税抜きの価格の場合は、その金額のうち建物だけに消費税が加算されることになります。

一般的に、不動産チラシなどの広告に記載されている価格は税込みです。

また、売主が課税事業者なのか免税事業者なのか、もしくはどちらでもなく消費税を納税する義務のないものなのかによって消費税がかかるかどうかが変わります。

仮に購入する側になる場合は、必ず売買を進める前に売主が課税事業者なのか免税事業者なのか、それ以外なのかを確定させることが重要になります。

逆に売却する側になる場合には、まずは収益物件が「土地」なのか「建物」なのかを確定させることです。「土地」だけであれば課税はされないので土地の価格に消費税は影響ありません。

しかし「建物」を売却する場合は、自分が課税事業者に該当するのかどうかを確定させる必要があります。

仮に、課税事業者であった場合は、収益物件売却の際には消費税分も預かっておかないと納税する時に納める消費税がないという事態になってしまうので注意が必要です。

実際の取引でシミュレーション

課税事業者である不動産投資家が税込み6,000万円の収益物件(戸建てで内訳は土地部分 3,250万円、建物部分2,750万円)を売却する場合の計算方法をシミュレーションしてみましょう。

買い手は総額で金額を判断することが多いので、6,000万円の部分に着目しますが、売り手は価格を決める際には建物の消費税部分まで考慮しなければなりません。

実際の内訳は土地3,250万円、建物2,500万円で建物にかかる消費税が250万円となります。

そのうち250万円は不動産投資家が課税事業者として消費税分を買主から預かっていることになります。そして、不動産投資家は確定申告時にこの消費税分を申告して納税するという流れになります。

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収益不動産売却時にかかるその他の消費税について

収益物件を売却する場合に、売買価格以外に消費税がかかる費用が存在します。なぜなら消費税は「サービスの提供」にも課税されるからです。

つまり、収益物件売却時に不動産業者や司法書士などから受ける「サービスの提供」として業務をしてもらうと、その費用には消費税が課税されます。

収益物件の売却に関わる業者ごとに分けて説明をしていきます。

不動産業者に支払う仲介手数料

ほぼ必ず関わるのが、収益物件の売買契約を仲介した不動産業者に支払う仲介手数料です。

まずは、不動産業者が課税事業者か免税事業者かで区別しますが、余程規模の小さい不動産業者でも課税売上高が1,000万円以下ということはまれなので、実務上大部分の不動産業者は課税事業者と言えるでしょう。

仲介手数料は宅地建物取引業法によって、依頼者の一方から受け取れる金額の上限が決められています。

具体的には、売買であれば収益物件の価格が「200万円以下の部分については 5%」「200万円を超えて400万円以下の部分については 4%」「400万円を超える部分については 3%」と決められています。

2018年1月の法改正で売主側の仲介手数料は「400万円以下の部分は18万円」「400万円を超える部分については3%」に変更されました。買主側の仲介手数料は変更ありません。

まとめて400万円を超える物件は、物件価格×3%+6万円+消費税で計算できます。

実際の取引でシミュレーション

課税事業者である不動産会社に先ほどの6,000万円の収益物件の媒介を依頼し売却が決まり成功報酬を支払うケースをシミュレーションしてみます。

先ほどのケースだと収益物件の価格は6,000万円ですが、消費税抜きの価格で計算すると土地3,250万円と建物2,500万円の合計5,750万円が計算の対象金額です。

400万円以下の部分を計算すると「18万円が上限」なので「18万円」です。

続いて、400万円を超える部分を計算すると「3%が上限」なので「5,350万円の3%」で「160万5,000円」です。

そして、合計すると「18万円+160万5,000円の合計178万5,000円が、不動産業者が一方から受け取れる仲介手数料の上限であり、これに消費税が課税されることになります。

よって最終的には、178万5,000円に消費税10%が課税され、196万3,500円が不動産業者に支払う税込みの仲介手数料ということになります。

司法書士に支払う報酬手数料

収益物件の売却であれば物件に抵当権が付いているケースが多いです。この抵当権を抹消するためには司法書士に依頼して抵当権の抹消の登記を入れてもらうことになります。

これも「サービスの提供」として消費税が課税される対象になります。

金融機関に支払う繰り上げ手数料

収益物件の売却であれば売却時にまだローンが残っているケースが多いです。

通常は売却価格からそのまま金融機関にローンを返済するという流れになりますが、金融機関からすると将来支払ってもらえるはずだった利息がもらえなくなるという状態が発生します。そこで、金融機関によってはローン繰り上げ手数料という名目で費用を徴収するところが多いです。

この費用も「サービスの提供」として消費税が課税される対象になります。

税金に消費税はかかるのか

収益物件の売却時にかかる費用は、他には登録免許税、印紙税、利益が出れば所得税(事業所得の短期、中期)や住民税などがありますが、法律上税金に消費税は課税されません。

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収益物件にかかる消費税を理解したらまずは査定依頼:まとめ

以上が、収益物件の売却時に課税される消費税の流れになります。

2019年10月から税率が8%から10%に変更され、より影響力が大きくなった消費税の仕組みを理解して、売却を有利に進めていきましょう。

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